彼女は50歳という若さで認知症が進み入退院を繰り返していた。錯乱状態に陥り、時に意識を失い、ここ一月のうちに家族の識別も出来なくなった。そして昨日目にした時、彼女は廃人同様になっていた。今年のはじめにはまだ笑って会話ができていたのに。ただその時も、何か変だ、自分は大丈夫かなあ?と心配していたのを思い出す。どんどん記憶が薄れてい行くのを感じていたのだろう。その時、わずかに涙ぐんだその目は遠くを見つめ、まるで懐かしいものに出会ったのにそれが何か思い出せずに当惑しているような顔にも見えた。卒業式の惜別の表情とも似ていた。記憶が無くなっていくことを本人が自覚するとき、それはこの世界や周りの人々達との別れを感じるに違いない。まだわずかに残っている記憶を頼りに、その時確かに彼女は手を振ってお別れを言ってくれたのだった。今はもうこちらの声は届かない。
エパクリス・ロンギフローラ エパクリス科
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温室の外でバンクシアの近くに赤い花をたくさんつけている低木を見つけた。エリカの仲間かなと思ったが、名札にはエパクリス・ロンギフローラとあった。エパクリスというのはギリシャ語の丘の頂上という意味でこの種の花が、丘や山の尾根に咲く習性があるらしい。花は長さ3cmほどの紅桃色で、先が白い。
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エパクリス科エパクリス属の常緑小低木で、学名は Epacris longiflora。英名は Fuchsia heath, Native fuchsia。オーストラリア南東部に分布。
エパクリス・レクリナータ
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ロンギフローラの隣に植栽されていた。
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オーストラリア南東部に分布。葉は卵状または卵状披針形で、茎に密生している。秋から春にかけて、葉腋から花序をだし、ピンクから赤色の筒状花。エパクリス科エパクリス属の常緑小低木で、学名は Epacris reclinata。
エパクリス・インプレッサ
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名札が見当たらず名前が判らなかったがネット検索した限りではインプレッサのようだ。オーストラリア南東部に分布。学名はEpacris impressa。 英名はCommon Heath、Australian heath。