国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

何度聴いてもこの人のイメージは変わらない

2011年04月23日 | マスターの独り言(ジャズ以外音楽)
ジョニ・ミッチェルの紙ジャケヴァージョンがようやく発売された。
ジョニはジャズ・ミュージシャンとの親交もあり、
『ミンガス』というアルバムまで作ってしまうほどだから
ジャズ聴きでもそれなりに意識をしなければならないミュージシャンだろう。

その中でも(といっても2枚しか持っていないのだが)
『コート・アンド・スパーク』がたまらなく好きだ。
音質が向上したこともあり、とりあえず買ってみた。

直接会ったことがないため失礼かもしれないが
ジョニ・ミッチェルという人はかなり「怖い」というイメージが僕の中にある。
写真などから受ける印象とはまた違うのだが、
何かピシッと筋の通った音楽活動をしていて、
自分の言いたいことは最後までしっかり言い切りそうな雰囲気を持っている。
まことに勝手なイメージではあるが…

ところが『コート・アンド・スパーク』の中では
そんな印象をほとんど受けない。
冒頭のタイトル曲でピアノが「チャーン」となると
今までのイメージはどこにやら清廉で流れる水のような様子に変わる。

「パリの自由人」や「陽気な泥棒」のようにかなり軽めの曲が並ぶことが
そうした「怖い」というイメージよりも
「どことなく優しい人なのでは…」という思いを抱かせるのかもしれない。
だが何度も聴いているとやっぱりジョニの歌声には一本の芯が見える。
高音でも低音でも有無を言わせぬほどに
自己をしっかりと表現しているように聞こえるのだ。

そしてジャズ・ミュージシャンとの共演という独特の発想。
誰も彼も自分の世界に引き込んでしまうジョニの強さが
どこまでも気持ちよくさえ感じられる。

本当にいい作品というのは古臭さを感じさせないものだ。
ストイックに音楽を突き詰めていったジョニは「怖く」なければ
やってこれなかったのかもしれない。