きことわ | |
朝吹 真理子 | |
新潮社 |
えーっと、前に書いた「苦役列車」と同じですが、
これも新潮の掲載誌で読みました(9月号)。
そういえば今回は新潮が二冠(?)なのだなぁ。
貴子(きこ)と永遠子(とわこ)という幼なじみの女性が、25年後に再会。
2人の現在の生活と過去の記憶が溶け合うように語られていく、
一見静かな筆致の中に実験的な企みの配された新しい小説……。
えーっと、かなり受け売り入ってます。なんか難しいのですよ、説明が。
それは磯崎憲一郎の「終の住処」を読んだときの感じと似てるのだけど、
評論などで言われる「小説は時間を自由に扱える表現」みたいなことなのかもしれない。
確かに「言葉が織りなす不思議な感覚」という楽しみは味わえました。
一方でそれは、境目のない遠近両用レンズの便利さのように、熱を帯びてはこなかった。
俺の受信力が至らないのだろうか(皮肉でも卑下でもなく、プレーンに思う)。
もしかしたら同時受賞作の「苦役列車」に続いて読んだせいもあるのだろうか、とか
ちょっと迷子になった感じの一昨でした。他の作品も読んでみましょうかね。