とすねっとでは、山形市での相談活動を踏まえて、福島県から山形県に避難している皆さんに必要な救助について、要望書を執行しました。
広域避難する方に対して必要な救助を実施することの要望書
厚生労働省 社会・援護局総務課災害救助・救援対策室 御中
福島県災害対策本部 御中
山形県 建築住宅課・住宅宅地担当 御中
独立行政法人雇用・能力開発機構 御中
とすねっと要望書第27号
平成24年2月2日
東京災害支援ネット(とすねっと)
代表 森 川 清
(事務局)
〒170-0003 東京都豊島区駒込1-43-14
SK90ビル302森川清法律事務所内
電話:080-4322-2018
第1 要望の趣旨
1. 国は,福島県と連携して,各都道府県に対して,応急仮設住宅の付帯設備の設置,生活必需品の給付・貸与に遺漏がないか確認して,不足がある場合には,措置を講じるように要請してください。
2. 山形県は,応急仮設住宅の付帯設備(電灯・ガス台・カーテン・給湯器・エアコン・暖房器具等)を設置し,生活必需品(布団・炊飯器等)を給付・貸与してください。
3. 山形県は,応急仮設住宅に,シャワー設備を設置してください。
4. 独立行政法人雇用・能力開発機構は,応急仮設住宅としての雇用促進住宅に,付帯設備(電灯・ガス台・カーテン・給湯器・エアコン・暖房器具等)を設置し,生活必需品(布団・炊飯器等)を給付・貸与してください。
5. 独立行政法人雇用・能力開発機構は,応急仮設住宅としての雇用促進住宅に,シャワー設備を設置してください。
6. 山形県は,仮に,雇用促進住宅が応急仮設住宅でない場合には,福島県及び独立行政法人雇用・能力開発機構に対して,雇用促進住宅を借り上げ,民間借り上げ住宅と同様の救助が行えるようにしてください。
第2 要望の理由
1. わたしたちは、東日本大震災の被災者を支援する活動に携わっている弁護士・司法書士・市民等のボランティア・グループです。
これまでに,主に都内等に県をまたいで避難された広域避難者を対象とした相談会等を実施し,寄せられた相談に対応して,国や東京都,福島県などに災害救助法により救助できる避難所における食事等や,応急仮設住宅に設置できる設備や,給付・貸与可能な生活必需品の提供について要望をし,または,東京電力に対して,住民登録がなかった被害者に仮払補償金の支払いや,電気料金の猶予を要請するなどの活動をしています。
2. この度,山形県に避難する福島県民の要請により,相談会を実施したところ,山形県内に避難する福島県民に対して,災害救助法で設置可能な付帯設備や給付・貸与できる生活必需品が提供されていないことから,ますます生活に支障をきたしているとの相談が多数寄せられました。
3. 災害救助法は,単に第23条により「応急仮設住宅」の供与を定めるだけですが,同条3項は,救助の程度,方法及び期間に関しては政令に委任していることから,「災害救助法による救助の程度,方法及び期間並びに実費弁償の基準(平成12年3月31日厚生省告示第144号)」(以下「平成12年省令」という。)等,政省令により具体的な救助の内容を決することになります。
併せて,運用にあたっては,政省令の解釈を示した,「災害救助の運用と実務-平成18年度版-(第一法規)」(以下「運用と実務」という。)を参考にすべきところです。
4. すると,まず,応急仮設住宅は,住宅の全壊等により「居住する住家がない者であって,自らの資力では住宅を確保することができない者」に対して供与されることになるので,「その性格から,何も準備もない者が,直ぐに入居して使用できるように,最低限度の整備はなされているのが通常」であるので,応急仮設住宅設置のために支出できる費用の算定として,風呂および給湯器,電気設備及びガス設備(ガス台含む),等と建物附帯設備として設置が認められています(運用と実務279頁)。
なお,ここでいう風呂及び給湯器には,必要的にシャワー機能が含まれるかについては必ずしも明確ではありませんが,応急仮設住宅は,支出の限度額の範囲内で,高齢者,障害者等の日常生活上特別な配慮をした構造・設備とするための費用も含まれる(災害救助の運用と実務59頁)とされており,当然に風呂用給湯器にシャワーを設置することは可能です。一般に子どもは放射線感受性が高いと評価されており,原発事故による被曝の危険から避難する世帯の多くは,子どものいる世帯となっていますので,子どものいる世帯にシャワー設備は不可欠と言えます。
5. 次に生活必需品は,応急仮設住宅供与の有無にかかわらず認められています(平成12年省令4条)が,避難所においては,生活必需品の内,炊き出しその他食品の給付により,食事の需要を満たしていたことから,鍋・釜(炊飯器)等は,避難所で直ちに給付・貸与されていなかったものと思われます。したがって,仮設住宅に入居する際に,他施策(日赤6点セット)で給付された物品を除き給付されるべきです。
6. なお,雇用促進住宅は,災害救助法上の応急仮設住宅にあたらないとの見解を聞くことがありますが,被災者・被害者に対しては,借り上げ住宅と同様に割り当て,説明がなされているのであるから応急仮設住宅に該当します(この点,当団体が,平成23年9月9日厚労省社援総務災害対策室に電話確認に対して,「雇用促進住宅は,機構から求償請求はないが仮設住宅である。」と明確に回答しています。)。したがって,独立行政法人雇用・能力開発機構は,独自に,応急仮設住宅として付帯設備の設置及び生活必需品の給付・貸与をすることができると思料しますので,要望の趣旨記載の要望を履行してください。
仮に,雇用促進住宅が応急仮設住宅でない場合には,山形県が借り上げを実施する必要があります。山形県は,至急借り上げの手続きを行って,民間借り上げ住宅と同様の救助が可能な状態に置いてください。
7. 上記より,要望の趣旨記載の要望をしますので,至急措置を講じて下さいますようお願いします。
以上