せっかち散歩

ゆっくり急げ、時間がないから

街路樹の果実 ~ モミジバフウ、トべラ、クロガネモチ

2011-12-29 | 日記
日本海側は大雪でも太平洋側はいい天気が続いている。野原一面に降りた霜を見ながら冷たい風の中を歩いた。陽が高くなってくると林に囲まれた沼の水面から蒸気のような朝もやが立ちあがり、あたりが明るくなって木々も眠りから覚め始める。いつもの冬の朝の光景だと思いつつも昨年とも一昨年とも違う感触を持ちながら歩く。森の木々は毎年同じことを繰り返すのに自分の生活はいつも変化し複雑化していくような気がする。自分の容量を超えないうちに大きくなったエントロピーを断遮離する必要がある。「いかに待ち望まれたものであろうと、変化には悲しみがつきまとう。自分の一部をそこへ置いていくことになるからだ。人は一度死なない限り新しい人生は始められない」これはフランスの詩人アナトール・フランスの言葉。来年は少し違う一年にしよう。


モミジバフウ

ユーモラスな形のモミジバフウの果実。


クロガネモチ

クロガネモチの赤い果実。正月にふさわしい色どり。


トべラ

トべラのべとべとになっている果実。思わず食べたくなるけど果たしてどんな味?

ヒイラギモチ

2011-12-24 | 日記

メリークリスマス。アメリカでは今の季節の挨拶はメリークリスマスMerry ChristmasやハピーホリデイズHappy Holidays!だった。県立公園で見かけたモチノキ科ヒイラギモチ。この四角い変わった葉の形は印象的。日本では正月に飾るのにナンテン、マンリョウ、センリョウなどが使われるが、欧米ではクリスマスシーズンを飾るものがホーリー。モチノキ科モチノキ属のなかのセイヨウヒイラギ(イングリッシュホーリー、クリスマスホーリー)、アメリカヒイラギ(アメリカンホーリー)、ヒイラギモチ(チャイニーズホーリー)の3種のことをホーリーと呼ぶ。ややこしいことに肝心のヒイラギはモクセイ科モクセイ属の植物だからホーリーではない。赤い果実が幸せを常緑の葉は永遠をトゲが邪気を払う意味を持つのだろう。実物はないから写真をドアに飾って魔よけにしようか。

オニヤブソテツとウラシマソウの果実

2011-12-23 | 日記
今日は天皇誕生日の祝日だったが天気は曇りで寒かった。外を散歩する人も少ない。初心者にとって他の多くの植物が枯れる冬場は常緑のシダを観察するのにいい季節だとシダハンドブックに書いてある。


オシダ科ヤブソテツ属 オニヤブソテツ

今の時期、林の中には常緑シダ類が散在している。ジャノヒゲが周りには見られる。右上にはシロダモが見える。


一回羽状複葉で葉の光沢あり、濃緑色、羽片が太くて中軸と重なるシダを見つけた。オニヤブソテツが最有力候補。


包膜が灰色で中心部は黒色なのはオニヤブソテツとナガバヤブソテツで、包膜が灰色一色なのはヤブソテツ、ヤマヤブソテツ、ホソバヤマヤブソテツがあるという。



ウラシマソウの果実

コナラの落ち葉の中で真っ赤に目立っているのはウラシマソウの果実。知らないと何故かドキッとする。

ハクモクレンとコブシ

2011-12-23 | 日記
たまたま県立公園の温室横にはハクモクレンとコブシが並んで植えられている。どちらもモクレン科で花が咲くと一目瞭然で違いが分かるが花も葉もない今の季節は枝ぶりと冬芽で違いを見てみよう。


ハクモクレン

枝ぶりはコブシと似ている。

コブシ

樹皮はどちらも灰白色でやや滑らかでハクモクレンとコブシの差はなさそう。

ハクモクレンの枝先

花芽は白い毛でおおわれていて上向き。

コブシの枝先

コブシの枝はハクモクレンより細い。コブシの花芽はまだ黒くてあちこちを向いている。

公園の花 ~ ソシンロウバイ

2011-12-23 | 日記
ソシンロウバイ ロウバイ科

この県立公園ではもうソシンロウバイが咲いていた。いい香り。臭いを表現する言葉が思い浮かばない。軽い刺激を感じるような爽やかな香り。鼻の通りが良くなる気がする。ロウバイは正月の花のイメージがあって何故かおめでたい感じがする。この半透明の花弁も高貴な感じでいい。


