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tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

無題の旅~上信電鉄・上毛電鉄 1日目

2013-03-22 23:00:00 | 旅と散歩と山登り
9:07 高麗川駅、八高線。高崎を目指しているが、高崎線で行くのは面白くないと思い、中央線・立川、青梅線・拝島と乗り継ぎここまでやって来た。高崎線を使うほうが1時間早く着けるが、急ぐ旅ではない。高崎まではここからおよそ1時間半の乗車。2両編成で、4人がけボックス席を1人で使えるくらいの空き具合。

八高線は、山とも平野ともつかぬ、郊外とも田舎ともつかぬ、いかにも「関東平野の周縁部」といった感じの曖昧なエリアをのんびり走る。
9:53 寄居で5分間の停車。ホームに出て伸びをしたりしている。陽射しが気持ちいい。東飯能、高麗川、越生、小川町、そしてここ寄居と、八高線は意外と他の路線とつながっている。

10:40に高崎に着く。八高線のホームの向かい側に上信電鉄のホームがある。かつては跨線橋を隣に渡るだけで行けたのではないかと思われるが、JRとは冷酷なまでに切り離され(画像左側の金網で遮断された向こうはJRのホームだ)、大回りしてJRの改札を出て、コンコースを歩き、ここまでやって来た。切符売場で1日乗車券を買う。2160円。終点・下仁田までが1080円だから、ちょうど往復分の金額。全33.7km、20駅の旅。

2両編成の電車が止まっている。どこかの私鉄のお古なのかな…と思うが、「顔」を見てもわからない(帰宅後調べたら、上信電鉄のオリジナル車両だった)。「人形処かんとう」と広告が。最初は「かりんとう」に見えて和菓子屋なのかと思った。車体全面を何色も使って塗りたくっての堂々たる露出っぷりは、東京都の屋外広告物条例(確か広告面積が車体面の10分の1を超えてはいけないはずだった)だったら間違いなくひっかかりそうな「過剰感」があるけれど、ローカル線が生き残るための貴重な資金源なら仕方のないところなのだろう。

反対側はこんな顔。スタイルも違えば色も全然違う。11:03発。

11:33 上州福島着。駅から3kmほど離れたところに城下町があるというので、駅で無料の自転車を借りて(「甘楽町振興課」とステッカーが貼ってある)漕ぎ出す。見知らぬ町で自転車に乗っているというだけで、なんだか愉快。

快適に飛ばしていると、左手にいかにも見晴らしが良さそうな小高い土手が現れたので、登ってみる。西の方向に、ギザギザの妙義山、雪をかぶる浅間山が見える。手前の建物は甘楽町役場。「甘く楽しい」、か…と思い、はたと気づく。先ほど通り過ぎたスーパー「スイートハッピー」、ずいぶん能天気で軽いノリの名前だなと思ったら、これだったのか。

ピンク色の花で彩られた土手。土手の上は畑なので、堆肥のにおいが少し風に風に乗ってくるが、それもまた春めいた雰囲気。

12:01 城下町らしい佇まいになってきた。乗ってきた自転車とともに町屋を写す。桜並木が続いている。東京は今日が満開だが、この辺は開花もまだ。

桜並木の下には水路が流れている。雄川堰。水辺まで下りられる洗い場があったり、葬送の時にだけ使われるという石橋「葬礼橋」が架かっていたり。

並木道から入ったところにある小幡八幡神社。

神社の裏手の山に登る。北側には榛名山が。

武家屋敷通り。往時のままの石垣。

12:45 池泉回遊式の大名庭園「楽山園」。織田信長の次男・信雄による造営という。群馬で織田、というのは少し意外な組み合わせに感じる。小高い芝生の高まりの上に小ぢんまりとした茶室があり、座敷に上がれる。殿様気分で庭園を眺める。穏やかな陽射しと吹き渡る風が気持ちいい。これはいい茶室だ。

池をめぐり、茶室を振り返る。子どもたちが伸び伸びと走り回っている。人を開放的な気分にさせる空間だ。

園を出て再び城下町。「喰い違い郭」。石垣が手前と奥とで段違いに築かれている。看板に「戦の時の防衛上造られた」との説明とともに、「下級武士が上級武士に出会うのを避けるため隠れた」とも。あはは。上司と街角でばったり会えば面倒なのは、昔も今も変わらずか。

