途山記

埼玉県在住、地元関東を中心に歩いています。

甲斐駒ケ岳(黒戸尾根)

2017-07-10 | 南アルプス
2017年7月10日

表参道黒戸尾根での甲斐駒ケ岳は本年登頂したい山のベスト3に入っていました。
山行前日寝床に着いてからもなかなか寝付けず、実質仮眠2時間程度という状態での深夜1時自宅出発の強行登山でした。

4:20 尾白川渓谷駐車場
4:30 竹宇駒ケ岳神社
5:45 笹の平分岐 5:50
6:55 刃渡り
7:10 刀利天狗
7:45 五合目小屋跡 7:50
8:30 七丈小屋 8:35
9:15 八合目御来迎場 9:20
10:15 甲斐駒ケ岳 10:40
11:30 八合目御来迎場
12:05 七丈小屋 12:10
12:40 五合目小屋跡
13:15 刀利天狗 13:20
13:30 刃渡り
14:10 笹の平分岐 14:15
15:25 尾白川渓谷駐車場
所要時間:11時間5分

■天候:晴のち曇

■コース状況
駐車場~刃渡り
長々と樹林帯の登りが続きます。
登りでも嫌になるほど長いですが、下りもなかなか終わりが見えてこないので、膝への負担が掛かりメンタル面も厳しく感じます。

刃渡り~五号目小屋跡
刃渡りは危険箇所と記されていますが、区間が短く個人的には特に危険は感じませんでした。
左右が切れ落ちているため、展望は開けています。
黒戸山を巻きながら登ってから一旦下ると五合目小屋跡です。

五合目小屋跡~七丈小屋
五合目小屋跡からは鎖場、梯子で一気に高度を上げます。
特に下りでは慎重な下降で転落に注意したいです。

七丈小屋~八合目御来迎場
途中からようやく森林限界に突入してもう一登りすると八合目御来迎場です。

八合目御来迎場~甲斐駒ケ岳
修行の参道らしく鎖場、岩場、ザレの連続する急登で、体力を要することは勿論、最後まで足元にも注意しながら登りたいです。


昨晩は寝付きが悪く実質仮眠約2時間でした。
埼玉県より深夜の下道を雁坂トンネル経由で2時間半程走っただろうか、道の駅白州に立ち寄ります。
車中泊含めて数台の車が止まっていて、登山使用の方とも挨拶を交わします。
コンビニ弁当を無理矢理頂いて、トイレでコンディションを整えてから、竹宇駒ケ岳神社市営の尾白川渓谷駐車場に移動します。


4時過ぎに駐車場に到着すると、真っ暗のなか既に複数のハイカーさんが準備を始めていました。
準備を整えていると、なんと嬉しいことにヤマレコのirohaさんに声をかけられます。
まだ暗かったですが、一足先に長い長い黒戸尾根の登山開始です。


当然まだ閉まっている売店尾白の前を歩いて、竹宇駒ケ岳神社で無事帰着できるよう祈って参拝します。


定員5名の揺れる吊り橋を渡って登山口に向かいます。
樹林帯に入って本格的に登山開始。


尾白川渓谷との分岐を黒戸尾根方面に進んで、九十九に登ります。


祠が現れ幾らか傾斜も緩み、原生林の雰囲気がいい登山道を歩きます。


早くもだいぶ長く感じながら笹の平分岐に着きました。
複数のハイカーに呆気なく抜かれていきます。
早朝の馬蹄形同様やはり日帰りで黒戸尾根を歩く人も明らかにレベルが違います。
無理して付いていってたら最後までもたないのでマイペースを心がけてゆっくり歩きます。


