国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

自らの耳を試せ! そこに「ジャズ」があるんだから

2009年08月06日 | マスターの独り言(曲のこと)
いつものようにI-podを聴いていたら、
キャノンボール・アダレイの『サムシング・エルス』から
「ラヴ・フォー・セール」が流れてきた。
ふと、そこで僕の脳内には、
「そういえば、セシル・テイラーもやってたよなぁ」
と、あのチープなジャケットが思い浮かんでしまった。

セシル・テイラーというと
難解の局地的な演奏を繰り広げ、
まさに「ザ・フリー」の代表格にあげられることが多い。
僕自身もそう進んで聴くわけではない。
件の『ラブ・フォー・セール』にしたって、
まぁ、「これがセシル・テイラーか…」というような感じで
聴いてみたぐらいなものだ。

さっそく家に帰ってみて、
ジャケットの相変わらずの動きの無さに苦笑しながらも
セシル・テイラーの『ラブ・フォー・セール』をかけてみる。
まず絶対に感じるのは、
テイラーの鍵盤へのタッチングがとてつもなく力強いということだろう。
高音になってもしっかりと芯のある音を弾いている。
そしてタイトル曲でもある件の「ラブ・フォー・セール」である。
『サムシング・エルス』ではあれほど聴きやすかったメロディーが、
よく耳を凝らして注意をしていないと聴き取れないほど解体されている。
表面上はとてつもなく力強く息巻いているようにも聞こえるが、
何度か聴いてみると独特の間と曲の解釈とが混じり合い、
そこに絶妙なリズム感が加わり、
何とも言えないトリップ状態が訪れる。

とはいっても原曲のメロディーを解体しきった
「ラブ・フォー・セール」を聴いても、
スタンダード大好きジャズファンは納得しないだろう。
僕もセシル・テイラーの全てをものとしたわけではないので、
えらそうなことは言えないが、
でもちょっと根性据えて聴いてみるだけの価値はあると思う。
だって、それがきっと「ジャズ」なんだろうから。