番組発の書籍だが、この辺はNHKも、コンテンツ商売が定着してきたなぁ。で、まず「はじめに」を読んで驚いた。太田光が書いているのだが、なかなかシャープだ。
『ヘレン・ケラーが「ウォーター」と発した瞬間、一つの世界が広がったのと同時に、一つの世界を失ったのではないかと私は考えてしまう』
これはどの号(3冊しか読んでないけど)にも共通のもの。言葉が商売道具である太田氏が言うと、言葉で失った世界を、また言葉で再構築しようとしているようにも聞こえる。
「人類の希望は美美美 美学」(美学者 佐々木健一)の他に、「検索エンジンは脳の夢を見る」(連想情報学 高野明彦)、「コトバから逃げられないワタクシ」(言語学 田中克彦)を読んだのだが、美学の刊の太田発言はなかなか興味深かった。
『小さなライブハウスで危ないネタをやると、客はさらに先を期待しますよね(中略)コアなファンばっかり来て変な空気になる。そんなところに僕らは行きかけた時期があった。ポップアートもそういうことじゃないのかな』
アートや言語学や検索技術について語っていても、話のベクトルは「学問の視点で見た俺たち」に向かっている。それぞれのトピックは興味深いのだが、どうも突っ込みが中途半端だなと感じていたのだが、実はこの企画は、爆笑問題自身について考えるものだったのかもしれない。そう思って読むと、なかなか手応えがあるシリーズではあります。
| 爆笑問題のニッポンの教養 人類の希望は美美美 美学 (爆笑問題のニッポンの教養 25)佐々木 健一,太田 光,田中 裕二講談社このアイテムの詳細を見る |