応急仮設住宅の提供打ち切り問題に関する今村復興大臣の記者会見発言に抗議し、今村大臣の辞任・罷免を求める声明 2017年04月06日 13時58分58秒 | 避難住宅打ち切り問題 応急仮設住宅の提供打ち切り問題に関する今村復興大臣の記者会見発言に抗議し、今村大臣の辞任・罷免を求める声明 2017(平成29)年4月6日 東京災害支援ネット(とすねっと) 代表 森川 清 東京災害支援ネット(とすねっと)は、東日本大震災・福島原発事故の被害者らの支援を行っている弁護士・司法書士・市民らによる団体である。 東京災害支援ネット(とすねっと)は、応急仮設住宅の提供打ち切り問題に関する本年4月4日の今村雅弘復興大臣の記者会見発言に抗議し、今村大臣の辞任・罷免を求める声明を発表する。 1 今村雅弘復興大臣は、本年4月4日の記者会見において、福島原発事故のために避難指示区域以外からの避難している避難者(以下、「区域外避難者」という。)に対する応急仮設住宅(民間賃貸住宅や公営住宅等を活用したみなし仮設住宅を含む。以下、同じ。)の提供打ち切り(以下、「打ち切り」という。)に関し、「国が責任を取るべきではないか。帰れない人はどうするのか」と質問した記者に対し、「それは本人の責任、判断でしょう。」と答え、記者が「自己責任か」と確認すると「基本はそうだと思う。」「裁判だ、何だでもやればいいじゃないか。」と言い放った。 今村復興大臣の上記発言は、打ち切りに苦しむ区域外避難者の実情を無視し、「自己責任」と切り捨てることによって、打ち切りを後押しし、強行した政府の責任を全否定するものである。原発事故の被害者をサポートする部局の責任者として、あまりに無責任というほかない。 今村復興大臣は、国務大臣として不適格であり、われわれは、即刻辞任を求めるものである。 2 応急仮設住宅の提供は、2015年6月時点における避難区域外からの避難者について、本年3月31日に打ち切られた。福島県によると、打ち切り対象は2万6601人(2016年10月現在)にも上る。 福島原発事故では、避難区域外にも広範な放射能汚染が広がっており、事故前の水準にまで除去することは今も困難な地域も多い。こうした状況で、被ばくの健康リスクなどを考慮して、今も避難を続けざるをえない区域外避難者が多数存在し、応急仮設住宅の存続を希望していた。本年3月29日には避難住宅の無償提供を求める署名8万6971筆(1次提出分を含む。)が安倍首相などにあてて提出されたばかりである。打ち切りの強行によって、区域外避難者は、重い経済的負担に耐えられずに帰還を余儀なくされたり、家賃の支払いを余儀なくされたり、行き先が見つからずにそのまま元の応急仮設住宅に残留せざるをえなくなったりしている。 今村復興大臣の発言は、打ち切りによって、このような苦しみを強いられている区域外避難者の実情を全く理解しない妄言というほかない。 3 現時点で、子ども被災者支援法の支援対象地域は撤廃されていない。したがって、政府は、現在も、多くの区域外避難者が「健康上の不安を抱え、生活上の負担を強いられており、その支援の必要性が生じていること及び当該支援に関し特に子どもへの配慮が求められていること」(子ども被災者支援法1条)は認めざるをえないはずである。国には「原子力災害から国民の生命、身体及び財産を保護すべき責任」(同法3条)及び「施策の具体的な内容に被災者の意見を反映」(同法14条)させるために必要な措置を講ずる責任がある。 4 区域外避難者を含む群馬県内の原発事故避難者が国と東京電力を相手取り損害賠償を求めた裁判で、前橋地方裁判所は、本年3月17日、区域外避難者に対する関係でも、国の事故責任を認める判決を言い渡した。したがって、区域外避難者に対する国の責任は、もはや「これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任」(同法3条)にとどまるものではなく、国家賠償法上の加害責任を前提としたものでなければならない。 5 国は、原発事故の加害責任に鑑みれば、区域外避難者が避難を続けることができるよう、住宅の無償提供などを続ける責務を負うべきである。また、応急仮設住宅の打ち切りによって、区域外避難者の生活上の負担が過大なものになっていることは、子ども被災者支援法上も対処が求められる問題である。復興大臣は、被災者支援の責任者であるから、当然、これらの問題に責任を負う。 しかし、今村復興大臣の発言は、区域外避難者の悲鳴を前に、その実情から目を背け、法的な責務を無視して、政府は何も対処する必要がないと言っているに等しく、言語道断というほかない。大臣自身の責任を避難者の「自己責任」にすりかえて、住宅打ち切り問題を切り捨てることは、福島原発事故の被害そのものを切り捨て、無にしようとするものであり、強い非難に値する。今村復興大臣は、被災者支援の責任者として全く不適格であるといわざるをえない。このような不適任者を閣内に放置することは、安倍内閣の被災者支援に対する姿勢、任命責任も問われる。 6 したがって、東京災害支援ネット(とすねっと)は、応急仮設住宅の提供打ち切り問題に関する本年4月4日の今村復興大臣の記者会見発言に抗議し、今村復興大臣に対して即時辞任を求め、直ちに自ら辞任しない場合には安倍晋三内閣総理大臣による罷免を求めるものである。 以上