「ひなん生活をまもる会」が署名運動に取り組んでいる仮設住宅の長期無償提供問題に関連し、福島県は、5月28日、同県からの避難者の応急仮設住宅(みなし仮設住宅を含む。)の提供期間を更に1年延長し、2016(平成28)年3月末までとすることを発表しました。
しかし、国と福島県は、依然として、避難者が求める「長期・無償」の住宅提供を何ら確約しないままであり、要望は実現していません。
今回の期間延長には、以下のような問題点があり、とすねっとの福島県知事に対する2014年5月2日付け「応急仮設住宅の供与の長期化を求める意見書」に沿った改善が必要です。
第1は、長期無償提供の方針が打ち出されなかったことです。避難者のみなさんは、1年ごとの延長では生活設計が立てられないとして、国の責任で長期・無償の住宅提供をする旨の方針を打ち出すよう求めていました。この要求は、無視されたままです。避難世帯の間では、また来年も延長を要請しなければならないのか、という嘆息が漏れています。
第2は、災害公営住宅の整備の遅れが延長の理由になっていることです。災害公営住宅は有償の住宅であり、生活に苦しむ原発事故の避難世帯には重い負担になっており、現状で災害公営住宅への転居を推進することには問題があります。そもそも、30キロ圏内であっても避難指示を解除された地域や避難区域外では災害公営住宅に応募できませんから、災害公営住宅の建設の進み具合を理由にするのは実態を見ない議論につながりかねません。これは、国土交通省が進めている、一部区域外避難者の公営住宅への入居の円滑化についても同様のことが言えます。希望しない世帯に有償住宅への転居を求めるような行為が行われないよう、注意しなければならないと思います。
第3は、「応急仮設住宅を提供されている避難者のいない市町村」として、檜枝岐村、只見町、柳津町、三島町、昭和村が対象とならないとされる点です。とすねっとは新規避難者の受入れを全国で再開させるよう求めていますので、仮設の避難者がいないという理由で打切りをするのは問題と考えています。
第4は、建設型仮設住宅からみなし仮設住宅への転居など、日弁連会長声明でも言及されている仮設間の転居に何の言及もなかったことです。すべての原発事故避難者に安定した避難住宅を提供すべきであり、この点も強く訴えていかなければなりません。
第5に、国の方針として立てられなかったことから、受入自治体が延長を断るケースが出てくる可能性もあります。延長しない自治体がないよう監視し、確実に実行させる必要があります。
とすねっとは、引き続き、長期・無償提供の方針を打ち出すよう、国・福島県等に強く要求していきたいと思います。
福島県庁HP「東日本大震災に係る応急仮設住宅の供与期間の延長について」
http://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/16055b/260528-kasetukyouyoencyou.html
毎日新聞 福島県:仮設住宅の入居期限1年延長、16年3月末まで
http://mainichi.jp/select/news/20140529k0000m010082000c.html