tokyo_mirage

東京在住・在勤、40代、男。
孤独に慣れ、馴れ、熟れながらも、まあまあ人生を楽しむの記。

今月読んだ本と観た映画(2016年6月)

2016-06-30 23:00:00 | 今日の出来事
<今月読んだ本> 6冊

1(水) ■本橋信宏 『欲望の迷路―体験取材ノンフィクション』

10(金) ■イアン・ゲートリー 『通勤の社会史 毎日5億人が通勤する理由』

16(木) ■奥田英朗  『向田理髪店』

24(金) ■町田康 『リフォームの爆発』

28(火) ■太田肇  『個人を幸福にしない日本の組織』

30(木) ■島田雅彦 『筋金入りのヘタレになれ』


<今月観た映画> 8本

1(水) ●ベニシア・スタンリー・スミス 『ベニシアさんの四季の庭』

6(月) ●西田敏行 三國連太郎 『釣りバカ日誌11』

7(火) ●マイケル・ダグラス ショーン・ペン 『ゲーム』

8(水) ●リチャード・バートン クレア・ブルーム 『寒い国から帰ったスパイ』

9(木) ●パトリック・スウェイジ ランディ・トラビス 『ブラック・ドッグ』

23(木) ●西田敏行 三國連太郎 『釣りバカ日誌12』

25(土) ●ブルース・ウィリス リチャード・ギア 『ジャッカル』

     ●西田敏行 三國連太郎 『釣りバカ日誌13』


「拾ったパスモの悪用」はなかなかバレにくい。実に「気軽な犯罪」が可能である。

2016-06-24 15:49:06 | 物申す
パスモを誤って落とす。
悪意のある誰かがそれを拾う。
パスモにはいくらかの金額がチャージされているから、悪意のある人間はそれを使ってやろうとたくらむ。
チャージされている金額は、多い人で限度額いっぱいの2万円。
「オートチャージ」を利用している人は1日1万円まで繰り返しチャージできるから、
そこをさらに悪用されれば、被害額は1~3万円になる。
つまりは多くの人が、「財布の中に入れている現金」と同じくらいかそれ以上の金額を
パスモに入れているということだ。

紛失に気づいて利用停止措置をとれば、パスモの中のチャージは使えなくなる。
だが、紛失にすぐさま気づけるとは限らない。
それよりも早く、悪意のある拾得者が不正に使おうと動き出すかも知れない。
それなのに、紛失者は自分のパスモが誰かに不正に使われたかどうか、日にちが経たないと把握できないのだ。
なぜか。

パスモは、カード現物がない限り、チャージ残高を確認できないからだ。
つまり、新しいカードが再発行されて自分の手元に届き、その利用手続きを済ませるまで、
自分のパスモが誰かに不正使用されたのかどうか、確認のしようがないのだ。
クレジット機能の付いていた僕のカードの場合、送付には2週間程度かかるそうだ。

だから、拾ったパスモを不正に使ってやろうとたくらむ人間は、大いに安心するといい。
あなたが不正に使ったという事実は、しばらくは(僕の場合なら2週間)、被害者にバレないから。
被害者にバレない以上、被害届も告訴状も出されることはないし、あなたに捜査の手が及ぶこともない。
発覚が遅れる分、被害者を諦めさせるに充分な時間が経過するし、
たとえ捜査が始まったとしても、あなたの犯行を裏付ける材料はどんどん消えていることだろう。
(不正使用現場の防犯ビデオの記録映像だって、そのうち消去される)
パスモはコンビニでもスーパーでも家電量販店でも書店でもドラッグストアでも飲食店でも、
サインレスで支払いができる。サインレスだから当然あなたの身元は問われない。
被害者が紛失に気づいて利用停止措置をとってしまう前に、存分に使うといい。
しかも、利用停止措置がとられたところで、
そのカードが不正使用されたという事実は、上記のように「その先も当分発覚しない」のだから。

これがクレジットカードなら、紛失時の連絡先(どのカード会社も24時間対応だ)に
電話を入れれば、ただちに利用を停止することができるし、
利用データがクレジット会社に届き次第、不正に使われたかどうかも確認することができる。
それに対しパスモは、駅やバス営業所へ本人が直接赴かないと利用停止手続きができないし、
クレジットカード同様に個人情報を厳密に登録したうえで使用し、
やる気になればそのカード所有者の本人認証の方法などいかようにもあるはずなのに、
自分の利用記録にアクセスすること自体すらできないのだ。

これは大きな欠陥と言わざるをえない。
「発覚まで時間の余裕がたっぷりある」という事実は、
「気軽な犯罪者」をどんどん後押しするだろうから。

利用者がインターネットの専用ページで自分の利用履歴を確認できるようなシステムを作れ、とまでは言わない。
(いや、クレジットカードでもTポイントでもポンタでも、それはもうすでに当たり前のことなのだが)、
せめて、本人が身分証明書持参で駅窓口に赴いたら確認できる、くらいにはならないのか?