ヘンルーダ ミカン科

ハーブの一種で葉を触っただけでいつまでもその強烈な香りが残っている。決して悪い臭いではないが強烈でミカン科と聞くと何となく納得。花弁はサルスベリの花のように縮れている。


キク キク科

このキクは舌状花が管状になっているのが特徴。品種名まではわからない。

 
ニホンズイセン ヒガンバナ科

南房総ではもうたくさん咲いているらしいが、ここで咲いているのは早い。ソシンロウバイとニホンズイセンは新しい年を感じさせてくれた。

アキニレ

2011-12-23 | 日記
何となく気持ちに余裕が出てきて最近は久しぶりでまた論文を書き始めた。



今日は冬至だと知って嬉しくなった。今は朝6時前後でも真っ暗。これからは少しずつ昼間が長くなると思うとほっとする。先日県立公園を歩いていて足元には霜が降りているのに気がついた。草むらを眺めるとニレ科アキニレの幼木が輝いている。


葉には霜が降りて白い縁取りができている。


上を見上げると雲ひとつない青空にアキニレが枝を大きく広げて果実をいっぱいにつけている。


平べったい形の果実で風に乗って遠くに運ばれるのだろう。

紅葉している木 ~ イロハモミジ、ニシキギ、ハゼノキ

2011-12-21 | 日記
12月19日、北朝鮮メディアが最高指導者の金正日総書記が17日に死去したと報道した。


イロハモミジ

ここのところ冬の気圧配置の影響で関東は晴れの日が続いている。確かに外は寒いが職場は暑いくらいに暖房が入っている。外は澄んだ青い空が遠くまで続く。先日は頑張って朝、職場近くの県立公園を歩いた。イロハモミジの紅葉が朝日に浴びて目に染みるほど美しい。この公園で真っ赤に染まるのはモミジだけ。


ニシキギ

近くの児童公園では毎年ニシキギの紅葉がきれいなのを思い出して行ってみた。枝には翼があって赤い弓矢をたくさん並べたように見える。


ハゼノキ

母の眠る霊園ではハゼノキが今紅葉している。


どんな人も死んでしまえば何も残らない。空を見上げると紅葉した羽状複葉が世の中の移り変わりとは無関係に美しく輝いている。こんな風に生きていければなあ。

イヌワラビ

2011-12-15 | 日記

背の高いモミジの紅葉に目をやっていたら足元のシダを踏みつけそうになった。透かしてみるとハの字型に並んだソーラスがとても美しい。


葉の先端が急に細くなるのがイワデンダ科イヌワラビの特徴らしい。イヌワラビだと思うけど自信はない。


ソーラスは完全に熟している。


2回羽状複葉。最下羽片の下向き第1小羽片はなくなっている感じ。

ユリノキ

2011-12-15 | 日記

先の日曜日は晴天で例によって霊園を散歩。すっかり落葉したモクレン科ユリノキが果実をつけていた。


5月に咲く花もなかなか高くて見られないがその果実もまた枝先にあって遠い。マツボックリのような形をした集合果。


果実のひとつひとつが風で飛んでしまって外側の部分と中心軸だけが残っている。まるでロウソクの蜀台のようだ。


浅山英一著「花と草木の事典」によれば種子はたくさんできているようでも、しいなが多く蒔いても発芽するのは少ないらしい。本の中で実生苗を四角形の平鉢に植えて可愛い様子を眺めるといいとすすめている。自分で育てるのは無理だけれど想像するだけで充分楽しい。


これは2008/5/18に撮ったユリノキの花。ユリノキは花も果実もおおらかで優しさが感じられる木。

センニンソウとダイオウショウ

2011-12-08 | 日記
浅間神社という名前の神社はあちこちにあるようだ。ウィキペディアによれば浅間神社(せんげんじんじゃ、あさまじんじゃ)は、富士信仰に基づいて富士山を神格化した浅間大神、あるいは木花咲耶姫命(コノハナノサクヤビメ)を祀る神社で富士山麓を始めとしてその山容が眺められる地に多く所在するらしい。確かにここからは天気がよければ富士山が望める。