町の一角にある「道の駅甘楽」で唐揚げ定食を食べ(観光施設というより地元の人たちの食堂、という感じだった)、元来た道を上州福島駅へ戻る。ホームから見た駅舎。改札から乗り場までのこの気楽なアクセス。橋上駅舎がいかに非人間的かがわかる。

上下線が行き違う。右側、旧西武鉄道の車両に乗る。13:48発。

14:08 上州福島から2駅、上州富岡で下車し、駅から徒歩10数分の富岡製糸場へ。

明治5(1872)年にできた日本で最初の「官営模範器械製糸工場」で、当時は世界最大規模を誇ったという。この地が選ばれたのは、もともと周辺で養蚕が盛んだったこと、糸を繰るのに必要な大量の水を川から確保できたこと、蒸気機関の燃料となる石炭が近くの高崎や吉井で採れたことなどが理由だそうだ。

「木骨レンガ造り」つまり「木組みのレンガ積み」という工法が変わっている。レンガをタテヨコ互い違いに積むのは「フランス積み」というのだそう。ここではフランス人技術者を呼び寄せて製糸法を学んでいたが、彼らがワインを飲む様子が誤解されて「異人に生き血をしぼりとられる」と噂され、なかなか工女が集まらなかったらしい。

驚くのは、この工場は昭和62(1987)年まで現役で使われていたということだ。だからこそこれだけきちんと残ってきたわけだな。

レンガと瓦の組合せというのも面白い。

すずらんのような形の街灯も懐かしい商店街を歩く。富岡は「絵手紙」で町起こしをしているらしく、店頭に作品が飾られているのを見かける。

上州富岡駅は改築工事をしていて、プレハブの仮駅舎の向こうでは重機が旧駅舎を壊していた。新駅舎はやっぱりレンガ造りになるのだろうか。

「じょうしゅう」ならぬ「じようしゆう」のホームの駅名板も、付け替えられるのだろう。上信電鉄では新型車両(どこかの鉄道のお古ではなくオリジナル新製の)を走らせる予定もあるという。ローカル鉄道に明るい話題があるのは嬉しい。15:10発。

ワンマン運転で出口は一番前のドアなので、乗客は1両目に集中している。2両目をまるまるひとりで独占。窓を開けて風に当たる。「左右両方のピンチ状レバーをつまんで持ち上げる窓」というのも今や珍しいな。制服の駅員さんがいる駅もあれば、用務員さんのような格好をしたおばさんが切符を回収している駅もある。ローカル駅を守る仕事、というのも悪くない。僕だったら花壇作りなどに熱中しそうだ。

「なんじゃい」南蛇井駅。ユニーク駅名としてもうあまりにも有名か。今、漢字変換も一発でできたし。へび年の今年は記念入場券も発売されたという。「富岡製糸場を世界遺産に!」というスローガンは、車体に掲げている車両もあった。

南蛇井の次の駅、千平からは、山の中を縫うように(地図で見ても、それこそ蛇がのたうつように)走り、山中で止まったかと思えば信号所で上り列車と行き違い、15:34 終点・下仁田着。

下仁田はこんにゃくの町。「こんにゃく料理」ののぼりを出す旅館もあった。でも正直、「こんにゃく料理」と言われても、あまり食指は動かないかも知れない…。途中の電車の沿線にはあの「マンナンライフ」の工場も見えた。

人間サイズの路地の細さがいい雰囲気を醸し出している商店街が。ただ、営業しているのは肉屋さんくらいだった。

「撞球場」。ビリヤードを意味するのは字面で分かったが、読めなかった。「どうきゅう」。

「ガラス戸に貼られた、日焼けして色褪せたちょっと前の化粧品ポスター」というのも、こういう商店街にありがちなアイテム。

下仁田駅に戻る。乗ってきたのと同じ、真ん中の赤い車両(日野自動車の広告車両だそうだが、まったくわからなかった)に乗る。15:52発。

帰宅の女子高生が乗っているが、いかにも乗客の少ない路線らしく、座っているときの腰の落とし方や股の広げ方が、いかにも「油断している」感じがする。エロスを醸し出す「しどけない」というのとは全く違う意味で。僕はもっぱら体をよじって窓の外を眺めていたが、とある駅に着いて振り返ったら、前の座席の上に巾着袋がどすんと置きっ放しになっている。あわてて「バッグ忘れてるよ!」とドア口まで持っていって、ホームにいる子に渡してあげる。さっきまで座席で居眠りをしていたその子は、何が起きたのかよくわかっていないようだった。
16:33 吉井―馬庭間で鏑川を渡る。路線はずっとこの川に沿っている。

