智の庭

庭の草木に季節の移ろいを感じる、日常を描きたい。

月イチ歌舞伎

2017年03月17日 | 読書、観劇、映画
新年早々、坂東玉三郎様の「阿古屋」



玉三郎様が、お琴、三味線、胡弓を演奏されて、音曲の調べにのせて、たっぷりと魅せます。

二月は、片岡仁左衛門様の「女殺油地獄」



私がずいぶん若いころ、片岡「孝夫様」演じるこの作品から衝撃を受けました。

主人公の衝動性、家族に暴力を振るい、周囲にも因縁つけて喧嘩、賭け事と借金、そして強盗殺人

他者の情に鈍感で、自分の激情のまま行動する犯罪者の心理や言動を、近松門左衛門は洞察しており、

孝夫様の迫真の技に、圧倒されました。

久しぶりに拝見する、仁左衛門様となられた今も、スゴミがありました。


三月は、玉三郎様の「二人藤娘/日本振袖始」



藤娘は、玉三郎様と若手の競演で、

同じ手の所作でも、若手は右から左への移動で、「教わりました」通りの動きで、

玉三郎様は、指先から音曲の調べが流れ出るように、緩急や抑揚が表現され、ふわっと浮いた手の先に、何かが見える。

顔の向き、まばたき、まぶたの伏せ具合、すべてが音楽の流れに合って、心に染み入るばかり。


お次の振袖始では、玉三郎様は、恋に破れた怨念から八岐大蛇(ヤマタノオロチ)となった姫の役、

人身御供の美しく若い女性を喰らい、素戔嗚尊(スサノオノミコト)と戦います。

八つの酒壺を次々飲み干していく様、8つの頭を持つ大蛇に変身し、大立ち回り、呪いをかける様、

笛と太鼓の「ぴー・・・  どどどんどんどん」がオドロオドロしく、足で床を踏み鳴らす「どんどんどん」も効果的で、

身を乗り出して、見入ってしまいました。

無声映画における弁士のようなお囃子とお唄によって話が展開し、役者もミュージカルのように唄って踊って決めセリフを放つ。

いやあ、楽しいですね。

やはり、「日本の宝」ですね 。


今年度は、5月から始まります。



帰宅した後、クイックルワイパーを藤の枝に見立て、「たたん~たあたん~」しばし余韻に任せて踊る私でした・・・