国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

機械には愛情を持って、でも時に厳しく目に接することも必要だ。

2011年04月29日 | 僕のジャズ歴史物語
名盤というのは買おうと思った時が買い時で、
それまでに目についても「まぁ、後があるから…」と
とりあえずその場で他の珍しい物を探してしまうものである。

『ジョン・コルトレーン・アンド・ジョニー・ハートマン』は、
コルトレーンファンでなくとも知れた盤である。
インパルスのいわゆる「ドル盤」であり、
誰にとっても「聴きやすい」というだけでなく、音もそれなりに良いという。
度々安価盤で出たりもしているし、中古屋でも何故か(!)見かけるし、
「まぁ、その時でも来れば…」と思って、ずっとそのままだった。

ところが先日、お茶の水の駅前のディスク・ユニオンに行った時に
スーパー・オーディオ・CD盤を見つけた。
今までならば「音質なんて大して違わないだろう」と思っていただろう。
だがいつしかオーディオこだわり病が出てきたこともあり、
また、CDの盤によっても微妙ながらも(時に強烈に)音が違うことが
分かってくるとこれは避けては通れない。

「世紀の名盤を向上した音質で聴いたら…」
そう思うと同時にすでに手が伸びていた。
購入して、道を歩いている時はたと気づいた。
「そういえば家のCDプレイヤーは…」
そう、スーパー・オーディオ・CD機能はついているのだが、
何故か入れても「NO DISK」と表示されてしまうのだ。
これは中古商品をきちんと確認しなかった僕の落ち度であり、
「音質」にこだわってこなかったため「特に気にしなくてもいいだろう」という
楽観的な考えのもたらした結果である。

案の定、家でCDを入れても反応しない。
通常であれば機能が作動しなくても、CDで読み込むはずなのにそれさえもない。
普通以上に厄介な状況になっている。
ちょっと手を変え、品を変え挑戦をしてみたが、どうにもダメのようだ。
預金通帳とCDプレイヤーとのカタログが必要かと思いながらも
あきらめるしかなかった。

今日になってふとCDプレイヤーの頭を叩いてみた。
16連射の高橋名人のように細やかにトレイの真上を5,6回。
「ギューン」と普段はしない音でCDを読み込む。
ふぁ~んとしたジョニー・ハートマンの柔らかく包み込むような声が
スピーカーから勢いよく飛び出してきた。
「おおっ」と思い、他でも確認してみると読み込める。

「古いテレビは斜め45度を叩くと良い」という格言があるかないかは知らないが、
おばあちゃんの水平チョップのように機械に適度の刺激があると動くものなのだ。
おかげで預金通帳の出番は持ち越しになった。