せっかち散歩

ゆっくり急げ、時間がないから

ニホンズイセンとハナナ

2014-01-30 | 日記
枕草子を読んでいて、第28段「にくきもの」の中でちょっとした記述に目がとまった。

「わが知る人にてある人の、はやう見し女のこと、ほめ言ひいでなどするも、ほど経たることなれど、なほにくし。まして、さしあたりたらむこそ、思ひやらるれ。されど、なかなか、さしもあらぬなどもありかし。 」

(自訳:自分が「付き合っている人」が、前に関係のあった女のことを誉めたりするのは、時間がたっていることとはいえ、やっぱり嫌だ。まして現在も続いていたとしたら、どんなに嫌か思いやられる。だけれど、かえってそんなに気にならないということもあるのかも。)

清少納言の時代も今も、男女の間に働く心情は同じ。そして彼女にもこんな経験があったからこそこれを書いたに違いない。ただ気になったのは最後の文。これは一体何のことを言っているのだろう?付き合っている男が他の女のことを話すことが気にならないこともある、とはどんな状況のどんな相手のときなのかなあ?清少納言自身の体験かあるいは周りの人の中にこのような相手がいたのだろう。女の心の幾重にも屈折した感情は単純には理解できない。



ニホンズイセン ヒガンバナ科

まだカワズザクラは咲いていないけれども、ニホンズイセンだけは今一番の見ごろ。香りもいいし冬の寒さを吹き飛ばしてくれる。周りはサクラの木。


ニホンズイセンの後ろのほうには、畑で野菜として栽培されているハハナがもうすでに咲いている。



ハナナ (ナノハナ) アブラナ科

房総は日本一のナノハナの産地。次いで徳島県、香川県、高知県などの四国で生産されている。


この黄色を見るともう春はそこに来ているのを感じる。

アオジ、ツグミ、そしてジョウビタキ

2014-01-27 | 日記
冬の雑木林には小鳥がいっぱい。葉が少ないからよけい目立つのかなあ?

アオジ (スズメ目・ホオジロ科)

短くチッ、チッと啼く声がするのでそちらの方をさがすと、アオジが枝から枝へと飛び移ってしばらく周りをきょろきょろしている。




首から胸、腹にかけて緑がかった黄色でアオジとわかる。


ツグミ (スズメ目・ヒタキ科(ツグミ亜科))

公園の広場で久しぶりでツグミを見つけた。


胸を反らせた姿勢で立ち止まる。


ジョウビタキ (スズメ目・ヒタキ科(ツグミ亜科))

公園の隅でジョウビタキが何かを探している。ジョウビタキは橙色の胸と腹、翼は黒褐色だが中ほどに白くて細長い斑点があるのが特徴。


餌を見つけて落ち葉の上に降りると何かを突っついている。何を食べるのか?


ムカデだろうか?


丸ごと飲み込んでしまった。


満腹の様子。

イワガネソウ ~ バイバイチェンマイ、網目ソウ? 

2014-01-26 | 日記

シダハンドブックを眺めていて一体「バイバイチェンマイ、網目ソウ」とは何のこと?といつも気になっていて、イワガネソウの実物を一度じっくり見ていたいと思っていた。スギ林へ行こう。山の奥に行くまでもなくスギ林など職場から車で20-30分も走ればどこにでもある。もうすぐスギ花粉の季節だなあ。


スギの林の小道を入っていった。隙間から差し込む光にアオキの赤い果実が時々輝いて見える。



イワガネソウ ホウライシダ科 イワガネゼンマイ属

スギの林床には決まってシダが群生している。光が当たらずいつも湿っているからシダには絶好の環境。いろいろな種類のシダが群生している。ササの葉のようなシダがあちこちに見られる。


薄暗いのでフラッシュたいて撮るしかない。


一本取ってきて明るいところで観察することにした。葉は2回羽状複葉だった。


葉の表。


葉の裏。


胞子嚢群(ソーラス)は支脈に沿ってつき、ほぼ葉裏一面を覆い苞膜はない。


イワガネソウは葉脈は羽片の中脈近くに斜めに網目をつくり、それから外方には斜めに平行して走り、葉縁に達しないまま急に終わる。よく似たイワガネゼンマイは平行脈といわれ、葉脈は1-2回分岐した後、お互いに交わらない。「バイバイチェンマイ、網目ソウ」はこのことを忘れないための語呂合わせだった。



オオバノイノモトソウ イノモトソウ科 イノモトソウ属

少し明るいところにイワガネソウとは少し異なるシダが群生していた。葉は1回羽状複葉で頂羽片がある。イノモトソウの中軸の上部には著しい翼があって、まるで葉が続いているように見えるのに対し、オオバイノモトソウの中軸には翼がない。




