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冷気にさらして作る三輪そうめん/毎日新聞「かるたで知るなら」第40回

2022年02月17日 | かるたで知るなら(毎日新聞)
NPO法人「奈良まほろばソムリエの会」は同会が制作した「奈良まほろばかるた」の各札を題材に毎週木曜日、毎日新聞奈良版に「かるたで知るなら」を連載している。

先週(2022.2.10)掲載されたのは〈熟練の技 冬の風物詩/大神(おおみわ)神社(桜井市)〉、執筆されたのは同会会員の藤井哲子さんだった。藤井さんは画家であり音楽家、まさにマルチタレントである。以下に記事全文を紹介する。

〈冷気に晒して作る三輪そうめん〉
酷暑の頃、涼感を呼ぶそうめんが作られる季節は冬。極寒の未明から作業は始まります。小麦粉を塩水で練って生地を作ります。水加減や塩の量を、気温や湿度の変化を見ながら微調整する作業は、現代においても人による熟練の技が求められます。

麺生地は、伸ばすたびに植物油をつけて付着を防ぎ、徐々に細い棒状にしていきます。直径1㍉ほどになるまで、包丁を入れることなく、伸ばされた手延べそうめん。冷気で麺を乾燥させる光景は冬の風物詩です。

そうめん作りは1200年余り前、大神神社の御祭神の子孫が神様から啓示を受け、飢饉(ききん)と疫病に苦しむ民を救うために小麦を栽培し、それを水車の石臼でひいて、湧き水でこねて伸ばしたのが始まりとされています。

江戸時代の「日本山海名物図会」には「大和三輪素麺、名物なり、細きこと糸のごとく白きこと雪のごとし。ゆでてふとらず、全国より出づるそうめんの及ぶ所にあらず」と日本一との名声が記されています。

毎年2月5日、その年の三輪そうめんの相場を占うト定祭(ぼくじょうさい)が大神神社で執り行われ、その結果で卸値が決まり、全国の取引の参考にされます。

このように、大神神社と深く関わる歴史が、三輪そうめんの商標の象徴的な三ツ鳥居のデザインに投影されています。古くから神様への供え物として特別な存在でしたが、時代と共に身近な食材となりました。茹(ゆ)で時間の短さ、アレンジのしやすさ、保存ができることも大きな魅力になっています。(奈良まほろばソムリエの会会員 藤井哲子)

【大神神社】
(住所)桜井市三輪1422
(交通)JR三輪駅から徒歩約5分
(拝観)境内自由
(ト定祭)今月5日はコロナ禍で三輪素麺掛唄保存会の唄の奉納は中止。
(駐車場)無料
(電話)0744・42・6633


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