新幹線の高架下に信号場があり、上下線が行き違う。行きもここですれ違った。

16:52に高崎到着。乗車時間は1時間ジャストだったが、これくらいがちょうどいい気がする。電車に乗るのは好きだが、あまり長時間体を動かさないでいると、漫然としてくる。結局、「移動しているのに、移動していない」からだと思う。電車は動いているけれど、体はシートから動いていない。身体感覚は視覚の変化だけではごまかせない。体を実際に動かしてこそ「旅」なのだ。
17:05発の両毛線小山行きに乗り換える。

隣のホームに懐かしいカラーリングの車両が並んでいる。信越線と吾妻線。

17:20 前橋着。高崎に比べると駅前は閑散としている。ホテルへ。

ホテルにチェックインした後、再び街へ出る。前橋の中心市街地は前橋駅のだいぶ北側にある。
17:53 上毛電鉄の「中央前橋」駅。ここも「中央」というよりは、「北西のはずれ」といった感じか。

中央前橋駅前の歩道橋を上がると、夕暮れの薄闇に“ピンク色の花火”があがった。1F「ガールズバー」、2F「セクシーキャバ」、3F「セクシークラブ」の入るビル。このあたりの夜の店の佇まいは、やたらと「男の快楽」をあっけらかんと煽る感じで、「男に生まれて良かった!」などと、妙な朗らかさを発散する看板を出している店も。これが「群馬男児スタイル」なのか。

歩道橋を渡ると川が。広瀬川。利根川から分かれてきた川だけあって、水量がたっぷりとしていて、流れも速い。川沿いの遊歩道には、地元出身の萩原朔太郎をはじめとする詩碑が立ち並んでいる。暗さの中で目を凝らして音読してみる。

18:33 川を離れ、アーケード街を歩く。シャッターの下りた店が多い。閉店時間帯のためなのか、それとも、商売自体をやめているためなのかはわからない。不思議なオブジェが置かれている謎の一角が。何らかの作品なのか、ただの「物の積み重なり」なのか、わからない。

飲み屋街の路地の入口。「呑龍」とはまた、底無しの酒欲・食欲を思わせるネーミングだな。
…だが、飲み屋はあっても、適当な食堂が見当たらない。「前橋名物・とんかつうどん」なるものを出しているレストランはあったが、ショーケースを1分くらい凝視した後、どうもしっくりこず、離れた。しかし、その店を離れたら最後、飲み屋と夜の店(やはりどの店も男の欲望に直球で突っ込む看板を出している)以外に食べ物屋は見つからず…。

思いも寄らなかった展開だが、「前橋元気プラザ21」なる複合ビル(「男の欲望街」を歩いた後はなにやら意味深に響くネーミングだが、れっきとした公共施設らしい)の地下にあるスーパーで、タンドリーチキン弁当を買ってホテルに帰った。旅情もへったくれもない。せめてものこだわりは、「上州みそパン」なる“ご当地パン”っぽいパン(メーカーは第一パン)を買ってみたこと。ただ、味はいまひとつだった。


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堕ちた母校

2013-03-21 12:23:16 | 雑感
サンデー毎日が高校別の有名大学合格者数を掲載している。

わが母校、いや、「母校」と呼ぶほど愛着はないので、「出身校」の落ち込みがひどい。

僕のいた頃は、大学付属高校を除けば県内トップクラスの私立高校だったのに、
今や、僕が当時「滑り止め」として受けていた高校にも負けている。
比較的新設とおぼしき、聞いたことのない高校にも負けている。