センニンソウ キンポウゲ科

小学校の脇を通って浅間神社への道はお決まりの散歩コースのひとつ。道端の垣根にからんだセンニンソウ。髭だらけの果実が確かに仙人の髭を連想させる。


ダイオウショウ マツ科

この浅間神社は地元の人しか訪れないのではないかと思われるくらい小さくて狭い。しかしダイオウショウの大木があり大きなマツボックリを何度もここで拾ったことがある。見上げるとたくさんのマツボックリがつけてる。


クロマツが2葉、ゴヨウマツが5葉であるのに対しダイオウショウは3葉。この3葉に分かれた長い葉は下に植えられているモッコクの枝に長い間ひっかかっている。たぶんダイオウショウの葉が朽ちてバラバラになるまで落ちないだろうなあ。

サネカズラ

2011-12-08 | 日記
名にし負はば 逢坂山のさねかづら 人に知られで くるよしもがな 
(逢坂山のさねかづらの蔓をたどるように人に知られないであなたが来る方法があるといいのに)

サネカズラ マツブサ科

百人一首の本を何気なく見ていたら三條右大臣のこの歌が出てきて先日散歩で見つけた藪の中のサネカズラの果実を思い出した。赤い果実はやっぱり目立つ。花後に花床が肥大し液果が球状に集まる形になる。ただ夏に咲く花はまだみたことがない。



サルトリイバラ サルトリイバラ科

サネカズラのすぐ横で放射状に赤い果実をつけていた。



ヒヨドリジョウゴ ナス科

近所の小学校は今改築中で仮設校舎が建ち、そのために狭くなった校庭で子供たちがサッカーをしていた。その脇の藪の中に一面ヒヨドリジョウゴがはびこって赤い果実をたくさんつけていた。

トラノオシダ、ミドリヒメワラビ、リョウメンシダ

2011-12-03 | 日記
秋になり街路樹の紅葉も次第に落ちて枯れ葉が舞うとき心の中でも一陣の風が吹き抜けるような気がして立ちすくむ。もう12月。今年もいろいろあった。後ろを振り返る余裕などまだないからただ前に進むのみ。


日本にはシダが630種類記録されていてその数はイギリスの9倍に相当するらしい。まさにシダの宝庫。森や山をたくさん残してそこにいる生き物たちの多様性をいつまでも維持してほしい。誰も目もくれない藪や茂みの中にこそ宝物が眠っていて新たな発見があるから。



トラノオシダ チャセンシダ科

林の入り口近くの道端に小さな可愛いシダを見つけた。2回羽状複葉。


柔らかい革質で無毛。葉柄には浅い溝がある。


ソーラスは長楕円形。葉柄の裏面は紫色になる。



ミドリヒメワラビ ヒメシダ科

トラノオシダのすぐ近くで鮮緑色で柔らかい葉の大型のシダを見つけた。あたりに群生している。


小羽片の基部に柄がつき、羽軸に狭い翼がある。


ソーラスは中肋と辺縁の中間につき、包膜は小さい円腎形。



リョウメンシダ オシダ科

スギ林の外れの湿地帯に入るところに葉は黄緑色から明るい緑色で、2回羽状複葉だが何故か不思議に見えるシダがあった。


これは葉表の様子だが葉表の中軸、羽軸が上に浮き出ているために裏面に見える。表は裏に見え逆に葉裏は表に見える。


葉表の中軸に溝がある。


こちらが葉裏。

フユノハナワラビとトキリマメ

2011-12-01 | 日記
フユノハナワラビ (ハナヤスリ科ハナワラビ属)

この前の日曜日11/27は小春日和の穏やかな朝だった。林の入り口付近の日当たりのいい場所ではあちこちに20cmほどの高さで立ち上がっているシダ植物を発見した。立っている部分は胞子葉で、基部には2回羽状複葉の栄養葉をつけているようだ。


フユノハナワラビは栄養葉の先(鋸葉)が鈍頭で、よく似ているオオハナワラビは尖っているらしいからこれは多分フユノハナワラビの方だろう。


胞子葉をそっとたたいてみると白い粉状の煙が立ち上った。スギの雄花をたたいた時に舞い上がる花粉のような感じ。



トキリマメ (マメ科タンキリマメ属)

藪の中に分けってみると赤い鞘に黒い種子をつけた豆がぶら下がっていた。タンキリマメによく似ているが小葉がやや大きくて薄く、先が急に細くなってとがる。小葉の幅はタンキリマメが中央より上が最も広いのにたいしてトキリマメは下半部が広い。


つるは右肩上がり。