小品日録

ふと目にした光景(写真)や短篇などの「小品」を気の向くままに。

芥川竜之介 「天才」(『侏儒の言葉』より)

2006-07-23 23:59:02 | 箴言・断片
『侏儒の言葉』の中の「天才」についてのアフォリズムは、作家としての芥川の悩みが出ているようです。
例えば、
「民衆も天才を認めることに吝かであるとは信じ難い。しかしその認めかたは常に頗る滑稽である。」
とか
「天才の悲劇は『小ぢんまりした、居心の好い名声』を与えられることである。」
など、孤独感が強かったんでしょうね。
「同時代はそのために天才を殺した。後代はまたそのために天才の前に香を焚いている。」
などと書いているのは、あまりにもはまりすぎです。
岩波文庫などで。
侏儒の言葉・文芸的な、余りに文芸的な

岩波書店

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吉本隆明 「過去についての自註」(『初期ノート』あとがき)

2006-07-21 23:59:57 | 箴言・断片
週末の今日は、仕事帰りに本屋に寄って、何日か前に新刊文庫の広告に出ていた、吉本隆明の『初期ノート』を買ってきました。
はじめの数十ページをざっと読んでから、「あとがき」に相当する「過去についての自註」を読んでみました。
自分の過去の思想の歩みを(未成熟な時代を含めて)、堂々と、隠すことも飾ることもなく、ごく自然に公刊できるというところに、著者の大きさを感じました。
現実や体験によって思想を作り上げてきたことに裏付けられたものでしょう。
この「自註」には、青春時代の思想形成の源泉となるような思い出も語られていて、『初期ノート』への興味を深めてくれます。
ボリュームがありますが、これから、少しずつ読んでいきたいと思います。
光文社文庫から出ています。
初期ノート

光文社

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芥川竜之介 「輿論」(『侏儒の言葉』より)

2006-07-12 23:59:59 | 箴言・断片
河童忌が近づいてきました。

アフォリズム集『侏儒の言葉』から、「輿論」です。
「輿論は常に私刑であり、私刑はまた常に娯楽である。
 たといピストルを用うる代わりに新聞の記事を用いたとしても。」

コワイことです。

岩波文庫・新潮文庫などで。
侏儒の言葉・文芸的な、余りに文芸的な

岩波書店

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