葉脈。



リョウメンシダ オシダ科 カナワラビ属

スギの林床に美しいリョウメンシダが群生した。中には1mを越すものもある。3回羽状複葉。葉の両面が同じ色をしている。胞子嚢がついていない葉は表裏の質感がよく似ており、区別が付きにくいことからリョウメンシダと名付けられている。




葉の表なのに裏のように見える。




裏にはソーラスが付く。包膜は円腎形のはずだが、これは成熟して包膜がめくれ上がっている。

バンクシア

2014-01-23 | 日記
先週末は会合に出席。ついでに温室見学。外は冷たい風が吹きまくっている。温室にはいるとインドボダイジュ横の沙羅双樹の木が目に入り、女子スキージャンプの高梨沙羅を連想した。高梨沙羅17歳は先日17勝目を上げて日本人男女通じての歴代最多勝利記録保持者となった。背か高く体重が重いほうが有利な競技であんなに小さな子が優勝するなんて。こうなったらオリンピックでもやってほしい。


バンクシア・エリキフォリア

ヤマモガシ科バンクシア属の常緑低木で、学名Banksia ericifolia、英名Heath-leaved banksia。温室の外に植栽されていた。ヤマモガシ科とは驚き。


マツの木とマツボックリかと思った。葉はスギのように線状。コーン状に見える橙色のものは花だろう。周りをさわると線状のワイヤーでできたオブジェのようで割と堅い。


ヤマモガシ科と名札には書いてあるがヤマモガシを見たことがないのでその花の構造もよくわからない。オーストラリア南東部に分布している植物らしい。


長い円筒形のブラシのような穂状花序。これはその上部の部分。花は雌しべの柱頭と花柱が毛の生えた花被で覆われていてるようだ。


別の花序の上部。これは少し花が成熟してきている感じ。多分、針金状の雌しべの花柱が伸びて花被から飛び出しヘアピン状になり、その後花柱がさらに伸びて花被の帽子から飛び出していくのだと思われる。


これ古い果実だろう。山火事によって刺激を受けたときにのみ裂けて種子が飛び出る仕組みになっているという。



バンクシア・インテグリフォリア

バンクシア・エリキフォリアの隣に植栽されていた。円筒形の花序をだし淡黄色の花。名札が見当たらないがネット検索してバンクシア・インテグリフォリアに到達。オーストラリアの東部に分布しヤマモガシ科バンクシア属の常緑小高木で、学名は Banksia integrifolia、英名は Coastal banksia, Coast banksia。


葉はトベラのように枝の先端に集まるので輪生のように見える。


倒披針形の葉は革質で表面は濃緑色、下面には白色の綿毛があるらしい。

空に舞うガガイモの種子

2014-01-14 | 日記
野原のススキもセイタカアワダチソウも枯れてドライフラワーのような姿になっている。その上を乾いた冷たい冬の風が吹き抜けていく。雲ひとつない青空。いい天気の日ほど吹く風が冷たい。雑木林に続く笹藪の中にガガイモの果実がないか探した。こんな日にはきっとガガイモの種子が飛ぶような気がしたから。

ガガイモ キョウチクトウ科 ガガイモ属





5分も歩かないうちに藪の奥の方につるが絡まったササを見つけた。ガガイモのつるだった。つるは右肩上がり。7-8cm位の袋果はすでに開裂していて、長い毛を持つ種子はすでに風で散布されているものもある。


これはもうすでに種子は飛んでしまって、殻だけが残っている。



まだ種子の詰まっている果実を手に取って中の種子を触ると長い綿毛が膨らみ風に乗って飛んでいく。




毛は純白で光に輝くのでとても美しい。



青空に持ち上げてみた。たくさんの種子が風に乗って飛んでいくのが気持ちいい。




種子は扁平な楕円形で翼がある。


手の上では風ですぐに飛ばされてしまう。


色の白さをすぐ横の枯れ尾花と比較してみよう。

カニクサ模様

2014-01-12 | 日記
近くの運動場のトラックで中学生が1600mリレーを練習しているのをフェンスにもたれて眺めていた。冷たい空気を切り裂くように走り抜けていく様子が小気味よく、意外と速いのに驚いて応援したい気分になった。白い雲が西から東に流れていくのを見上げると、頭上の梢にはシジュウカラが飛び回りコゲラが木の幹を突いて回っている。林縁の遊歩道に出ると雲の切れ目からときどき顔を出す陽の光に藪の中のカニクサが照らし出された。


カニクサ シダ類 フサシダ科

ウィキペディアによれば、「カニクサの長くのぼる蔓は、実は1枚の葉である。本当の茎は地下にあり横に這い、先端から一枚の葉を地上に伸ばす。株が小さいうちは葉は短く、次第に長い葉を出すようになり長いものは2mを越える。」




