国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

ただのサウンドトラックと思わない方がいい

2011年04月03日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
僕が高校生のころだろうか。
古くからの友人であるガナさんに「サイバーパンク」なる言葉を教えてもらった。
その時には特に興味もわかなかったのだが、SFワードであることは分かった。
同時に紹介されたのが『攻殻機動隊』(講談社)という士郎正宗のマンガである。
買って読んだものの少々内容が難しい。
しかもSF関係は小説でも理解するまで時間を要することもあり、
「何となく」な感じで流してしまっていた。
ところがつい最近ふとしたきっかけで『攻殻機動隊』のアニメ版を見る機会があった。
そこで「面白い!」ということになったわけだ。

人の脳を電子化して「電脳」を持つことになった近未来。
当然「電脳化」することで人の脳はつながり合い、
大量の情報をやりとりできるようになった。
そんな中で通常のコンピューターと同様に
ウィルス問題やハッカーによる乗っ取りなどの事件が起こるようになる。
その問題を早期発見して、解決をしていく「公安9課」のストーリーだ。

日本を代表する押井守氏も2作ほど映画化しているが、
アニメ版はそれとは違った視点で描かれている(マンガはあくまで原作)。
特にアニメ版は現在社会の問題点などにもふれていて、
人間が利便性を追求し、大量の情報を得ることで起こりえる問題などを取り上げている。

アニメ自体も面白いのだが、実は音楽が非常にいい。
アニメ版の音楽を担当しているのが菅野よう子という人である。
この人の作り出すサウンドはアニメを主体にしていながらも
個性を失わず、画面に負けることがない。
しかもアニメから切り離してサウンドトラックとして聴いた時に
それだけで十分に存在することのできる曲を作り出している。

現在『攻殻機動隊』の中で
「ソリッド・ステート・ソサエティ」というシリーズが3D映画として公開されている。
「電脳化された世界」を立体的に表現することで
よりその世界を体感できるようになっているわけだ。
キャッチコピーである「その問題を、解決してはならない」という言葉通り、
ストーリーは一応の決着がついても、
実は社会に潜む問題が解決していないという部分もかなりよく練り込んであって面白い。

オープニングの「プレイヤー」ではオリガという歌手がロシア語で交ぜながら歌う。
これが世界観やそのストーリーをよく表現し、
しかも独特の透明感をかもし出しているからとても耳に残る。
オープニングムービーとの統一感もあり、一聴の価値ありだ。
ただのサウンドトラックと思わないで聴いてみてはいかが?