まあ、そうだろうな、と思う。

そもそも、僕がいた頃だって、県立トップ校を落ちた、
いわば「負け犬」が集まっている高校、という負の印象が強かった。
「私立ならではの英才教育」が充実している印象もなかった。
男子校なので殺伐ともしていた。
入試前に学校を見に行って、敷地の周りを歩いたら、
田んぼの畦道のような、ドブの土手のようなところにエロ本が落ちていた。

何年か前に学校全体の同窓会が開催された。
この高校の卒業生の中でただ1人しかいないであろう有名人が、講演を行なった。
彼が喋っている最中に客席のあちこちからすっと腕が伸びる。ケイタイで彼を撮っているのだ。
…ああ、なんか田舎者の集まりなんだな、と思う。
講演の後、立食式のパーティー会場に移ったのだが、そこでも驚かされる。
挨拶も乾杯も始める前に、テーブルの料理をつつき始めた奴があちこちで出たのだ。
こいつら、何もモノを知らないし、空気も読めないんだな…。
この高校が「一流」になれない理由がよくわかった。
同窓会にもかかわらず、出席した教員がほとんどいないのもこの高校らしかった。
業務以外のことには興味がないのだろう。
もちろんこちらのほうも、懐かしく思い出したくなるような教員はいないわけだが。
その後も同窓会は開催されたようだが(そして変わらず、「彼」が講演しているようだが)、
行っていない。

今の学校理事長は、僕がいた当時の理事長の息子、それもバカ息子で、
僕がいた当時は現役の教師をしていたが、ゴールデンウィークの真ん中の平日、教室に授業に来て、
「なんで連休の狭間に授業しなきゃなんないのかね…」と深々と溜息をついてみせるような奴だった。
厭世的な皮肉屋だが、切れ味鋭いわけでもなく、コンニャクのようにヌラヌラとした奴だった。
それが今、学校のトップに君臨しているわけだからな…何をかいわんや。

もちろん、有名大学進学者数がすべてではない。
しかし代わりに、受験勉強以外の学術・芸術やスポーツで才を伸ばしている学校、という評判も聞かない。
そして、いい評判がないからといって、OBとして支援の手を差し伸べたくなるわけでもない。

自分に子どもができたら、高校選びは大事だよ、と教えたい。

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ゴミ分別

2013-03-20 18:22:00 | 雑感
ゴミの分別は相当しっかりやっている。

ビン、カンは当然のこと、ペットボトル、牛乳パック、食品トレー類は、
食器洗いの際に残り水でさっと洗い流し、スーパーの回収ボックスへ。

古新聞は月1回業者が回ってきてトイレットペーパーと換えてくれる。
おかげでトイレットペーパーは買ったことがない。

食品やティッシュの空き箱などの雑紙類は、新聞とは別に紙袋に溜めている。
そんなに多く出るわけではないので、捨てるのは2~3ヶ月に1回くらい。

プラスチックゴミ(「プラ」マークのついているもの)は他のゴミと分けている。
うちの区では「プラ」ゴミを資源としてリサイクルしているらしい。
家で冷凍食品や出来合いの食材を使うと(つまり外食せずに「内食」「中食」すると)結構溜まる。
重くはならないが、嵩が張る。それでも捨てるのは月に1回くらいか。
なるべく潰したり重ね合わせたりして、コンパクトにするようにしている。

着古した衣類は、ちぎって鍋や皿の油汚れをこそぎ取るのに使うか、
まとめて実家に持っていき、資源ゴミとして出してもらう。
(うちの区では「燃えるゴミ」にしかならない)。

不燃ゴミ、粗大ゴミはまったくと言っていいほど出ない。
ここ何年かで思い出せるのも、うっかり割ってしまった花瓶代わりのグラスくらいか。
マットレスも、細かく刻んで「燃えるゴミ」で出した。
壊れたコンポやデジカメも、ネットオークションに出したら売れたので、ゴミにせずに済んだ。

