TRASHBOX

日々の思い、記憶のゴミ箱に行く前に。

WALL-E

2008年08月31日 | 映画とか
これを見たのは先月末のニューヨーク旅行中。細かいところまでアイデアとクオリティの詰まった仕上げはさすがピクサー、素晴らしい(ウォーリーの再起動音がMacと同じなのも楽しい)。

映画自体は素直に面白く、あーだこーだという必要はないだろう。ただ思うに、こういうタイプの愛らしさがメジャーになってきたのはファインディング・ニモあたりからで、本来アメリカのメインストリームではなかったのではないだろうか(初期ピクサーの電気スタンド的なキュートなキャラクターはいろいろあったにせよ)。

チェブラーシカのエントリーでも書いたけれど、こういう可愛らしさが受け入れられるようになったのは、社会が何かを無くしている裏返しなのでは……なんて考えなくても充分価値ある一本ではあるんですけどね。さて「崖の上のポニョ」は見るべきか。

THA/中村勇吾のインタラクティブデザイン

2008年08月30日 | ♪&アート、とか
28日まで銀座グラフィックギャラリーで開催されていた展示を滑りこみ鑑賞。最終日のせいかもしれないけれど、木曜の午後3時にしては人が多い。全体的に若くて美大、ITクリエイティブ(そんな言い方あったっけ?)系の学生さんという感じ。やっぱこの世界のスターなんでしょう。

フロアは1Fと地下の2箇所。1階はユニクロのようなマーケティング・エッセンスの上手に盛り込まれたものが中心。正直言うとこっちの方は、メディア・アートとウェブ広告の中間のようなたたずまいがもうひとつガツンとこなかった(商売上マズいかな、と思ったりもしましたが)。

しかし地下はちょっと趣きが違っていて、たとえば時計のシリーズ(特に手書きものが好きだ)のような、アナログとデジタルのミックスでとらえる時間という、みたいな作品は日常の感覚を一度解体されるようで楽しい楽しい。パソコンのデスクトップ上に広がったウィンドウがシャッフルされるものも見飽きない。

もしかしたら賢く狂っている人なのかもしれない。やることと、やりたいことのバランス。この辺、橋の設計をされていた頃の名残なんでしょうか?

ヴィジョンズ・オブ・アメリカ/第一部「星条旗」

2008年08月29日 | ♪&アート、とか
こちらも先日終了の東京都写真美術館の展示。写真を通じてアメリカを語るというシリーズ展で、今回は1839年から1917年までが対象となっている。

もはやお伽話的風情を感じる南北戦争も、累々と横たわる戦死者の映像を見せられると新たな感慨が。人と人が殺めあう戦争の本質は変わっていない。また20世紀に入り時代が大きく動きはじめてからの写真にも引きつけられる。当時の移民たちの姿を写したアルフレッド・スティーグリッツの写真は歴史の貴重な一瞬を捉えるとともに、画面構成やその気配に「作品」としての完成度がある。いまやお洒落ストリートとなっているニューヨークのダウンタウンも荒くれ者の巣食うヤバいエリアだったのだが、写真で見せられると実感が違う。映像の力、あたらめて感じました。次回も楽しみ。

昆虫4億年の旅 今森光彦写真展

2008年08月28日 | ♪&アート、とか
先日終了した東京都写真美術館の展示。子どもの頃から昆虫に惹かれ、その姿を追い続けてきた今森氏の写真は素晴らしかった!昆虫がこんなに不思議で、美しく、逞しく、また愛らしいとは。正直いうとそれほど期待していなかったのだけど、度肝を抜かれた。科学者の好奇心とアーティストの目線、そしてオタク(失礼!)の探究心が合わさると、こんな素晴らしいものになるのだろうか。夏休み時期とあって会場には親子連れの姿が目立ったが、どちらかというと親の方が「すごいねー!」と童心に返っていたのが微笑ましかったなぁ。

無理なく続けられる年収10倍アップ時間投資法/勝間和代

2008年08月27日 | 読書とか
小説「勝間和代」もしくは「学びの時代の林真理子」

いわゆる「勝間本」は何冊か読んだけれど、その特徴がよくうかがえるのはこの一冊かもしれない。論旨はあくまでも明解、読者に対して煽ることも媚びることもない、真っ直ぐでかつ具体的なメッセージ。それだけでなく、読後に感じる一服の清涼感(陳腐ですね)というか爽やかな活力。この辺が氏の著作の魅力なのではないだろうか。

ときどき思うのだけど、こういった「勉強本」にはある種の疑似体験的な効果があるような気がする。もちろん実行が伴わないと仕方ないのだが、とりあえず読むだけで気持ちの立て直しが計れるような効きめ。それはある意味「勝間和代という物語」を読んでいるのかもしれない。

ところで氏の立ち位置や存在感、どこかで目にしたことがあるような……と思っていたら、コピーライターを経て「ルンルンを買っておうちに帰ろう」のヒット、そして直木賞をはじめさまざまな受賞作やベストセラーを生みだしてきた林真理子氏の姿が浮かんできた。逆に言えば林氏は「消費の時代の勝間和代」だったのかも。

基本は等身大の女性、でも求めるものへの熱意と探究心は人一倍。個人的には林氏の小説は受け付けない(「葡萄物語」は好きでしたが)のだけれど、一歩ずつわが道を進んでいくさまはどこか重なって見える。有名になるにつれて対談仕事が多くなるのも似ているような。

内容自体については、とてもリーズナブルという感想。ノウハウ本として「使いこなす」(ポジティブな意味で)種類の書籍だ。ものすごくざっくり言えば、時間を有効に使う秘訣は「時間に意識的であること」。これって「いつまでもデブと思うなよ」で語られた「記録するだけで痩せる」方法と通じるような気がする。自分が消費している時間(もしくは摂取しているカロリー)に自覚的であることで随分と結果は違ってくるのだろう。どちらかと言えばある程度自己管理ができている人に効果的(よく理解できるという意味で)なのではないだろうか。あ、そういえば私も親指シフトで書いてます、これ。