村上春樹の短編小説に「眠り」というのがある。ある平凡な主婦が何日も眠れなくなってしまい、いろいろなことを考える中で、自分はいったい何の為に日々平凡な生活をくりかえしているのかという問いかけるといった内容だったと思う。
この主人公とある意味で、まったく反対の方向へいったのは、トルストイの「イワン・イリイチの死」で死を宣告された主人公である。この主人公は、信仰により絶望の中から光をみいだしてゆく。
ここで私が言いたいことは、自分の精神がどこに立脚しているかによってものの見え方は変わるということだ。
自身が深い精神性に貫かれた日々であるならば、どんなに平凡なことであれ輝かせることができるのではないかと思う。