小品日録

ふと目にした光景(写真)や短篇などの「小品」を気の向くままに。

金子光晴 「(二人がのんだコーヒ茶碗が)」

2007-02-04 23:22:16 | 
「山之口貘君に」と添え書きがされている詩です。

「二人がのんだコーヒ茶碗が
 小さな卓のうへにのせきれない。」
とはじまって、二人が、テーブルを挟んで長い時間向かい合っている様子が浮びます。

「友も、僕も、しゃべらない
 人生について、詩について、
 もうさんざん話したあとだ。」
というわけです。
もう、話す必要もなく、お互いにそれぞれの想いに耽って、「かんばしい空虚」の「幸福な時間」をすごしているというのが、とてもいい感じです。

女たちへのいたみうた―金子光晴詩集

集英社

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