手癖の悪い泥棒は、拾った財布から“足のつかない”現金だけを抜き出して盗む。
パスモのチャージも、それと同様の扱いを受けているのだ。

運営会社・株式会社パスモの「お問い合わせ」ページを開けば、
「PASMOに関するお問い合わせは、PASMO取扱事業者の駅・バス営業所におたずねください」と、
自分の所では顧客の声を聞く気はまるでありませんと言わんばかりだ。
大方、首都圏私鉄の共同出資企業体、さぞかし「ぬるま湯」体質なのだろう。
こういう企業を動かすには、残念ながら、もっと悪人に自由闊達にのさばってもらって、
被害をどんどん顕在化していくほかないのかも知れない。

<後日追記>
「パスモ 拾った」という検索ワードからこの記事を見に来ている人間が大勢いる。
悪意が目覚めて動き出すのが早いか。
PASMO当局が対策に乗り出すのが早いか。
さあ、どっちだ?


浦賀・観音崎散歩

2016-06-04 23:00:00 | 旅と散歩と山登り
11:46 京浜急行本線の終点・浦賀駅。梅雨入り前、散歩を楽しみたくてやってきた。東京への通勤時間を考えると今は無理だけど、将来ちょっとした田舎暮らしをするなら、三浦半島のこのあたりがいいんじゃないか、海も山もほどほどの町もあって…そんなことも夢想する。
到着後早速、駅前通りの定食屋に入る。ヒレカツ定食と地魚(地鯵だそうだ)刺身定食を2人でシェアする。
駅前近くまで細い湾(浦賀港)が入ってきていて、湾沿いにドックが長く続く。日本丸や青函連絡船、大型タンカー、護衛艦などがここで建造されたという。2003年に閉鎖されたそうだが、敷地内には資材などが高く積まれていて、何かしらでまだ活用されている気配があった。

食後、歩き出す。写真を撮り忘れたが西叶神社をお参りし、さらに歩くと、通り沿いの家の軒先に変わった物が。アルミ缶の側面に細く切り込みを入れて作った風車。風が吹くとカラカラ…と涼やかに回る。集落の「ブーム」なのか、このあたりのあちこちの家で見かけた。

山に取りつく階段を登って愛宕山公園に行くが、公園からの見晴らしは今ひとつだった。
13:19 公園を抜けると、東京湾を見晴らす崖上に、「龍馬像建立予定地」と大きな看板が立っていた。「日本龍馬会」なる団体が高さ20mの坂本龍馬の立像を建てるのだという。土の山に鉄パイプの足場が掛けられていて、子どもが2人、秘密基地よろしく遊んでいた。

山腹の戸建て分譲地や、半分リゾートっぽい海辺のマンションなどを見ながら、浦賀湾まで下りてくる。
13:51 湾の対岸まで渡し船が出ている。「水上の市道」という位置づけで、市が運行している。特に時刻表があるわけではなく、桟橋にあるインターフォンのようなボタンを押せば来るという。対岸を出たと思った舟がいったん引き返したのは、出発直後に向こう岸でボタンを押した客がいたためだったのだろうか。230m、わずか2、3分の船旅。運賃は200円。観光客向けというより、地元の人が日常的に使っているみたいだ。実は江戸時代から300年の歴史をもつという。

14:05 対岸の「西叶」と対になっている東叶神社。ワインとかベーグルとかホットクのテントが並ぶ、神社っぽくないイベントが開かれていた。社殿の裏には山に登る石段が続き、最上部まで行くと東京湾を見渡せた。

マリーナ、かもめ団地、鴨居港など海沿いを歩き続ける。夏の強い陽射しの下では華やぎを感じたのかも知れないが、この曇天の下だと、交通の不便な僻地にいるかのような寂寥感があった。
14:49 海辺に架かる観音崎大橋。橋の直下を波が押し寄せる。