カニクサの葉は若草色でその形の美しさは誰もが惹かれるに違いなく、個人的にカニクサ模様と呼ぼう。



光にかざすと胞子のある葉とない葉がはっきり区別できる。


一枚の葉に見える部分は羽片で、羽片ごとに胞子葉と栄養葉が分かれている。胞子をつける羽片の小羽片は丸っぽい三角形でその鋸歯の先端に胞子のうが左右二列に配置している。


つるはどちら巻きかと巻き方を探すと上のように右肩上がりもあれば左肩上がりもあるので決まってはいない感じ。

メタセコイアとラクウショウ

2014-01-08 | 日記
海外ドラマ「BONES」は法人類学者のブレナンが骨を手がかりに事件の謎を解いていく科学捜査ドラマ。好きなのでよく見る。残された骨から生きているとき、殺された時の状況を推測することがある程度可能なようだ。事件捜査ほど真剣ではないけれど裸になってしまった樹木の名前を同定することもとても難しい。先日公園の小さな池のほとりに植えてある何本かの高木がほとんど落葉して裸になっているのを見た。メタセコイアとラクウショウがどうもランダムに植えられているようだ。しかしその中で名札をつけられているものがあった。もちろん葉があればラクウショウの葉は互生し、メタセコイアの葉は対生するからすぐにわかる。枝もその分岐が見えれば葉と同様の違いがあるから区別できる。しかし今の季節は葉は落ちて、枝も遠い。そこで樹皮と樹形の違いを観察。


左の三角形の樹形がメタセコイアで右の丸い感じの樹形がラクウショウ。ラクウショウには先端にまだ丸い果実が残っている。


ラクウショウ



メタセコイア

こちらがメタセコイア。スギのように樹皮が長く剥がれる。

これで樹皮と樹形から区別ができるかな?

ムクロジの果実

2014-01-04 | 日記
「ミラクル エリザベス・ヒューズとインスリン発見の物語」(シア・クーパー,アーサー・アインスバーグ著)を先週読んだ。

1918年アメリカ国務長官であったチャールズ・エヴァンス・ヒューズの娘エリザベス・ヒューズは11歳で1型糖尿病に罹患した。当時1型糖尿病はほとんどが1年以内に亡くなる不治の病だった。しかし彼女は当時唯一の延命治療であった飢餓療法により15歳の時体重21kgまで落ちたものの奇跡的に生き伸びて新しい治療法が発見されるのを待っていた。1921年夏トロント大学でバンティングとベストはイヌのすい臓からインスリンを抽出することに成功した。教授のマクラウドは生理学実験をしたこともない若い二人が大発見をするとは夢にも思っておらず、その時夏季休暇で海外にいた。その後この成果は学会で発表され、翌1922年からは臨床応用が始まる。インスリンの効果は絶大で死の淵にいた患者は次々と回復した。しかしインスリンは当時牛や豚のすい臓から抽出されておりインスリンの不足のため使用できる患者は限られていた。国務長官であったチャールズ・エヴァンス・ヒューズは娘に優先的にインスリンを投与することを依頼、娘の命は救われた。そして1923年にインスリンの発見の功績によりマクラウド教授とバンティングへのノーベル賞授与が決定されたが、バンティングはマクラウド教授が功績を横取りしたと感じ、ノーベル賞受賞者にベストが入っていないことに対しても憤り授賞式には出席しなかった。

アメリカ国務長官であったチャールズ・エヴァンス・ヒューズと娘エリザベス・ヒューズは死ぬまで1型糖尿病であることを秘密にした。チャールズ・エヴァンス・ヒューズは自分の伝記にも一言も書いていないという。権限を利用したことがやましかったのか、糖尿病に対する当時の偏見から逃れるためだったのか?

研究には成果が伴いその成果には名声が伴う。業績があれば地位が確保される。科学者、医者といえども人間であるから、研究に対する純粋な興味や使命感の後ろには、名誉欲や権力欲が眠っている。醜い泥沼の争いを未然に回避することが賢いことだとつくづく思う。 



ムクロジ ムクロジ科

近所を散歩。畑と道の境界付近で見上げると黄土色の果実がたくさんつけた樹木があった。センダンの果実とも似ている。


よく見るとムクロジだった。


ムクロジの果実は半透明で中の種子が何となく透けて見える。

 
種子は羽根つきの羽根の頭に使用されるというから、落ちていた果実を指で潰して中の種を取り出してみた。手は接着剤がついたようにベトベトになって少し発酵したような匂いがする。何年か前にこの種を植木鉢の土に埋めておいたら春に芽が出てあっという間に1mくらいに成長した。葉も大きいしとてもベランダで育てられるものではなかった。

フユザクラ ?

