巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
さて、次は何を綴ろうか
【連絡先】
cosgyshow@gmail.com

変わり映えせぬ僕と林檎

2017-04-02 22:22:50 | 
もうすぐこの夜も更けて
見知らぬ月曜日が訪れる
変わり映えせぬ僕と
新しい人生を歩む君

子供の頃から大好きな
「林檎」が書けないように
今を表す「憂鬱」という
気だるい字が書けない

こんなもやもやした日には
無理にでも外に出ようぞ
冷たい夜の真ん中で密会しよう
誰も知らない秘密基地で
探し物なんてどうでもいいから
とりあえず僕を優先してくれ

涙がこぼれる、そんな日には
押し黙った僕がいつもそばにいた
今日は君にそばにいてほしい
なくしたものは愛情だけじゃないから
君という存在さえ失ってしまったから

神様が言う
お前達が子供の頃
永遠に塗り固めた泥団子は
二十歳を迎えた今は
誰かの靴で木っ端微塵

踏み潰したのはきっと
神様あなたでしょう

神さえ羨む二人の関係
僕は呼ぶ、君の名を
飽きるほど探す、君の行方を
追いかけるから、じっとしてて

変わり映えせぬ僕は
変わり行く君を追う
満たされない僕は
赤い林檎を嚙る
満ち足りない僕は
憂鬱を吹き飛ばす

惰性からの決別

2017-04-02 20:47:43 | 
何もやる気が起きなくて
少し都会の空気に触れただけ
心の痛みは治まったかい
僕は忘れないよ、決して

時を埋め合わせるように
新しい一日がやってくる
僕達は同じ時間に留まれない
同じ場所に安住できない

プレーボールの声が響く
僕のノックアウトは秒読み
戦意喪失した僕の棒球は滅多打ち
早くマウンドから降ろしてくれ

記憶のあの日に帰りたいんだ
振り向けば無表情に君がいた
あの頃の僕達のように
明日になれば君の席はからっぽ
きっと他の誰かが座るんだね

僕は腐った果実の匂いを嗅ぐ
腐熟するほど煮詰まった僕達の関係
完全に行き場を失った
愛とも恋とも呼べない大人の感情
君は「惰性」と言って去った
確かにそうなのかもしれない
緊張感をもたらしたのは
君がいなくなるという事実

耐えられない喪失感
認めざるを得ぬ現実

途方に暮れる僕を置き去りに
街の灯りが鮮やかに夜を彩る

時に弄ばれる私達

2017-04-02 00:54:31 | 
時は何人にも平等

絆は永遠なんて
本気で信じてた
私は無邪気な子供のよう
あなたに裏切られるまでは

太陽も月も地球も
全部中途半端だから
僕は宇宙に生きる
僕は未来に生きる

巧妙な裏切り
破壊衝動を抑えて
絶対絶命の私は自爆寸前
勝手過ぎるあなたの物言い

僕はあの時を想い出という形で
心の片隅に永遠に封じ込める
何人にも平等な時を一人占め
それでいいだろう、すべて

君がいなくなった毎日は
許されざる無念と懺悔
玩具をほしがる子供のよう
愛を求めた君を裏切り
幾多の恋路を渡り歩き
君に辿り着かずじまい

さんざん弄んできた上に
終着点は何処にあるの
あなたの顔を鏡で見るといい
死んだ魚のような燻んだ瞳を
まるで覇気のない顔を

私は漆黒の夜を抱きしめて
あなたのいない日々を
平然と受け入れ過ごす
欠落した過去の痛みは
あなた同様に封じ込めた
何人にも平等な時を一人占め
それでいいでしょう、すべて

時は人を弄び
人は時を持て余す
私達は時を愛し、時に怯える
時は過ぎる、私達を置き去りに