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TRASHBOX

日々の思い、記憶のゴミ箱に行く前に。

【メモとして】解像度と暗示性

2020年03月10日 | 広告とか
モノクロの新聞広告なら、コピーは読み手の左脳で完結する。
けれども今の画像の解像度なら、見た瞬間に右脳に着地する。
だから詩的だったり暗示的だったりする言葉は、途中で淘汰されてしまう。

もし手紙だけで恋を育むなら文章の上手い人間の出番だけど、
顔合わせるならそうもいかんだろう、みたいな話。

ONE SHOW 2016 @ アド・ミュージアム東京

2017年03月02日 | 広告とか

もう終わってしまった展示なので、備忘録としてサクッと。このONE SHOWというアワードは、クリエイティブを最優先することで知られ、ある意味カンヌなどのフェスティバル系より重きを置く人もいる。その上位作品が見られる貴重な機会だったのだけど、どこか微妙な読後感が残った。

何ていうか、作品そのものよりも、展示の批評性のなさみたいなものが、とても心許ないのだ。もったいぶった評論は無用の長物だが、何故こうなのか、どこが素晴らしいのか、という視点が(少なくとも自分には)感じられなかった。キュレーションというプロセスがあったかと言われれば、はいとは答えられない。

海外のクリエイティブ情報に簡単に接することができる今、もう「ご紹介」だけにはつきあっていられない。このアド・ミュージアムという場所は、さまざまなアワードや団体としっかりとしたパイプを持っているはずで(と信じているのだが)、その力を存分に活かした展示が見たい。この場所、ある意味ではメディウムでもあるのだから。

ところで、Goldを獲得した"Blueprint of Typographic Landscape"は、愛媛県松山市の堀建築研究所の仕事。懐かしい土地から、こんな素敵なクリエイティブが生まれていて嬉しくなった。

日本電産の初CM、だそうです。

2017年01月31日 | 広告とか

日本電産といえば、すぐに創業者永守重信氏の強いキャラクターを思い浮かべるのだが、正直この「創業初」のCMは意外だった。

えーっと、CMの企画制作は自分も関わりがあったりする分野で、その状況や事情がてんこ盛りなことや、関係各位やスタッフの方々の頑張りについては分かっているつもりだ。なのでちょいと汗かいちゃうんだけど、この拍子抜け感はなんだろう。時代の流れに、自分がついていけてないのだろうか。

もしかしたら、今後の展開にアイデアがあるのかもしれない。だがそれにしても、ファーストコンタクトのソフトな感じたるや。大きなお世話だけど、試写の空気はどのようなものだったのだろうか。

今回のCM制作、オンエアの目的は、将来を見据えてのリクルーティングだと聞いた。B2Bの産業だけにトップ企業であっても認知度がもうひとつ、というのも理解できる。しかし、いったいどんな人材を求めているのだろう。てっきり経営の志や姿勢に共感できる人が主軸なのかと思ったら、そんな気配ではない。

ところでこのCMを見て、あるクリエイターの方のことを思いだした。企業のトップと直接対話して、その根っこのところで太い答を提示していくその人のクリエイティブを、僕は本当に尊敬している。あの人だったら、どうしただろう。そんなことを考えていると、またCMの企画をやってみたくなるのでした。



クリエイティビティと工芸品的美意識

2017年01月09日 | 広告とか


えーと、YouTubeのタイトルは気にしないでください。
できれば公式チャンネルからのリンクにしたかったのだけど、
見つからなかったもので……。

このシリーズ、映像的には素晴らしい。
撮影、ライティング、編集、そして音楽と
最高レベルの仕事だと思う。

で、同時に思ったのが、
「これって工芸品のようだな」ということ。
なんていうか、送り手からの主張やメッセージではなく、
ただ仕上がりの素晴らしさを愛でてもらう、みたいな。
ま、それがアクアという車が身に纏おうとしたものかもしれない。
価格とは別次元の価値観とか。

これは素直な感想で批判でも何でもないのだけど、
日本の繊細かつとんでもなく精緻な工芸品とか見ていると、
欧米の絵画、美術とは別の高みにあるのだなぁと。
その感覚というか美意識は、CMにもつながっているのだろうか。
この下のJTにも、同じようなことを感じます。




ユニクロのCMが良いなと思った訳

2015年11月29日 | 広告とか

ユニクロのこのCM、良い広告だなと思った。
テレビで見て、自分ならどう使おうか、と考えていた。



商品について、Whyではなく、Howを伝えるメッセージ。
往々にして送り手は「なぜ良いか」を伝えたがるが、
実際にはユーザーに「どう使おうか」と考えてもらうことが
購入につながるはずだ。

ナレーションで語られるのは、
登場する西畠さんという人のエモーション。
一方、映像は上質なトーンではあるけれど、
商品は存在感をしっかり醸し出している。
ま、機能的価値と情緒的価値のバランスみたいなことだろうか。

別に「トンがってる」とか「インパクトがある」という類ものではなく、
またもちろん、フリースという商品性が明解なものだから
成立するコミュニケーションではあるのだけれど、
この広告としての振り切り感はプロの仕事だと思う。