観音崎の海辺の遊歩道を行く。東京湾を航行する様々な船が見える。コンテナ船、タンカー、クレーン船、それに、護衛艦らしき船も。ひっきりなしだ。

観音崎海水浴場から東京湾海上交通センターの管制塔を振り返る。この塔の向こう側からずっと海沿いに歩いてきた。少し中途半端な時間帯に思えるけど、浜辺にはバーベキューをしているグループが何組かいる。

15:23 横須賀美術館。山本理顕設計、2007年開館。海に向かって開けたロケーションとなっていて、全国の「絶景美術館」トップ5にも選ばれているらしい。展示室は地下に埋め込まれているため建物は低く抑えられ、観音崎公園の緑に馴染んでいる。

歩き疲れた。芝生と海を望むオープンテラスで、のんびりとスイーツとドリンクの休憩。企画展は「さくらももこの世界展」だったが、それには興味がないので、常設展を見た。あまり計算されていない、ハプニング的なタッチで描かれた絵画がこの美術館の収蔵品の好みみたいだ。別棟にある谷内六郎の「週刊新潮」表紙絵コレクションが、素朴で懐かしい感じで良かった。「週刊新潮はきょう発売です」という子どもの声の昔のCMなんかを思い出した。谷内は晩年、この美術館のすぐそばのニュータウンにアトリエを構えていたそうだ。美術館の屋上はインフィニティプールのように水平線と連続するつくりになっていた。海に向かって据え付けられた望遠鏡を覗きこむ。釣り船でちょうど魚が釣れたよ!とか、大島のジェットフォイルだ、やっぱり圧倒的に速いね!などと、年甲斐もなく興奮する。

廃墟となった防衛大学校の宿舎や、釣り宿を横目に見ながら歩き続けると、前方に横須賀の市街地が見えてきた。

18:21 横須賀市水道局の水源施設内にある「ヴェルニーの水」。湧水そのままというわけではなく、ちゃんと塩素も入っている歴とした水道水らしい。それでも、車で乗りつけてボトルに汲んでいる人がいた。ヴェルニーとは明治時代に横須賀造船所の用水を確保するため水道管を敷設したフランス人技師の名。

お腹が空いてきたのでどこかで夕食をとろうかと思ったが、目ぼしい店は見つからなかった。歩いたのはおよそ12.5km。
18:50 馬堀海岸駅から帰途につく。


後味が悪い

2016-06-01 23:00:00 | 今日の出来事
通勤の駅までの道のり。
郵便局の横に自転車が置かれていて、そのハンドル部のチャイルドシートに、
まだ2歳以下くらいではないかと思われる幼い子どもが乗せられたままになっていた。
母親の姿はない。

自転車は壁に寄せられたりしているわけでもなく、地面にはゆるく傾斜があり、
いかにも危なっかしかった。
「危ないなあ…危ない、危ない」と思わず声が出た。

通り過ぎて数秒後、ダーン!という音と、子どもの割れんばかりの泣き声が。
やっぱり。自転車は倒れたのだ。

建物の中からすぐさま母親が飛び出してくるかと思ったが、その気配がない。
仕方がないので引き返して郵便局の扉を開け、
「お母さんいないの?倒れたよ!」と声をかけた。自然と尖った言い方になった。
その声が聞こえたのかどうかわからぬが、
母親が、局内からではなく、脇のATMコーナーから出てきた。
「えー!ちょっとー!大丈夫ー?」

子どもはヘルメットをかぶっていた。
走行中の転倒は想定してちゃんとヘルメットはかぶせていても、
「停めておく自転車が倒れるかも」という想像力は働かなかったか。

見るからに「危ないなあ」という嫌な予感がそのまま的中したから、気分が悪かった。
母親をどやしつけたくもなったけど、それはいかにも出過ぎた真似だろう。
黙ってその場を後にした。
…考えてみればそもそも、母親への怒りが思わず先に立って順番が逆になってしまったが、
母親を呼びに行くよりもまず、子どもを助けるべきだった。
子どもに罪はあろうはずもないのだから。
いや、もっと言えば、「嫌な予感」をあれだけ強烈に感じたのだから、
まずはしっかりハンドルを押さえて転倒を防ぎ、その場で母親を大声で呼ぶということもできた。

傍から見るといかにも危険な放置、やってはいけない放置に見えたけど、
忙しい母親稼業の合間、「お金を下ろすだけ」のちょっとした時間なら大丈夫、
と魔が差したのかも知れない。
誰にでも起こりうることだ。自戒もせねばなるまい。