それ以外の「燃えるゴミ」について。
ティッシュペーパーが多いような気がする。
あとは、食品関係でリサイクル不能なもの。納豆のフィルムとか、具材を搾り出すパック類とか。
感熱紙のレシートや、宛名入りのDM類も細かくちぎって捨てる。
スーパーのレジ袋に溜めているが、ある程度溜まると、押し潰して嵩を減らし、一旦結んでしまう。
こうすると臭いを発しにくくなる。
そういう「小分け」のレジ袋がいくつか溜まってから初めて、まとめて捨てる。
そうすると捨てに行くのは2週に1回くらいで済む。

…大事なことを隠していた。
生ゴミの処分だ。
もともと家で料理はあまりしないので、野菜や果物の皮、魚の骨、卵の殻が時々出るくらい。
これをどうしているか。
実は、うちの裏がフェンスで囲まれた空き地になっているため、そこに撒いてしまっているのだ。
もちろん、そのものの形が残ったままだと汚らしいので、細かくちぎったり砕いたりしてから。
元々草むらになっているため、撒いた瞬間から見えなくなる。
広範囲にばら撒くので、臭いが起こることもない。
いずれ土になり、肥やしになってくれるだろう。
「不法投棄」といわれればその通りだろうが、回収ゴミの減量には寄与している。
その空き地を汚すことが目的ではないし、
窓から見える緑(小鳥も何かをついばみに下りてくる)としてここは貴重なので、
もしもその空き地にビニール袋や空き缶などの「土に帰らない」ゴミが落ちていたら、
逆に、フェンスを乗り越えてそれを回収しにいく。

ゴミ出しの回数は、ゴミの量は、少ないほうがいい。
いっそ回収を有料化してくれてもいい。ゴミ減量のモチベーションがもっと上がるだろう。

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悪趣味の極致「ピンクのクラウン」

2013-03-19 16:21:09 | 物申す
今日の朝刊。
2面分、つまり新聞を広げた全面を使って、トヨタの「ピンクのクラウン」の広告が。
男性著名人を集めて何やら渋谷でイベントをやるらしい。

クラウンに別に興味はない。
「タクシーによくある車種」程度の印象。「いつかはクラウン」の世代でもないし。
だが、「ピンクのクラウン」という、“悪趣味の極致”とも言うべきクルマには、野次馬的興味が湧く。

ところが、ネットで「クラウン 渋谷」で検索しても、それらしいイベントはヒットしない。
検索トップに上がってくるのは、渋谷にあるレコード会社「クラウンレコード」だ。
その下に当のクラウンの記事があるかと思えば、昨年すでに終わっているイベントのもの。
クラウンのホームページを見てみるが、「クラウン」のページでは何も見つからず、
「クラウンロイヤル」のページで、ようやくピンク色の小さなバナーを見つける。
それをクリックしてみるが、「イベントの様子を随時更新していきます」
という西尾由佳里のコメントが載っているだけ。

…まず、WEBの広告戦略が失敗だな。
新聞広告を見て、その先の、「このイベント何?HPで検索してみよう」という
読者の好奇心の掘り下げに応えられるフローができていない。
何のために数千万円(少なくとも1紙だけで)もの広告費を投下したのか。
残念。僕の好奇心もここまで。それ以上調べたいとも思わない。
まあ、大方、渋谷の街をピンクのクラウンが隊列を組んで走り回ったりするのだろう。
キャバクラかパチンコ屋の宣伝と受け取られそうだが。

それにしても“ピンクラ”だ。
(あえて愛称を付けよう。「ピンクのクラウン」は「ラッセンの絵」「中谷彰宏の本」などと同様、
「失笑を買うものの象徴」として定着しそうだ)
いったいどんな人種が乗るのか。
男なら、ヤンキーあがりの土建屋、中古車屋、不動産屋。
女なら、健康食品や化粧品、エステ業界でのし上がった「成金女王」。
あるいは、林家ペー・パー子か、マック赤坂か、オースティン・パワーズか。

芸能人が乗るのはいいだろう。ハッタリが利くから。
「全身ショッキングピンク」の逸脱・錯誤ぶり(有り体に言えば「イカレぶり」)が、
その人のキャラクターを補強するだろう。
凡庸で退屈な無個性タレントでも、天才“色”のオーラを帯びさせることができる。
「さすが芸能人」と。

