国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

「暑い」と言えばさらに暑くなるのは仕方ないのだが…

2010年08月23日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
お盆を過ぎたのに全く涼しい様子がやってこない。
暦の上ではもうとっくに秋であるし、
普通であればそろそろ暑さが和らいでくるころにもかかわらず、
全然その気配が感じられない。
自然界の物事にあれやこれや言っても仕方ないのだが、
エルニーニョやらラニーニャやら
何だかもう非常事態だろう。

やっぱり8月も後半になれば今日のアルバムの奏でるギターの音のように
柔らかでちょっぴりメランコリーチックな異国情緒溢れる
涼しげな風が外を吹いていくのが心地よい。

今日の1枚はジョー・パスの『サマー・ナイト』である。
ギタリスト、ジョー・パスともう一人サイドにジョン・ピサノを置き、
ダブルギターでどこの国ともつかぬ異国の薫りのするメロディーを奏でる。
そもそもジョー・パスは、
ジプシー・ギターの巨匠、ジャンゴ・ラインハルトに敬意を表してアルバムを残している。
都会的で洗練された音というよりも荒野やだだっ広い野原のような場所で
聴き手も思わず身を揺すってしまうようなリズムにのり、
手拍子を打ちながら踊りのようなそんな光景の思い浮かんでくる。

ジョー・パス自身が白人であることも関係あるのか
同じジャズギターの巨人、ウエスのような濃く粘りのあるような演奏と
ちょっと味わいが違い、
さらりとしていて夏の夜に聴き通すにはなかなかに心地よい。

特にタイトル曲である「サマー・ナイト」の気怠くもすっと溶けていくかのような
ギターの音色は暗闇の中であってもしっかりと存在感を出すかのように
くっきりとメロディーの輪郭線をもっている。
敬愛するジャンゴに捧げた「フォー・ジャンゴ」では、
きっちりと歌い込むように美しく儚げな演奏をしている。

ふっと涼しい風が窓から入り込んでくれば、ギターの音と混じり合い、
少しは暑い夏に清涼感を与えてくれる。