国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

いつまでも輝き続ける名盤を無下にバカにしてはならない

2011年04月08日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
今、『スコット・ラファロ その生涯と音楽』(国書刊行館)を読み始めた。
スコット・ラファロといえば、
エヴァンスのファースト・トリオで知られたベーシストである。
僕の初めて買ったジャズ・アルバムが
『ワルツ・フォー・デビィ』であることはすでに述べた。
そこにもラファロは参加をしている。
だが、最初の時には全くその音が聞こえなかった。
そのころはドラムのブラッシングも知らなかったため
ピアノを弾いているのがエヴァンスであることは分かったのだが、
ポール・モチアンがちゃんと演奏しているのかどうかも分からないぐらいだった。
それよりも音が低く、小さいベース音は耳にまで届かず、
「ベースって何だ?」という疑問と同時に
あまりにも聞こえ過ぎなくて、曲の途中で空白に近い部分があることが不思議だった。

ジャズに親しむごとにベースの大切さと
低音の魅せる演奏の熱さというのも分かるようになってきた。

ひさしぶりにエヴァンスの『ポートレイト・イン・ジャズ』を取り出してみた。
僕の買った初めての紙ジャケアルバムでもある。
スコット・ラファロが分からないということは今はない。
でもその演奏の深みにまではまだ到達をしていないように思える。
それはエヴァンスの演奏の表層的な部分しかまだ聴き取れていないからだろう。

「リリカル」とか「叙情的」とか言葉にすれば
センチメンタルな部分が目立つトリオであるが、
このアルバムでの「枯葉」は、攻めの姿勢で臨んでいる演奏だ。
ピアノ、ベース、ドラムと全ての音は違うのに、何故か一体的に聞こえてくる。

今さらエヴァンスのファースト・トリオなんて無いだろうとか思ってはいけない。
本当の名盤というのは手垢が付きまくってもそれでも輝きを放っているものなのだ。
夭折したラファロが目指したかった演奏がここにある。