時計販売員をしていた頃の話。
私はバブル経済が崩壊してから社会人になったので、サラリー面では良い経験は無かったのですが、丁度、高級ブランド腕時計ブームの頃に高級腕時計の担当でした。
金銭感覚が完全に麻痺しました。
SMAPの木村拓哉がドラマで着けていたROLEX(エクスプローラーⅠ)を二十歳そこそこの女の子が「キムタクの時計~、どれ~?」と舌っ足らずな声で言うので、「こちらですが...」と、どうせ見るだけかなと思いつつショーケースから出すと、「じゃあ、これちょうだ~い!」と現金をポン!当時プレミア価格だったので42万円位したと思いますが、ニコニコ現金払いですよ!
1日のうちに写真の金無垢のROLEXが立て続けに2本売れた日もありました。
金無垢を好むお客様は時計の存在感と非常によくマッチしたパンチの効いた方が多かったように記憶していますが、その日の2本目のお客様がまさに、目がチカチカするような光沢のあるシャツに、黒のスラックス、白のエナメルの靴に、脇にはワニ革のセカンドバッグを小粋に(笑)かかえてご来店されました。
しかし、目を見張ったのはそのファッションセンスだけではなかったのです。
ものすごい巨漢で、小さい頃から小魚と牛乳をガッツリ摂取されてスクスク育ったんだと容易に判断できました。
当然腕回り(手首)も太目のダイコンのように太く、最初のベルトのコマ数ではピチピチで着けることができませんでした。
「ベルトのコマをあと3コマほど足さないと無理ですねぇ。(^^;)」と、私のせいじゃない、ROLEXがケチだからですよ、という思いを行間に込めて言うと、「なに~!?今すぐ着けて帰りたいから、隣にあるヤツから3つ取って、付け足したら済む話や!」と非常に優しい口調でおっしゃられました。過去にそういう事例がなかったので、すぐコマの値段を調べると...
1コマ9万円!
3コマで普通のROLEXが買えます。しかし、格好良かったのはファッションだけではなく、腕時計の代金+コマ代27万円をこちらもニコニコ現金払いでした。
金無垢をお持ちの方は、予備のコマを失くさないように大事に保管しておくことを強くお薦めします。
腕時計のサイズ調節もおまかせください腕時計修理専門店トゥールビヨン
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