tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

鉄道沿線歩き~関東鉄道竜ヶ崎線

2013-03-10 23:00:00 | 旅と散歩と山登り
「明日は4月か5月の陽気になるでしょう」と昨日の天気予報が言っていた。こんな日に家に閉じこもっていたら、自責の念に駆られそうだ。少し歩くのがいい。歩くのにほどよい距離…たとえば、茨城県・関東鉄道竜ヶ崎線の4.5kmとか。
12:34 起点の常磐線佐貫駅近くに車を置き、跨線橋を渡る。これから向かう駅を望む。実はこの橋を渡るのは、駅への道筋としてはずいぶん遠回りだった。

駅のすぐそばの踏切を渡ろうとすると、ちょうどやってきた。1両だけのディーゼルカー。

ディーゼルカーは駅に到着。

12:46 改札口まで回りこむ。パスモをタッチする機械がある。東京への通勤圏ならパスモは使えて当然か。線路1本・ホーム1面の簡素な駅。駅員はいない。隣接する観光案内所で地図をもらう。ここから終点竜ヶ崎までの2駅、線路沿いに歩いてみようと思う。駅にはマクドナルドがあり、「ポテトを1個買うと2個目が無料」との看板にひかれて、ポテトをかじりながら歩くのも悪くないなと思ったが、どうも最近自分はジャンクフードばかり食べているような気もするので、やめておいた。風が強い。花粉症は平気だが、コンタクトレンズは辛い。駅前の公衆トイレではずし、眼鏡をかける。

都合よく線路沿いに道は続いておらず、それでも地図を細かく読みながら、線路とつかず離れず歩く。踏切を何度かわたる。列車は7分で全線を走り、1時間に2往復する。線路沿いを歩いていれば、15分と待たずに上下線どちらかの列車に会えるわけだ。竜ヶ崎からの列車が枯れた田んぼの中を走ってくる。1両だけだが、意外と重量感たっぷりにズシンズシンと走行音を轟かせて過ぎていく。

13:23 田んぼの中を線路と離れ気味に歩いていたら、次の駅、唯一の中間駅、入地駅を通り過ぎてしまった。駅があるならそれらしい雰囲気がありそうなものだと、「賑わい」とまでは言わないまでも、「ここに駅がありますよ」と主張する何かがありそうなものだと、遠目に線路の方は観察していたのだが、景色の中にひっそりと溶け込んでいたために見過ごしたらしい。田んぼの畦道を線路の方に近づくと、ちょうど佐貫からの列車が駅に着いていた。

唯一の中間駅を訪ねずに過ぎていってしまうのも忍びなく、駅まで戻る。ホームから竜ヶ崎方面を望む。

佐貫方面を望む。前方の踏切のあたりが駅の入口になる。ホーム上のブルーの囲いの中にはパスモをタッチする機械が「入場用」「出場用」とそれぞれあり、雨よけ・埃よけの厚手の透明のビニールで覆われている。ホーム横には駅利用者のための自転車ラックがある。昼間の時間帯は列車内にも自転車を持ち込めるらしい。ホーム裏手の民家では、いったいどんな鳥を飼っているのか、叫び声のような甲高い不思議な鳴き声が時折響く。

13:33 踏切を渡って老人男性客が1人現われ、ホームに竜ヶ崎からの列車が到着。先ほどから、見る車両は同じ「2001」号。丸1日行ったり来たり働いているのだろうか。ディーゼルカーなら給油も必要だろうから、半日で交代したりするのだろうか。

住宅はまばらにしかないが、そんな中に忽然と書道教室が。「真実」と「給食」。

引き続き田んぼの中を歩く。向こうの台地状になった上には戸建住宅が建ち並んでいる。鉄道の沿線には住宅がなく、駅から離れたところにニュータウンがある。皮肉というか、奇妙というか、もったいないというか。

