国道122号沿いの音楽喫茶 『ドルフィン』

さぁ、音楽を聴け!
コーヒーは自分で沸かして用意して…
そんな仮想の音楽喫茶

聴け! マクリーンの哀愁こもった明るいブローを

2009年03月02日 | マスターの独り言(アルバムのこと)
ジャッキー・マクリーンの『スイング・スワング・スインギン』は
結構早い時期に購入した1枚である。
購入した理由は「有名な1枚である」との入門書の文句から。
どこにでもこんな文句は転がっているもんだ。


正直な感想。買った時には全く分からなかった……

遅すぎるテンポ。
即興演奏(アドリブ)はかったるい。
スイングするどころの話じゃない。

僕の脳裏をイメージが走る。

初めて吉原に行ったお上りさんが、
あまりの緊張とあまりのうれしさに訳が分からなくなり
のべつまくなしに意味ないことをしゃべり続けているような演奏……だな。
やがて遊女はあきてこそりと言う。
「あちきが聞きたかったのは、こんな野暮な演奏じゃないんでっせ」
(あくまで僕のイメージだ)

本はほめてる。僕にはおもしろくない。
本がおかしいのか。それとも僕がおかしいのか……

結論を言おう。
すみません。僕と僕の耳がおかしかったです。


マクリーンのその野暮ともいえる、
まるで何でもない道で転びそうな演奏の妙技に1度目覚めたら最後。
野暮を一周回って粋にでもなってしまったかのように感じられるのだ。

ましてこの『スイング・スワング・スインギン』は
マクリーンの明るく、でもどこかしら哀愁漂う
アルトサックスの音色を十二分に
楽しむことのできる
ワンホーンアルバムなのだ。

ほら、『I REMEMBER YOU』を聴いていると
マクリーンのたっぷりと艶のある声に心が奪われていく。
ピアノのウォルター・ビショップJrとのからみも絶品だ。


僕は、今朝、通勤途中の眠くボンヤリとした中で
マクリーンの歌を聴いた。
まるで今日1日いいことでも起こりそうなそんな予感がした。
(結果予感は予感のままだったが……)

ま、いっか。
マクリーンの歌声に開眼できて
そのかっこよさが分かっただけでも

なぁ~んて考えた1日だった。