そう。この車は「ハッタリ営業向き」なのだ。
大して中身もセンスもお持ちでない人が、実力以上に自分を見せたいときに効果的。
何しろ「全身ショッキングピンク」、ぐうの音も出ない。
見え透いた偽悪、安っぽい虚構、空疎な威勢だが、本人はその効用を無邪気に信じて真顔で乗っている。
それ以上攻め込めるポイントなどあろうはずもない。
つまり、最強。

広告のコピーも笑える。

権力より、愛だね。

…つまりこの人は今まで、「人生、権力だろ?」と思ってた、ということが前提にあるわけだよね。
そうじゃなきゃ、“比較対象”として「権力」なんてワードが出てくるはずはないんだから。
それが、「やっぱり権力より愛だ!」と思い直した。
なぜなら、彼(彼女)は、すでに「権力」は得ることができたと思っているから。
ヤンキーの頭になることだって、成金で財を築くことだって、権力の獲得なわけで。
ところが、彼(彼女)は、愛されていない。権力に見合うだけの愛を得ていない。
これはおかしい。…そうだ、「権力より愛」だ!「愛の色」と言えばピンクだ!
こうして行き着くのが「ピンク色の馬鹿でかいクルマ」というわけ。
権力も愛も、これ見よがしに見せつけるもんじゃないんだけどね。
権力と愛を天秤にかけるような歪な人種が行き着くクルマ。
権力は捨て切れず、愛は短絡的にしか理解しない、実は淋しい人種の乗るクルマ。

権力=他人を強制し服従させる力。
愛=いつくしみ合う気持ち。かわいがり大事にする気持ち。

物を買わせたい思惑をもつ企業が一般消費者におもねろうとして発するコピーなら、
「愛より権力」ではなくて「権力より愛」なのは当たり前なわけだけど、
その「言わずもがな」を大見得切って主張しちゃうところに、“ピンクラ”のイタさがあるね。

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鉄道沿線歩き~西武多摩湖線・山口線・狭山線

2013-03-17 23:00:00 | 旅と散歩と山登り
10:57 国分寺駅北口。再開発途上といった感じで、駅前の道路は歪な形をしている。通路の真ん中に人だかりができているのは、イチゴを売るリヤカー。ずっと前にこういう「駅前のリヤカー」でみかんを買ったことがあった。見た目のわりに安いなと思って、「これ下さい」と指差したら、売り子はリヤカーの下から、僕が指差したのとは似ても似つかぬ貧相な袋詰めを出して、はいコレ、と渡してきた。僕が指差したのはもっと高い値段のものだという。つまり、リヤカーの上に出してあるのは「おとり」に過ぎなかったというわけだ。あちこちの駅前で見かけるリヤカーのフルーツ販売、見た目通り胡散臭いのでご注意を。

国分寺からは西武線が2本出ている。多摩湖線と国分寺線。同じ会社にもかかわらず、両線のホームは別の場所にある。今見えているこちらは…どっちかわからないが、とりあえずこの線路沿いに歩き出すことにする。全体真っ白の電車が駅に入っていく。西武線といえば黄色い車体だが、なぜよりによって白色で塗りたくったのか。塗装途中の下地の色のような、ヘビとかでよくいる突然変異の変種のような、壊れたカラーテレビ画像のような、あるいは、僕のデジカメは白飛びしがちだが、そういう失敗作のような…とにかくあんまりいいセンスとは思えない。

白い電車を2本見た後、黄色い電車も来た。「色のある世界」にほっとする。歩道橋の上から。

玉川上水を渡る。太宰治も入水自殺した水路だが、見れば、「この水量でどうやって死ぬの?」という小さな流れ。実は、今の玉川上水は実態のある水路として機能しているわけではなく、流れを途絶えさせないように便宜的に下水処理水を流している、いわば「ダミー」に過ぎないのだと。

11:41 一橋学園駅。切符売場の路線図を見て、今歩いているのが「多摩湖線」沿線であることを初めて確認する。道は線路沿いに続いているので線路を見失うことはないけれど、2車線の道路で車通りが鬱陶しくはある。

昇ったり下りたりの橋上駅ではなく、アクセスしやすい地平駅であるのが嬉しい。上下線が行き違う。電車のドアは運転士が開け閉めしており、へえ、ワンマン運転なんだ、と思ったら、つい昨日(3月16日)のダイヤ改正からそうなったのだという。…しかし、「白装束」電車はやっぱり不気味だな。