寂寥感を漂わせる緩やかなカーブ。だんだん雲が出てきた。風も強くなってきた。ただ、寒風ではないので、さほど不快感はない。

14:00 「強風」がもはや「突風」に変わりつつある踏切で、そろそろ来る頃かな…と列車を待っていると、そばの草むらに「停車場跡」の看板が。かつては入地以外にも中間駅が2駅あったのだという。その1駅、門倉駅跡。ホームのような形の線路際の地面の盛り上がりは残っている。

佐貫から列車がやってきた。強風で舞い上がる土煙で、空はすっかり褐色を帯びてきている。(後の報道で知ったが「煙霧」のただ中にいたわけだ)。

14:19 風はいよいよ強く、体を斜めにして抵抗しながら歩く。線路沿いをはずれて、龍ヶ崎市歴史民俗資料館へ。かつて竜ヶ崎線を走っていたというSLが展示されている。大正14年製造。昭和46年廃車。走行距離、248115km。この路線をおよそ2万7千回以上往復したということだ。

館内は、遠い昔に牛久沼に浮かんでいたであろう丸木舟の置かれた古代のゾーンに始まり、「仙台藩主・伊達政宗の飛地」(宮城と茨城の飛び地というのは面白い)であったという江戸時代や、ちゃぶ台や箪笥などの家財道具一式が当時の部屋を再現している昭和まで、龍ヶ崎の歴史を追った常設展示があった。また、企画展として、かつての龍ヶ崎の商店の「手ぬぐい・ふろしき展」が開かれていた。素朴でお茶目なデザインのふろしき。

14:52 風と闘いながらふたたび線路際へ。ショッピングセンターの駐車場の歩道橋が線路を跨いでいるので、上がってみる。竜ヶ崎駅の車庫が見える。

駅に近づくと、車庫の間を踏切が通っていて、車両まで近づける。職員のマイカーだろうか、列車のそばに車が止められているのが、気楽な感じがする。

14:58 竜ヶ崎駅へ。市名は「龍ヶ崎」だけど駅名・路線名は「竜ヶ崎」。次の列車は15:05。

駅前から伸びる商店街。面白そうなら少し寄り道して、乗る列車を1本遅らせてもいいかと思ったが…店の開いている気配も、人通りの気配もなく、ほどなくして引き返す。歩いたのはおよそ9km。

改札口の様子。駅員さん、撮影時にさりげなく物陰にどいていただいてすみません。

ホームで待つ列車。竜ヶ崎線は3駅とも同じ側(竜ヶ崎から見れば列車の左側、佐貫から見れば列車の右側)にホームがあるので、運転士がドアの開け閉めも行う運転台は、竜ヶ崎方も佐貫方も、同じ側にあるのだという。つまり、佐貫に行く時は左側で運転、竜ヶ崎に行く時は右側で運転、ということになる。ただし、これは帰宅後に関東鉄道のホームページで得た知識なので、実地では確認しなかった。残念。

出発。前方の線路で遊んでいた雀の群れが、列車に追われてぱっと飛び立つ。線路沿いの道を、自転車2人乗りの男子中学生が、物憂げにこちらを見やりながらぎこちなく走っている。列車のスピードは時速40~50km程度だろうか。ちょうどいいスピード。それでも、僕が2時間以上歩いてきた道のりを、あっという間に走り抜ける。

15:12 佐貫駅着。車内のアナウンスで、「さぬき」のアクセントは、「サ抜き」と発音するのと同じで、平坦であることを知る。「タヌキ」のように頭にアクセントがあるのかと思っていた。

15:59 牛久沼に立ち寄る。名前は「牛久」だが、この沼があるのは牛久市域ではない。地図を見ると、複雑な形の沼を綺麗に切り抜くように、龍ヶ崎市域におさまっている。なにやら昔からの領地問題でも絡んでいるのだろうか。ここはうなぎが有名なようで、沼畔には「うなぎ」の看板を掲げる店が何軒かある。大粒の雨が降ってきた。風も強く、傘を片手ではおさえられない。よろけながら片手で撮影。すぐに車へ引き返す。雨に濡れた上着に埃の跡がつく。強風でこれだけ大量の埃が宙を舞えば、雨も埃まみれになるだろう。この日、車もずいぶん汚れた。

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