巨匠 ~小杉匠の作家生活~

売れない小説家上がりの詩人気取り
さて、次は何を綴ろうか
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明るいこの国の未来

2017-04-17 21:50:16 | 
慌ただしく過ぎたパーティーナイト
僕は興奮を隠せず君をベッドまでお姫様抱っこ
誰も彼も思い思いにハグ&キス
そんな夜があってもいいじゃない
先生にも警察にも、両親にだって
誰にも止められやしない

誰もヤクなんてやってない
見ての通り、正真正銘の優等生
周囲から貼られたそんなレッテルを
剥がしたい、ひっぺがしたい
物珍しそうに私達を見ているあなた
このレッテル貼ってあげましょうか
常識人の証として

私はね、私達は自分らしくありたいの
他の誰かに評価されたくない
こんな私達、変ですか?
どこかおかしいですか?

泡の出る苦いドリンクを飲みました
そう、私は17歳
咎めるなら咎めてよ
私が悪い?
ちょっとオトナの真似事をしただけ
私達だって人間だから
時には道を踏み外したくなるんです
こんな私達を許して
こんな私達を愛して
不器用な私達もじきにオトナの仲間入り

「僕は、私は自分の青春を生きるんです」

校庭の壇上に立ち、片手を挙げて宣誓
先生、見ていてくれましたか
私達、少しオトナになりました
発言も少し立派になったでしょ
生意気だけど、これが日本の17歳
がっかりしないでください
この国の未来は明る過ぎる
私達に託された無限大の未来を
この手で握り潰しましょうか

くそったれのこの世を
僕達が塗ったくった黒ペンキで
真っ暗な夜空に変えてみせる
誰も彼も自分が犯した罪の
責任をとらなくていいんですね
僕達だって知ってます
新聞もテレビも見ないけど
スマホひとつで貴方達の悪事は
筒抜けなんです

優等生も劣等生も普通の子も
この世界に嫌気がさしています
だからイジメだってなくならない
本質を見極められないオトナ達は
私達の見本にはなりえません

俗世間を夜闇に捨て去って
僕達は夜の公園に繰り出し
葉桜が咲く真下で煙草をふかす
ひとつずつ悪事を働きながら
僕達は決してなりたくない
オトナへの階段を着実に登っていく

この世界の色遣い

2017-04-17 18:03:48 | 
君とともに見た景色は
幾千の鮮やかな色が彩る世界
僕がまだ一人の頃のこの世は
あらゆる色を失った無色透明
記憶の中の光景とは真逆な今
きっと僕は今幸せなんだろう

穏やかに過ぎゆく時
嫋やかに流れゆく日々
君は後継者にすべてを委ね
どこへ飛び立っていくのだろう

組織は常に最適配置
僕がいなくても世界は廻る
君がいない世界は考えられないけど
すべて僕のせいにすればいいさ

追憶の彼方にある美しい季節
葉桜の日、新しい緑の芽吹き
丁度あの頃に僕は君と出会い
取り巻く周囲一面が色付いた

僕はすべてを委ねるのではなく
君に寄り添うと決めたんだ
それが僕の覚悟、責任の取り方
君が独り立ちするその日まで
この世界の黒から君を守り抜く

南から暖かな微風が吹いてきた
君の柔らかな髪がふわりと揺れる
あの青空から舞い降りた天使
君はモノクロなこの世の人々に
等しく色を配り続ける宿命

僕は君の旅立ちを知らないから
当たり前の光景だと思ってしまう
君が彩るこの世界は永遠ではない
僕の周囲は既に色付いているから

君はこの世界を忙しく飛び回る
そんなにも色のない日常が
あちこちに通常として存在している
色のない畑に三色の栄養を撒こう

僕は君が姿を消す雰囲気を感じる
葉桜はもうすべて新緑に変わった
君はもはやここにいる理由がない
去り際を見極めようとするのは当然

モノクロームだったこの世界に
君が残したこの幾千、幾万の色を
守り抜くのが僕の使命
僕は君が産まれる前の
色のない世界を思い出す
あの頃には決して戻さない

君を悲しませないように
この世に生まれたことを
決して後悔させないように
君の色遣いが報われるように
君がいつまでも永遠に
この世を彩り続けるように