線路の柵は電車のレールを転用している。断面も、鉄らしいサビも、味がある。

12:02 青梅街道駅。瓦屋根の駅舎って変わっている。

12:26 萩山駅。瓦屋根も住宅建築めいていたが、このレンガ積み装飾も最近の建売住宅っぽい。どちらの駅も、その外装に何かいわれはあるのか。ただの思いつきなのか。お昼をまわったので、美味そうな店でもあれば食事をしたいと思うが、見当たらない。

萩山では多摩湖線と拝島線がクロスする。

12:46 土手の上を走る電車が八坂駅に着く。萩山から先は「多摩湖自転車道」が線路沿いに続いている。国分寺からずっと、線路沿いに道が途切れない。線路をたどって歩こうとする僕のような者には実に都合がいい。自転車道なら車も来ないので、のんびり歩ける。八坂駅の先、自転車道と線路の間は「国有地」の看板が立ち、柵で仕切られているが、おそらくは近隣住民の不法占拠なのだろう、思い思いに畑にされている。物置小屋すら建っている。相当な筋金入りだ。

13:27 武蔵大和駅は土手の上にホームがある。苦心してエレベーターがつけられている。その無骨な塔屋はともかく、自然な地形に逆らわない、「土手の上の小さな駅」は、模型で作ってみたくなるような風情がある。

駅の裏手に公園が。おもわず登りたくなる丘の道。

公園の脇の切り通しを線路は通じる。西武園ゆうえんちの観覧車が見える。

この公園は「狭山公園」。狭山市は埼玉県だがここは東京都。最寄駅は「武蔵大和」で、「武蔵大和市」ってありそうだけど、市の名前は東大和。東大和は神奈川県の大和市より「東」にはない(むしろ「真北」)。東大和の隣には東村山市(ついでに武蔵村山市もあるが東村山とは接していない)、東久留米市があり、これら3つの「東」市のさらに「東」に“西”東京市がある。
多摩湖の堤防が迫る。ちなみに多摩湖の別名は「村山貯水池」だが、湖があるのは東村山でも武蔵村山でもなく東大和で…もう、いいか。

堤防を上がる。遠方に見える市街地は東村山。午後を回ってから風が強くなり、堤防の上はそれをもろに受ける。

湖側の眺め。

14:06 堤防を下り、さらに谷底へ下ったところに西武遊園地駅がある。

遊園地の外側沿いを歩く。白い鉄塔は回転式の展望アトラクションだが、塔を伝うワイヤーが強風に煽られて塔に当たり、カンカーンと音を立てている。

西武遊園地駅と西武球場前駅を結ぶ山口線。

「多摩湖自転車道」を引き続き歩く。多摩湖は東京の通勤圏にあり、風光明媚な「湖畔のニュータウン」でもあれば人気を博しそうなものだが、「水道の貯水池」という性質上、湖の周囲は金網で厳重に囲まれており、木々が鬱蒼と生い茂っていることもあって、あまり湖水の雰囲気は感じられない。左手が湖の金網なら、右手は、遊園地からゴルフ場、球場と続く西武グループの敷地の金網。金網にずっと挟まれて、この遊歩道にはどこか閉塞感が拭えない。西武ドームが見えてくる。山あいに不時着したUFOのようでもある。

さらに球場に近づくと、試合をしているようで、太鼓と楽器の音が聞こえてくる。このドームは側面が開いているんだね。ただ、観客はまったく見えないので、聞こえてくる音もどこか効果音のような嘘っぽさがある。テレビドラマで、ラーメン屋の天井のテレビから殊更に漏れ聞こえてくる野球中継のような。

ドームが見えたら西武球場前駅に着けるかと思いきや、駐車場以外に歩行者の入れるような入口も見つからず、湖畔の自転車道を歩き続けている。公園ではない有料の施設だから、利用者以外がふらっと入れるような構えにはなっていないのだ。

14:57 なぜか観音様に迷い込む。山口観音。

本堂の周りには梵語の経文が刻印された108個の「ベル」があり、カラカラと回しながら歩くと、お経を読んだのと同じことになり、功徳があるという。あ…回すのに夢中で、具体的な願い事をするのを忘れた。まあ、「無心」でよい、ということで。

