小品日録

ふと目にした光景(写真)や短篇などの「小品」を気の向くままに。

井伏鱒二 「夜ふけと梅の花」

2006-03-13 22:00:06 | 小説
梅の花咲く頃、夜更けの道を歩いていた「私」は、電信柱の影から出てきた男に話しかけられる。
男は、酔っぱらって、顔にひどい怪我をしており、「私」はいやいやながら相手になっていると、男はお礼に金を渡して去ってしまう。
その金を返さなければと気にしていながら、手元不如意でなかなか返すことができなかったが、一年も経ってやっと男の勤め先に出向いてみると、男は売り上げを持ち逃げしてとうにいなかった。
「酔えば酔うほど、俺はしっかりするんだ!」と空威張りしながらも、男と梅の花と電信柱の幻影に脅かされる姿がおかしいです。
新潮文庫『山椒魚』で、17ページ。
山椒魚

新潮社

このアイテムの詳細を見る

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 寺田寅彦 「ジャーナリズム... | トップ | 寺田寅彦 「春六題」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

小説」カテゴリの最新記事