2014-01-03 | 日記
人間の精神活動はとても複雑だと考えられているけれども、原始的な情念に関する部分では意外と単純なのかもしれない。メダカの「恋ごころスイッチ」を東大研究グループが解明というニュースが入ってきた。東京大学の竹内秀明助教らが行った実験で、メダカのメスは、目で見ていた「そばにいたオス」を識別し性的パートナーとして選択することが判明した。目で見ることによりメスの脳内で大型の神経細胞の電気的活動が活性化することが確認され。研究チームではこの働きを「恋ごころスイッチ」と命名した。人間にもきっと同様の細胞の同じ電気信号があるに違いない。



春の芽吹きを感じさせるものがないかと先週霊園を歩いた。あちこちでナンテンの真っ赤な果実が青空と見事なコントラストをなしていた。




少し歩くと白い花が咲いている樹木を見つけた。何とサクラだった。冬の桜だから春の本格的なものとは異なり力強さはないけれど、はかない美しさは十分にある。さすがにサクラだ。

フユザクラ バラ科



割と大きい一重の花。




冬に咲く一重のサクラはフユザクラとシキザクラがある。フユザクラはマメザクラとオオシマザクラの雑種で、シキザクラはマメザクラとエドヒガンの雑種と考えるとすっきりする。シキザクラは小型でガク筒に毛があるのに対してフユザクラの花はやや大型でガク筒は無毛。このサクラはシキザクラよりフユザクラのほうが近そうだなあ。

オクマワラビ、ヤマイタチシダ、ホシダ、コバノカナワラビ、リョウメンシダ、イノデ

2014-01-02 | 日記
シダ類は魅力があるけれどもハードルが高い。今年はたくさんのシダにめぐり会いたい。


オクマワラビ オシダ科





林縁のあちこちに生えている。こんなありふれたシダでも名前を知るには苦労する。2回羽状複葉であること、ソーラスは丸いこと、葉脈が窪んでいないことなどからオクマワラビだと思うけど。



ヤマイタチシダ? オシダ科



最下羽片の下向き第一小羽片が大きい、葉の表面にはつやがある。オオイタチシダの可能性もあるなあ?


ホシダ ヒメシダ科

葉の先が穂のように伸びている。




裏。ソーラスは見当たらなかった。



コバノカナワラビ? オシダ科

独特の光沢を持つ葉、平行四辺形に近い小羽片の形からカナワラビ属だと思う。ホソバカナワラビは葉の先端が急に細くなるという。これは急に細くなっているというのだろうか?






ソーラス。



リョウメンシダ オシダ科

表から見てもまるで裏のようなシダ。とても美しいからこれだけはすぐに判る。




葉裏のソーラス。円腎形の包膜。



イノデ オシダ科



茶色の鱗片に被われた中軸。

カンギクとスプレーギク(風車)

2014-01-02 | 日記
正月だというのに全くそういう気分がしない。大晦日には例年通り近くの浅間神社に歩いて出かけておみくじをひいた。確か昨年は末吉だったが今年は大吉だった。今日も近所の散歩ついでにまた神社にまで足を運んだ。そしてもうほとんど人のいなくなった本殿の前で時間をかけて手を合わせ、家族、親戚、過去に出会った人達や友人の健康、幸福を祈った。空は快晴で頭上遥かにダイオウショウの大きな松ぼっくりがのんびりといくつもぶら下がっているのが見えた。何も普段と変わってはいない。ただ時だけが過ぎていく。

ラジオで竹内まりや「人生の扉」が流れていた。

春がまた来るたび ひとつ年を重ね
目に映る景色も 少しずつ変わるよ
陽気にはしゃいでた 幼い日は遠く
気がつけば五十路を 越えた私がいる
信じられない速さで 時は過ぎ去ると 知ってしまったら
どんな小さなことも 覚えていたいと 心が言ったよ
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満開の桜や 色づく山の紅葉を
この先いったい何度 見ることになるだろう
ひとつひとつ 人生の扉を開けては 感じるその重さ
ひとりひとり 愛する人たちのために 生きてゆきたいよ
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この季節に鮮やかな花を期待するには無理だろうと思っていたけれど、色とりどりのキクが畑に咲いていた。


カンギク(寒菊)

秋に開花期間を迎えるキクに対して、年末から正月にかけて遅咲き種をカンギクと呼ぶ。霜が降りても咲くのだからすごい。






花の裏側。








鮮やかな赤もある。



スプレーギク(スプレーマム)風車菊

スプレー菊は花を小枝状(Spray)に数輪咲かせることから名付けられた。その中で花弁の先が「匙(さじ)弁」になり風車のように見えるものを風車菊と呼ぶらしい。