東京災害支援ネット(とすねっと)

~おもに東京都内で東日本太平洋沖地震の被災者・東京電力福島第一原発事故による避難者支援をおこなっています~

仮払補償金の支払いに関する意見書

2011年06月14日 22時57分58秒 | 東京電力

本日、被害者の方とともに出向いて、東京電力に対して提出した意見書です。

福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所における事故についての 

仮払補償金の支払いに関する意見書 

平成23年6月14日

東京電力株式会社 御中

東京災害支援ネット(とすねっと)

代表 弁護士 森 川  清

(事務局) 〒170-0003東京都豊島区駒込1-43-14

SK90ビル302森川清法律事務所

TEL0120-077-311  FAX03-6913-4651

 

意 見 の 趣 旨

1 避難区域等に住民登録がない被害者に対して,仮払補償金の請求を受け付けるとともに,住民票以外の資料等によって当該被害者の居住実態を積極的に把握し,迅速に,仮払補償金を支払うこと

2 1の対応について,ホームページ,TV・新聞広告等を通じて,広く被害者に対して告知すること

意 見 の 理 由

1 当団体は,主に都内で東日本大震災の被災者を支援する活動に携わっている弁護士・司法書士・市民等のボランティア・グループであり,インターネット(ブログ)やニュースレター「とすねっと通信」などを通じて被災者に必要な情報を提供したり,都内や被災地の避難所や電話での相談活動を行っている。

2 平成23年3月11日に発生した福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所にける事故(以下,「本件事故」という。)は,広範囲にわたる放射性物質の放出をもたらし,現在もなお終息の目処はたっていない。そして,政府による避難・屋内退避の指示等により,多くの人々が,避難生活を余儀なくされ,あるいは,事業活動の断念を強いられ,多大な損害を被っており,未だその全容を把握することができない状態である。

  現在,原子力損害の賠償に関する法律(以下,「原賠法」という。)に基づき,原子力損害の範囲の判定等に関する指針(原賠法1822号)の策定が行われている。

  このようななか,加害企業である貴社は,政府の決定を踏まえ,避難区域・屋内退避区域・計画的避難区域・緊急時避難準備区域(以下,「避難区域等」という。)に居住していた被害者に対して,仮払補償金の支払いを行なっている。

3 ところが,貴社は,仮払補償金の支払対象者の認定にあたり,被害者に対して住民票の提出を求め,避難区域等に住民登録がない場合には,居住実態があったとしても仮払補償金を支払わないという対応をしている。そのため,実際には,避難区域等に居住していたにもかかわらず,住民登録がないことを理由に仮払補償金の支払いを受けられないという事態が多数発生している。

  しかし,原賠法では,損害賠償に関して,住民登録の有無は要件としていない。そもそも,同法は,「原子炉の運転等により原子力損害が生じた場合における損害賠償に関する基本的制度を定め,もつて被害者の保護を図」ることなどを目的としている。ならば,同法に基づく損害賠償額の仮払いと位置づけられる仮払補償金についても,漏れることなく被害者の救済が図られるべきであり,住民登録の有無という形式的かつ画一的な基準のみに固執することは許されない。したがって,住民登録がなくとも,避難区域等に居住実態を実質的に認められるのであれば,仮払補償金を支払うべきである。

  実際に,例えば,賃貸借契約書,公共料金の契約,勤務先の書類,地域の町内会名簿など様々な資料によって,避難区域等における被害者の居住実態は容易に確認できる。また,避難を余儀なくされ,このような資料を所持していない被害者もいるであろうが,被害者の同意の上,電力会社,ガス会社,電話会社などへの照会を通じた契約者住所や請求書送付先住所の確認,勤務先への確認,他の住民からの聴取などにより,被害者の居住実態は充分に確認できる。

  貴社の形式的かつ画一的な対応は,すでに深刻な状態に置かれている被害者をさらに追い詰めるものであり,本件事故を引き起こし,かつ,損害賠償の第一義的責任を負う者として自覚に欠けた極めて不適切なものであり,怠慢であるといわざるを得ない。

4 よって,貴社に対して,

  第1に,避難区域等に住民登録がないとしても,仮払補償金の請求を受け付けて,より積極的に被害者の居住実態を把握し,被害救済を図ることを求める。

  第2に,こうした対応をホームページ,TV・新聞広告等を通じて,広く被害者に対して告知すべきである。

以上

 

 


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