石碑のある小広場を過ぎて、再び傾斜が出てきて暫く登り込みます。


途中の展望地より昨年青木鉱泉起点の周回で登頂した鳳凰三山を捉えます。
シンボルの鋭いオベリスクをズーム。


深刻な急登を必死に登り上げると刃渡りに突入です。


後方は雲に覆われて雲海になっていました。
進行方向左手に鳳凰三山。


一輪だけ咲いていたシャクナゲ。
呆気なく刃渡りを通過するとようやく梯子が現れます。


祠が祀られている刀利天狗に到達です。
その後も長い樹林帯歩きを継続させます。


往路なのに勿体ないくらい下って五合目小屋跡。


すぐ下の鞍部まで下ります。
石碑、石仏がある祠。


垂直梯子を登り上げ、木道を渡ります。


黒戸尾根らしく剣が置かれています。
修行の参道は休まることなく垂直梯子で急激に高度を上げます。


ようやく七丈小屋が見えました。
ガリガリ君は売り切れみたいです。
ジュース、アルコール類も販売していました。


七丈第二小屋から梯子を登り、すぐ上の岩場の隙間の日陰で堪らず小休止。
何度も登場してきている鳳凰三山を視界に捉えて気合いを入れます。


ウラジロヨウラク(1枚目)とイワカガミ(2枚目)。


七丈第二小屋上のテン場。
広いのでここで休憩すればよかったです。
長すぎる樹林帯が終わりを告げてようやく森林限界です。


八合目御来迎場に到着すると、甲斐駒ケ岳山頂方面が見えてきます。


足場がしっかりと付けられた岩場は鎖を使いながら登ります。
岩場主体の体力を要する登り込みに苦しみます。


2本の剣が天に向かって刺さっています。
酸素が薄くなったことを感じ始めましたが、少し休んでから山頂は目の前なので精神を集中させて気力で乗り切ろうと立ち上がり数歩歩き始めますが、全く駄目で頭がクラクラしてきます。
しかたないので、酸素スプレーを使用してから最後の登り込みです。


山頂手前の駒ケ岳神社本社。
山頂部をしっかりと確認。


トラバース気味のザレを通過して北沢峠からの登山道と合流。


そして甲斐駒ケ岳(2967m)に登頂成功。
山頂を踏んだ瞬間、自然と感動しました。
甲斐駒ケ岳のシンボルである石の祠。


時間的なのか山頂部は黒戸尾根ハイカーのほうが多かったです。
道中抜かされた福井からお越しのペアハイカーさん、同じ埼玉県のベテランハイカーさんと話し込みます。
仙丈ケ岳を捉えます。


山頂で何か食べようかと思ったが食べる気にならないので、ゼリーを少し頂きます。
鋸岳方面は危険看板が出ていました。
雲の隙間から国内最高峰富士山を眺めてから下山します。


花崗岩やザレのトラバース道を転倒しないよう丁寧に戻ります。
高度感があるので一歩一歩慎重に下ります。


ハクサンイチゲ(1枚目)とキバナノコマノツメ(2枚目)。


眠くても疲れても集中力を切らさないよう鎖場を下ります。
七丈小屋上の広くなっているテン場で小休止してから下ります。


激下りの連続によくこのルートを登り込んできたなと自分でも思います。
鎖場、垂直梯子を丁寧に下ります。


五合目小屋跡を通過して刀利天狗で小休止。


刃渡りより望む眼下の街並み。


無駄にとても長い樹林帯の下りではメンタルの強さも要求されます。
ようやく笹の平分岐。


その後も終わりが見えてこない長すぎる下りを歩いてなんとか吊り橋まで来ました。
静かに沢を眺めて気持ちを落ち着かせます。


皇太子の登頂記念碑が立てられている尾白荘。
なんとか甲斐駒ケ岳黒戸尾根ピストンを終えて無事下山しました。


11時間以上の行程となった黒戸尾根はとても疲れたので、近くの尾白の湯でゆっくりと汗を流しました。
ここでもirohaさんにお会いしました。
結局帰りも高速を使っても15分程度しか短縮できないので、下道で居眠りしないよう気を付けて帰りました。


■その他
本年は昨年に比べてロング山行が減っていたことと、最近はなかなか休日が安定せず山行自体も少なめになっていたことから無事登頂を達成して帰ってこれるのかと思っていました。
やはり往路の山頂まででも果てしなく長く感じ、各地点で現在地と山頂までのCTを確認する度に理解に苦しみ頭がおかしくなりました。
やっとの思いで甲斐駒ケ岳山頂に辿り着いた時は、感動とともに今回のコンディションでは馬蹄形よりもきついのでは、とさえ思いました。
復路も無駄に長いといった感じで、疲れ切った状態で下山しました。
最終的な体力レベルの判断では谷川連峰馬蹄形縦走には劣りますが非常に体力を要するルートで、翌日以降は酷い筋肉痛に襲われ特に階段の上り下りでは息が止まりそうなほどきつかったです。

