国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

デトロイト生まれのジャズ3兄弟

2009年08月07日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
3人も兄弟がいて、
3人ともジャズメンになるのは一体どんな家庭だったのか?
某ボクシング3兄弟のように
徹底的にしごかれていたのかというとどうもそうではないようだ。
父親の本職は自動車会社の材料検査員であったそうだ。
それもそのはずで、
3兄弟は車都市で有名なデトロイトで生活をしていたのだ。
兄はハンク・ジョーンズであり、三男がエルヴィン・ジョーンズである。

さて、今日の1枚はその3兄弟の次男、サド・ジョーンズの
『ザ・マグニフィセント・サド・ジョーンズ』
通称「鳩のサド・ジョーンズ」である。
由来はジャケットを見ればすぐ分かるだろう。

チャールズ・ミンガスやカウント・べーシーなど
そうそうたるバンドリーダーたちは
サドのトランペットに魅せられている。
が、僕にはその良さがすぐには伝わってこなかった。

1曲目「エイプリル・イン・パリ」では、
サド・ジョーンズがじっくりと丹念にトランペットを吹き込む。
そのスロースタート気味な演奏に、
ついつい速さと興奮を求めてしまう僕は
まどろっこしさを覚えずにはいられなかった。
だが、サド・ジョーンズの吹く一音一音にしっかりと耳を合わせてみると
そこには溢れ出さんばかりのエネルギーが蓄えられており、
丁寧に発散させていっているのを感じられる。
滑らかで力強い響きはとてつもなく深い。

テナーのビリー・ミッチェルとの息もピッタリ合い、
何よりもベースのパーシー・ヒースのどっしりと腹に響くような低音がいい。
それもそのはずで、ドラムのマックス・ローチ以外は、
全員デトロイト出身なのだ。

洗練されていながらも、どこかあか抜けない。
それがサド・ジョーンズの音なのだ。
案外奥の方にしまわれているアルバムではないか?
時には、その真っ直ぐな音に耳を傾けてみてはいかが?