この日の「富士日記」は、とても長くて、文庫本で9ページにもなります。
道路管理事務所で会った、「顔見知りだが名前は知らない人」(周囲から敬遠されている)とのやりとりに、著者のはっきりとした性格が出ていて面白いです。
その人に、「ねえ、奥様、この暮れか正月には招ばれたい。行ってもいいですか」と言われると、
「うちはきてもらいたい人を招ぶの。来てもらいたい人は、こっちが決めて、こっちが招ぶの。招ばれなかったら、きてもらいたくないか、用事がないかだね」とピシャリ。
続いて、「私のところでは男前でなくては招びません」などとも。
これとは対照的に、スタンドのおじさんは、とても気の合う人で、その人柄がわかるエピソードが、温かな目を通して描かれています。
おじさん、ホントにいい人だなあ。
中公文庫「富士日記(中)」で、どうぞ。
道路管理事務所で会った、「顔見知りだが名前は知らない人」(周囲から敬遠されている)とのやりとりに、著者のはっきりとした性格が出ていて面白いです。
その人に、「ねえ、奥様、この暮れか正月には招ばれたい。行ってもいいですか」と言われると、
「うちはきてもらいたい人を招ぶの。来てもらいたい人は、こっちが決めて、こっちが招ぶの。招ばれなかったら、きてもらいたくないか、用事がないかだね」とピシャリ。
続いて、「私のところでは男前でなくては招びません」などとも。
これとは対照的に、スタンドのおじさんは、とても気の合う人で、その人柄がわかるエピソードが、温かな目を通して描かれています。
おじさん、ホントにいい人だなあ。
中公文庫「富士日記(中)」で、どうぞ。
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街に流れる「ジングルベル」の音楽に翻弄される「僕」。
駅前の食堂では、苦手なはずのウナ丼を無意識のうちに注文してしまい、泣く泣く食べた挙げ句に、値段の高さに驚かされます。
さらには、電車も止まって、彼女との待ち合わせには2時間も遅れてしまうなど、散々な目に遭うことに・・・
自ら事態を招いているようなところもあって、帰りにミカンをたくさん買ってしまうところも笑えます。
不実な恋人や公職追放で仕事のない父親などをめぐり、生きていくことの徒労がユーモラスに描かれた短篇です。
「セント・ニコラスのおじさんよ。あなたにはかないません。どうせ僕は橇に縛りつけられたトナカイです。」
講談社文芸文庫『ガラスの靴・悪い仲間』で、14ページ。
そういえば、徳田秋声の「仮装人物」の冒頭では、サンタクロースの仮装をさせられた主人公が、煙草に火をつけようとして髭が燃えてしまったというエピソードが語られています。
どうやら、クリスマスには、ちょっと滑稽な、苦みのある出来事が似合うようです。
駅前の食堂では、苦手なはずのウナ丼を無意識のうちに注文してしまい、泣く泣く食べた挙げ句に、値段の高さに驚かされます。
さらには、電車も止まって、彼女との待ち合わせには2時間も遅れてしまうなど、散々な目に遭うことに・・・
自ら事態を招いているようなところもあって、帰りにミカンをたくさん買ってしまうところも笑えます。
不実な恋人や公職追放で仕事のない父親などをめぐり、生きていくことの徒労がユーモラスに描かれた短篇です。
「セント・ニコラスのおじさんよ。あなたにはかないません。どうせ僕は橇に縛りつけられたトナカイです。」
講談社文芸文庫『ガラスの靴・悪い仲間』で、14ページ。
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そういえば、徳田秋声の「仮装人物」の冒頭では、サンタクロースの仮装をさせられた主人公が、煙草に火をつけようとして髭が燃えてしまったというエピソードが語られています。
どうやら、クリスマスには、ちょっと滑稽な、苦みのある出来事が似合うようです。
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床屋を出ると、急に日が暮れて、赤く大きな月が真っ黒な切れ雲に入り、あたりは真っ暗になってしまった。
何だか狐に騙されたようで、遠回りしてようやく家にたどり着くと、甘木さんが、「ウフッ」と笑う妖しげな大女を連れてきて待っています。
どうみてもただの人間ではありません。
そして、先生相手に、おかしな遊びをはじめるのですが・・・
百の「恐怖系」の作品に属するものですが、夢の続きを見ているようで、ちょっと艶めかしさも感じられる作品です。
「木くらげ」を「かじつて見ようか知ら、ごりごりと」というところが、やはりコワいです。(キャー!)
旺文社文庫『實説艸平記』で、6ページ。
講談社文芸文庫「戦後短篇小説再発見〈10〉表現の冒険」、
ちくま文庫「百集成<4> サラサーテの盤」等に収録。
何だか狐に騙されたようで、遠回りしてようやく家にたどり着くと、甘木さんが、「ウフッ」と笑う妖しげな大女を連れてきて待っています。
どうみてもただの人間ではありません。
そして、先生相手に、おかしな遊びをはじめるのですが・・・
百の「恐怖系」の作品に属するものですが、夢の続きを見ているようで、ちょっと艶めかしさも感じられる作品です。
「木くらげ」を「かじつて見ようか知ら、ごりごりと」というところが、やはりコワいです。(キャー!)
旺文社文庫『實説艸平記』で、6ページ。
講談社文芸文庫「戦後短篇小説再発見〈10〉表現の冒険」、
ちくま文庫「百集成<4> サラサーテの盤」等に収録。
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