夏休みも残り一日。
子供の頃、終わり近くになって、あわてて宿題の残りを片づけたものでした。
この「宿題」という小説は、そんな記憶から生まれた悪夢のような小説です。
弘前から東京の小学校へ転校してきた、小学五年生の「僕」は、夏休みもあと八日というとき、銭湯で同級生から、「宿題やったか?」と聞かれて、はじめて宿題帖をひらきますが、結局、最終日の夜まで書き込まれることはありません。
ところが、一晩でそれを仕上げる大胆な手がありました。
何とか無事に(?)乗り切ったと思われたのですが、もって生まれた性分の導くところは、大転落への道でした。
状況が悪化していくのを感じながらも、どうすることもできずに坂を転げ落ちてゆく小学生の姿が、可笑しさを生み出す一方で、また恐怖感をも引き起こします。
今夜は久しぶりに宿題の夢にうなされるかも知れません。
講談社文芸文庫『ガラスの靴・悪い仲間』で、38ページ。
子供の頃、終わり近くになって、あわてて宿題の残りを片づけたものでした。
この「宿題」という小説は、そんな記憶から生まれた悪夢のような小説です。
弘前から東京の小学校へ転校してきた、小学五年生の「僕」は、夏休みもあと八日というとき、銭湯で同級生から、「宿題やったか?」と聞かれて、はじめて宿題帖をひらきますが、結局、最終日の夜まで書き込まれることはありません。
ところが、一晩でそれを仕上げる大胆な手がありました。
何とか無事に(?)乗り切ったと思われたのですが、もって生まれた性分の導くところは、大転落への道でした。
状況が悪化していくのを感じながらも、どうすることもできずに坂を転げ落ちてゆく小学生の姿が、可笑しさを生み出す一方で、また恐怖感をも引き起こします。
今夜は久しぶりに宿題の夢にうなされるかも知れません。
講談社文芸文庫『ガラスの靴・悪い仲間』で、38ページ。
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