五重塔と、そこへ続く竜の階段。どことなくキッチュ。

15:15 ぐるっと遠回りして、ようやく西武球場へ。左が駅舎。

なんと6本も乗り場がある。右端の1本以外、4本の電車が待機している。試合が終わるとどっと人が流れ込んで、次々と臨時電車が出て行くのだろうか。16:30過ぎには池袋行きの臨時特急も出ると看板にある。右手には西武遊園地からの山口線のホームもある。野球には興味がないのでドームにも売店にも足は向かわなかったが、この駅の佇まいは面白いなと思って見ている。

いっそこの駅から電車に乗って、今日歩いてきたルートを山口線、多摩湖線と逆にたどり、国分寺まで戻ろうか…とも思ったが、なんとなく所沢の町を見てみたくて、もう少し歩く。駅を横から眺める。

線路際に信号機が置かれている。子どもの頃、地元の私鉄の「資材置場」に勝手に入り込み、おそらくは鉄橋の部材だろう、乗っかって遊んでいて、顎から落ちて、7針縫う怪我をしたことがある。その跡はいまだにうっすらと残っている。

車道が嫌で脇道に入り込んだら、線路も見失った。昔ながらの農家と建売住宅が混在する心細げな住宅街を歩く。ドームの応援の太鼓の音がここまで届く。

交差点に「山口城址」が。古跡めいた土の盛り上がりはあるものの、洗車場の看板やら政治家の看板やらが、歴史なんか糞喰らえとばかり、挑発的に立てられている。振り返るとマクドナルドがあり、そういえば財布にベーコンレタスバーガーセット390円のクーポンがあったと、ふらふらと入り込む。今日初めての食事、初めての休憩。

マクドナルドを出れば、スーパーやドラッグストアなどが並ぶ面白みのない幹線道路沿いを歩く。しかし時折、立派な構えの寺が現れる。この近辺には「狭山三十三観音」というのもあるらしい。勝光寺。今から300年以上前に建てられたという山門。よくぞ残っていてくれました。「楼上より望む狭山丘陵の風光は心を洗う眺めである」と、解説の看板に。

16:43 「げざんぐち」にあらず、「しもやまぐち」駅。

充分な歩道もない幹線道路を歩き続ける。長い渋滞が続いている。原因はこの踏切だろう。17:12 西武球場前からの狭山線と池袋線が合流する西所沢駅。電車の本数がかなり多く、踏切はほとんど鳴りっ放し。

通り過ぎる電車のスピードは速く、今日歩いてきたような「支線」ではなく、「本線」であることを感じさせる。東横線(みなとみらい線)の電車が来たのは驚いた。そう言えばここまで乗り入れているんだな。

多分あのマンション群が所沢中心部なんだと思う。所沢まで大きく迂回する線路を離れて、あちらを目指す。

商店街に入り、駅が近くなってきたことをうかがわせる。ゴールが近づいた余裕なのか、あるいは逆に、疲労で参っているのか、ドラッグストアに入って男性用スキンケアの商品など見たりしている。

17:58 所沢駅着。拠点駅としては意外な佇まいの小さな駅だった印象があるが、新しくなったんだね。今日歩いたのはおよそ21km。

コンコースは広く、改札内外に「駅ナカ」の店もある。

ホームではしばらく行き交う電車を眺めていた。新宿方面と池袋方面、どちらも同じ東京方面なのに、ホームでは逆方向に発着するのが面白い(地図で見れば両線は所沢駅でX型に交わる)。到着直前にホームで発作的に特急券を買って乗ってしまった。18:12発の特急小江戸号。特急料金は350円。コーヒー1杯分の値段の贅沢。

乗ってみれば、「ウー」という昔ながらのモーター音が微笑ましかった。そのモーター音も、所沢を出た直後こそ激しかったが、あとはさほど高まらないまま。各駅停車は何本も抜かしたが、前を走る急行は抜かさない程度のスピード。それでも、1両に数人しか乗っていない車内、うとうと、のんびり寛げた。 18:44 西武新宿着。


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