tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

「娑婆に出た最初の日に…」

2013-03-28 17:38:44 | 雑感
昨日ホリエモンが仮出所した。2011年6月から収監されていたのか。
当時は震災からまだ間もない頃だったと思うと、結構長いな。1年9ヶ月か。

「出所」で思い出したことがある。

地下鉄車内でのこと。
座っていたら、1人分空いていた隣の席に、立っていたおばさんが紙袋を置いた。
両手に荷物を持っていたから、重いので1つを席に置いたのだろうと思ったら、
紙袋を置いたまま、その脇におばさん自身も腰を下ろした。
言うまでもないが、1人分の席に荷物と人間が一緒に座ればとても窮屈だ。
だからそのおばさんに、紙袋は自分の膝の上に置いてくれと言った。
ところが、その申し出はおばさんにとって心外だったらしい。
「なんやて?」と関西弁で凄んできた…のか、意味がわからなくて聞き返してきたのか知らないが、
言われたとおり紙袋を膝の上にどかしながらも、なにやらブツブツ呟き始めた。
僕は本を読んでいたので耳を貸したわけではないが、聞こえてきた言い草がこれ。

「ああ、娑婆に出てきた最初の日に××なんて、かなわんわ…」

××は聞き取れなかったが、大方、「怒られるなんて」とか、
「イチャモンつけられるなんて」とか、そういったことだろう。
あらためて見てみれば、おばさんが抱えているバッグも紙袋も、刑務所の出口で刑務官から
「これが入所時に預かったあなたの所持品一式。返却するのでサインを」
とか言われながら渡された荷物に見えなくもない。

思ったのはこんなこと。

電車の座席で「横に人がいる時は荷物を脇に置く座り方はしない」という感覚がないのが、
いかにも社会から隔絶された場所にいた人が醸し出しそうな「ズレ」であること。

「娑婆に出た最初の日」に、見知らぬ他人から、
つけられなくてもいいケチをつけられて出鼻をくじかれてしまうところ、
これまでの人生に躓きもあったであろうこのおばさんの「ついてない星回り」を感じさせること。

そして何よりもこれ。

「今日刑務所を出てきたばかり」という人間が、
地下鉄の乗客の中に混じっていたっておかしくはないのだ、ということ。
平凡にしか見えない乗客にも、実は驚くべき素性があるのかも知れない、ということ。

まあ、そうした感慨が、「人間不信」につながるわけでも、
また逆に、「人間賛歌」につながるわけでもないんだけどね…。

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