20世紀の代表的な小説であるこの大長編、一度読んだきりですが、話者と祖母との電話の場面が印象に残っています。
第三編「ゲルマントのほう」Iの一に出てくるエピソードで、井上究一郎訳のちくま文庫版では、第4巻の219~226ページです。
電話がもらたす遠く離れた人の声の現前の不思議さ、そしてその儚さを、見事に書いていて、ちょっと感傷的でもあります。
この文章を読むと、電話で話すという行為が、日常を超えた神秘的な世界の出来事であるように思えてきます。
「読書の秋」ということで、こんな大作に取り組んでみるのも如何でしょうか?
第三編「ゲルマントのほう」Iの一に出てくるエピソードで、井上究一郎訳のちくま文庫版では、第4巻の219~226ページです。
電話がもらたす遠く離れた人の声の現前の不思議さ、そしてその儚さを、見事に書いていて、ちょっと感傷的でもあります。
この文章を読むと、電話で話すという行為が、日常を超えた神秘的な世界の出来事であるように思えてきます。
「読書の秋」ということで、こんな大作に取り組んでみるのも如何でしょうか?
失われた時を求めて〈4 第3篇〉ゲルマントのほう 1筑摩書房このアイテムの詳細を見る |
前回の写真で、「小物」の可愛らしさを感じて、『特性のない男』のこの章を思い出しました。
「愛は盲目にする。あるいは、探索されない微妙な問題」と題された章で、主人公「特性のない男」ウルリヒと、「双子の妹」アガーテとが、「愛」についての議論をしている場面です。
そこに、ふと挟まれる、張り子の小馬に対する子供時代の愛情についてのエピソードが、理屈ばった会話の中で、甘くて少し切ない感情を呼び起こします。
その小馬の入れ物の中から菓子を取りだしてゆっくりと味わう、というシーンが、何ともいいです。
「ムージル著作集第5巻 特性のない男V」(松籟社)で読めます。
「愛は盲目にする。あるいは、探索されない微妙な問題」と題された章で、主人公「特性のない男」ウルリヒと、「双子の妹」アガーテとが、「愛」についての議論をしている場面です。
そこに、ふと挟まれる、張り子の小馬に対する子供時代の愛情についてのエピソードが、理屈ばった会話の中で、甘くて少し切ない感情を呼び起こします。
その小馬の入れ物の中から菓子を取りだしてゆっくりと味わう、というシーンが、何ともいいです。
「ムージル著作集第5巻 特性のない男V」(松籟社)で読めます。
特性のない男 5松籟社このアイテムの詳細を見る |
最近、なかなか本を読めないのですが、久しぶりに、本館読書室を更新しました。
今回の本は、橘木俊詔「格差社会 何が問題なのか」(岩波新書)です。
日本で格差が拡大しているのは、誰しも実感していることでしょうが、その根本原因を探り、解決策を考えるところまでは、なかなか至りません。
この本を読むと、格差問題をより理解する一助になることと思います。
本書は、あくまでも常識的なことを述べているように思うのですが、こうした対策を現実に行うには、一筋縄ではいかないんでしょうね。
今回の本は、橘木俊詔「格差社会 何が問題なのか」(岩波新書)です。
日本で格差が拡大しているのは、誰しも実感していることでしょうが、その根本原因を探り、解決策を考えるところまでは、なかなか至りません。
この本を読むと、格差問題をより理解する一助になることと思います。
本書は、あくまでも常識的なことを述べているように思うのですが、こうした対策を現実に行うには、一筋縄ではいかないんでしょうね。
格差社会―何が問題なのか岩波書店このアイテムの詳細を見る |
説明は無用と思われますが、二葉亭四迷訳の「あひゞき」に影響を受けて、独歩が武蔵野の魅力を書いた短篇です。
「武蔵野に散歩する人は、道に迷うことを苦にしてはならない。どの路でも足の向く方へゆけば必ず其処に見るべく、聞くべく、感ずべき獲物がある。」
そこに描き出される光景を思い浮かべると、ホントにそうだなあ、と思ってしまいます。
前出の「寂しさの歌」とは、ある意味で正反対ですが、逃れがたい魅力があります。
風景の創出と内面の発見などについて、柄谷行人が「日本近代文学の起源」(講談社文芸文庫)で論じていますので、こちらと併せ読むといろいろと考えるところがありそうです。
「武蔵野に散歩する人は、道に迷うことを苦にしてはならない。どの路でも足の向く方へゆけば必ず其処に見るべく、聞くべく、感ずべき獲物がある。」
そこに描き出される光景を思い浮かべると、ホントにそうだなあ、と思ってしまいます。
前出の「寂しさの歌」とは、ある意味で正反対ですが、逃れがたい魅力があります。
風景の創出と内面の発見などについて、柄谷行人が「日本近代文学の起源」(講談社文芸文庫)で論じていますので、こちらと併せ読むといろいろと考えるところがありそうです。
武蔵野岩波書店このアイテムの詳細を見る |
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