鳳凰三山(青木鉱泉起点周回)

2016-06-26 | 南アルプス
2016年6月26日

上半期の締め括りとして本年のトップクラスの目標の一つだった鳳凰三山を周回してきました。

5:20 青木鉱泉
6:40 南精進ヶ滝 6:45
7:10 鳳凰滝
7:50 白糸の滝 7:55
8:15 五色ヶ滝 8:20
8:55 鳳凰小屋 9:00
9:40 地蔵岳 10:00
10:50 鳳凰小屋分岐
11:20 観音岳 11:50
12:05 薬師岳 12:10
12:45 御座石
14:40 林道出合
15:20 青木鉱泉
所要時間:10時間0分

■天候:曇

■コース状況
青木鉱泉~鳳凰小屋
ドンドコ沢登山口から登っていくが、五色ヶ滝までは基本急登の樹林帯歩きが継続されるので体力を要します。
4箇所ある滝に中でも五色ヶ滝は特に圧巻なのでお勧めのスポットです。
五色ヶ滝以降オベリスクが望める平坦な箇所があります。
登山口から鳳凰三山までは幾つかルートを誤りやすい箇所もあったので木や岩に記されているマーキングを目印に登りたいです。

鳳凰小屋~賽ノ河原
樹林帯が解消されると鳳凰三山最大のポイントとなる白砂地帯の歩きづらい厳しい登りが待ち受けています。
賽ノ河原からオベリスクに登ることもできるが、頂上直下は危険なため登る場合には細心の注意が必要です。

賽ノ河原~観音岳
鳳凰三山最高峰観音岳までは白砂の素晴らしい稜線を歩ける半面、アップダウンがあり、登りが厳しいので体力を要します。

観音岳~薬師岳
なだらかなので体力を消耗せずに稜線を楽しみながら歩ける易しい区間です。

薬師岳~青木鉱泉
中間登山道はルートは明瞭で危険箇所はないが、展望のない非常に長い樹林帯の下りが続きます。
廃屋が出てきたら青木鉱泉まで林道歩き約40分。


2:10 am 自宅を出発。
途中コンビニで朝食休憩をしながら雁坂トンネル経由の下道走行を続け、5時に青木鉱泉に到着。
駐車場到着前の未舗装路の走行に気を使いました。
駐車料金を払う為に一旦青木鉱泉に向かって歩きます。


受付まで行ってみるもまだ早い時間であることから閉まっていました。
私がザックを持たずに奥から出てきたからであろうか、ハイカーさんに従業員と間違えられ、お互いに混乱状態となる事件が起こりました。
車に戻って支度を整え、ロング行程に備えてトイレを使用させて頂きます。


本日はドンドコ沢コースで登り、鳳凰三山の稜線を歩いた後、中道コースで下山する予定です。
無事周回できるであろうか。


砂利道を歩き、沢沿いの道に出ます。


防堰堤の先に目指す稜線を捉えます。


薄暗い樹林帯歩きではマーキングを注視しながら進んでいきますが、2枚目の画像の場所で誤って一度直進してしまい、異変に気付き戻ると、左にルートが続いていました。


一旦小さな沢を渡ります。
トラバース箇所を歩きますが慎重に歩けば問題ありません。


南精進ヶ滝との分岐で誰もいなかったのでベンチを利用して一休み。
南精進ヶ滝には行かなかったが、鳳凰の滝も5分掛けてまで行くのが面倒だったのでそのまま白糸の滝に登っていきます。


