TRASHBOX

日々の思い、記憶のゴミ箱に行く前に。

情報番組は情報操作番組でもある

2006年07月24日 | 雑感日記
学生時代にテレビ番組の制作会社でアルバイトをしていた知人の話。とある情報番組―いまなら「あるある大事典」みたいなものだろう―の企画で「リンゴが便秘に効く」というネタをとりあげたときに。「青森の薬局は便秘薬を売っていない」というコメントをとれといわれて現地に赴いた。しかしどの薬局も普通に便秘薬を置いている。(あたり前だわな)なんとか頼み込んでそういう話にしてもらったとのこと。つーかこれ、立派なヤラセでしょ。

一事が万事とまではいかないにしても、そういうことは頻繁にあったそうだ。当事者たちの意識は嘘をつくというよりも、「ちょっとした演出」なのかもしれないけれど、これは立派な情報操作。そんなことの積み重なりがいつか「常識」になっていくのかもしれない。といいつつ今日も「あるある」で覚えた脂肪燃焼体操をこなして仕事に向かう俺なのでした。ああ情報ってややこしい

本当の戦争の話をしよう/ティム・オブライエン

2006年07月22日 | 読書とか
The Things They Carried by Tim O'Brien 村上春樹訳

実際にベトナム従軍経験を持つ著者の、戦争を舞台とした短編集。そして書かれているのはまさに「本当の戦争の話」だ。と言ってもここには何のメッセージもない。反戦も戦う意義も述べられていない。そしてそれは、戦争というものを語る上でとても正しい姿勢なのだと感じる。

最前線にいる者にとって戦争とは、ただ目の前にある「馬鹿馬鹿しいほどの狂気」でしかない。それは肉体だけでなく、記憶というかたちで心をも攻め続ける。もしかしたら死なせずにすんだかもしれない戦友。敵かどうかはっきりしなかったのに、あっさり殺してしまったベトナム人の青年。著者の記述ではそんなエピソードが嘘だ、いや本当だ、と揺れ動くが、それ自体が個人の精神の許容量をとっくに越えてしまった戦争というものの手に負えない大きさなのだろう。

戦場に踏み入れたときから、レッドゾーンはとっくに振り切られている。究極の暴力、人間の最大の愚行をきわめて個人的な視点で捉えて描く。同著者の「ニュークリア・エイジ」は軽快さと鋭さを持った良い作品だったが、この小説はそれにずっしりとした重みがくわわっている。イラクの戦いはいったい何だったのか?今また読まれるべき一冊だ。

一億円の作り方

2006年07月09日 | 雑感日記
以前とある素敵なワインレストランーワインも料理も素晴らしいけど、お値段もそれなりです―でご飯を食べていたら、近くのテーブルの金持臭を漂わせた中年紳士ふたりの会話が聞こえてきた。「お前にとっちゃさ、一億なんてどうにでもなる金だろ?」―当然そういう人もいるのだろうが、我が身を振り返るとちょっとクラクラする。自分の方がどうにでもなっちゃいそうだな。

先日、知り合いのお店の一周年記念の集りに顔を出した。お店は大繁盛で、いまや予約の取れない人気店。その彼、実は以前ニューヨークでの出店を目指して調査を重ねたのだが思った以上にコストが高く、いったん見切りをつけて東京でこの店をはじめたのだった。そんな話をちらっとすると、「やっばり億の金がないと難しいですね、あそこでは」とさらりと答える彼。やっぱり億かね。

ただしこのとき感じたのは、クラクラではなくて「本当に必要なら作れるかも」ということ。もちろん簡単じゃないけど、明確な目標があれば作戦を考える前にあきらめる気はしない、少なくともね。なんなら智恵と人脈を総動員して取り組んでみようか―そんな妄想を抱きながら結局おいしい料理とワインの中に沈没していったのだけど、目標を持つことのパワーみたいなことをふと感じたせてくれた一億円話でした。え、俺?当面は別の目標を追っかけますが、一緒に狙ってみますか?一億円でニューヨーク。

「ストップ!借りすぎ」― どの口でゆうとんじゃい!

2006年07月08日 | 気になるコトバたち
ガラスのコップに水が注がれる映像に、「まだ大丈夫」というひとりごとのような男性ナレーション。やがて水はあふれてこぼれてしまう。気がつかないうちにローンを借りすぎてしまう場合があります、ご注意を、というメッセージのTVCMだ。エンドクレジットには、いわゆるサラ金各社。このキャンペーンのサイトには次のようなコメントが述べられている。

『私たち武富士、アコム、プロミス、アイフル、三洋信販、CFJ、GEコンシューマー・ファイナンスの7社は、消費者保護の視点に立ち、利用者ならびに一般消費者の「気づき」を導き出すコンセプトに基づいたテレビコマーシャルの放映を含むキャンペーン活動を開始します。

多重債務の問題に真正面から向き合いこれからも自主的な取り組みを進めてまいります。

ストップ!借りすぎ。』

おーい、ちょっと待てよ。借りすぎの元を作っているのは誰だ?法律スレスレの利息で儲けているのはどこ会社だ?彼ら「真正面から向き合う自主的な取り組み」の内容を具体的に示すべきだ。借りすぎの前に、ストップ!貸しすぎ(&利息取りすぎ)でしょ、まずは。

全部言わせろ

2006年07月03日 | 雑感日記
最近仕事のチームに「全部言わなきゃ症」の方がいらっしゃる場合がある。全部、つまり業務の進行に際して起こるすべてのことを聞かせてくれちゃうわけで、情報の共有という点では完璧なのだけど「それ俺に言われてもなぁ」ということもしばしば。「ちょっとひと言」で始まった電話が5分経過しても終わらないことも珍しくない。まあ、ひとつひとつの内容はきちんとしているし、まじめで温和で寛大な人なのだけど、ちょっと困ったさんだ。

で、そのチームに新たにくわわったもう1人。この人も「言わなきゃ症候群」だったのですよ。おかげで話も2倍、つーか下手すりゃそれぞれの応対で4倍だ。ただでさえ限られた時間が刻々と減っていく。タクシーに乗ったとたん渋滞にはまったような気分。こうなったら俺も全部言わせろ!…もっとひどくなるか。