急な斜面ではルートを外れないようトラロープが現れます。
岩の露出した急坂では脚部に負荷が掛からないよう丁寧に登っていきます。


深刻な登りに苦しみながら標高を上げていきます。
白糸滝は登山道から近いので立ち寄ってみます。


少し寄り道して白糸滝を捉えます。


ここでお会いしたハイカーさんと写真を撮り合います。
このハイカーさんとはルートも同じだったためこの先も数回お会いしました。
登山道に戻って五色ヶ滝を目指します。


圧巻の五色ヶ滝。


階段の急登を登っていくと、やがて平坦になり、登山道の雰囲気がガラっと変わってきます。


鳳凰小屋手前で御座石鉱泉からの登山道との分岐が現れます。
鳳凰小屋に到着。
ハイカーの他に小屋のスタッフの方が数人おられました。


スタッフの方が登ってきたハイカーさんに休んでいってくださいと声を掛けていました。


数々のハイカーを苦しめてきた白砂地帯では足を取られて頂上付近との差がなかなか縮まりません。


振り返ると下界がよく見えます。
2枚目の画像は鳳凰三山最高峰観音岳。


やっとの思いで賽ノ河原。
途中でザックをデポしてオベリスクの頂を目指します。
頂上近くまで行きながら既に恐怖感は感じており、登ったはいいが下りられなくなったら怖いので残念ながらやめておきました。


戻って地蔵集団のある広場に戻ります。
ともにオベリスクに挑みながら断念されたハイカーさん達と会話していきます。
振り返ってオベリスク。


稜線では主にイワカガミが咲いています。
上部が雲に覆われているが北岳方面だろうか。


地元奥武蔵では見られない風景ですね。
捉えるもの全てが美しく、白砂の稜線歩きに感動です。


鳳凰小屋分岐点まで来ましたが、観音岳までまだ40分も登らなければなりません。
稜線は美しいがとにかく登りがきついです。


岩場地帯を登り込んでいきます。
半袖2枚でしたが、あまりに寒かったので長袖1枚追加の3枚体制で挑んでいきます。
振り返ってオベリスクと苦戦した白砂のザレ場。


ようやく観音岳の山頂部が見えてきました。
そして鳳凰三山最高峰観音岳(2841m)に登頂成功です。


地蔵岳でもお会いした健脚ハイカーさんに写真を撮って頂きました。
山頂部の他のハイカーの邪魔にならないどころか見つからないような極めて隅で昼食。


オベリスク挑戦者の方達と再び話し込んでから薬師岳に向かいます。
薬師岳への稜線は穏やかで体力を温存しながら気持ちよく歩くことができます。


この展望もガスがなければ最高なんでしょうね。
薬師岳山頂部が見えてきました。


そして薬師岳に到着。
山頂部は広いが混雑していた観音岳と違い2人組のハイカーさんがおられるだけです。


岩々が目立つ山頂部から中道に向かって歩いていきます。


普段滅多に見られない光景なので撮影が止まりません。
名残惜しいですが樹林帯に入っていきます。


ジメッとした樹林帯の下りの途中には雰囲気のいい箇所もありました。


大きな御座石。


標高を下げていくと次第に笹地帯へと変化してきます。
展望のない下りがとても長いです。


歩き続けて廃屋。
ここからは青木鉱泉まで40分の林道歩き。


増水の為ショートカット道は使えず、青木橋を経由して戻ります。


青木橋から沢と本日登っていた鳳凰三山の一部を捉えます。


そして駐車場に帰着。
フロントガラスには駐車料金未納の張り紙が置かれていました。
1台を除いて他全ての車のフロントガラスに張り紙がありました。
ノーザック、ピストンで青木鉱泉に向かい、駐車料金¥750を払ってから戻りました。


下山後の温泉は白山温泉に入りました。
駐車場には猫がいました。


■その他
アルプスこそ未訪問であったが、近々ロング山行を歩いていたのである程度安心して歩けるだろうと思っていました。
しかしながら、深夜の早起きから始まって、地蔵岳直下、観音岳への登り込み、永遠と続くかのような中間登山道と堪えるものがありました。
また、高度の高さから酸素の薄さを微妙に感じて、観音岳で酸素スプレーを使用しました。
下山中標高を下げ、ふと気が付いたら酸素が多く感じたので、やはり思い込みではなく身体が酸素の薄さを感じていたのでした。
先日歩いた雲取山~飛龍山周回に比べればまだ体力レベルは落ちますが、翌日はやはり筋肉痛になりました。
しかし、稜線上では地元では決して味わうことのできない美しい光景を楽しむことができて、非常に貴重な体験だったと思っています。
終始ガスだったので、ガスが取れれば最高だったことと思います。
地蔵岳以降でお会いした二人組ハイカーさんの話によると、天候次第で観音岳からは雲海と富士山の抜群の絶景を望むことも可能との情報を頂いたので今回は残念でした。
アルプス初訪問が鳳凰三山でよかったと思います。