tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

NEXT-1300 NARA シンポジウム/観光地奈良の勝ち残り戦略(113)

2017年03月28日 | 観光地奈良の勝ち残り戦略
1300年前の奈良時代から、連綿と続く歴史に彩られた奈良。次の1300年を見据えたイノベーションを起こすため、「NEXT-1300 NARA シンポジウム」(主催:奈良市観光協会)が日曜日(3月26日)に開催されたので、聞きに行ってきた。全体テーマは「C-MICE(シーマイス)」の推進だ。
※写真はすべて東大寺・金鐘ホールで3/26に撮影。今回は「写真撮影自由、
どんどんSNSなどで情報を発信してください」とのこと、これは有り難かった

「MICE(マイス)」とは、企業などの会議、報奨・研修旅行、国際会議、展示会・イベントの頭文字で、観光庁はこれをテコとした観光振興を目論んでいる。「C-MICE」は、いわば「小さなMICE」で、今回作られた造語である。当日の模様は毎日新聞奈良版(3/27付)に紹介されている。全文を引用すると、



1300年後の未来へ発信 新しいアイデア シンポで発表
1300年後の奈良の未来を見据え、変革を生み出すことを目指す「NEXT-1300NARA」プロジェクトのシンポジウム(奈良市観光協会主催)が26日、東大寺総合文化センターで開かれた。奈良漬けの販売拡大、奈良を訪れる人々に提案する健康をテーマにした旅行、寺を拠点として世界中の人々から投資を募るアイデアなどが発表された。

講演した北河原公敬・東大寺長老は、唐招提寺を創建した奈良時代の渡来僧、鑑真らによる1300年前の国際交流を紹介。その影響は現代にまで及んでおり、「功績を忘れてはならない」と指摘した。



オーストリアで世界的なメディアアートイベントを開催する「アルスエレクトロニカ」の小川秀明ジャパンディレクターは「人々を受け入れるだけでなく、創造することが必要。奈良はこれからの世を語るのに適切な場所」と話した。

その後、前日から奈良を巡ってさまざまな案を話し合ってきた参加者がアイデアを発表。職人技を目線のカメラで撮影して追体験させたり、東大寺でビジネス合宿を開くプランが披露された。【矢追健介】




この日の見どころは「構想ジャーニー プレゼンテーション」だった。前日に行われた奈良市内ツアーとその後のディスカッションをもとに、プレゼン資料が作られ、それがステージ上で発表された。5チームが続々と登壇した。各チームの発表をかいつまんで紹介する。メモが追いつかなかったので、簡単にしか書けないが。

1.食:奈良漬BANKプロジェクト
本格的に作るには10年以上を要する奈良漬づくりを体験。材料となる野菜づくり(ウリ、キュウリ)、酒粕づくり、奈良漬づくりの3つのステップ(1年~18年)の一部または全部を体験してもらうというもの。それぞれのステップで奈良に足を運んでもらおう、というもの(いわばリピーターづくり)。資金はクラウドファンディングで募る。



2.ウェルネス(健康・美容):Naraウェルネス・ツーリズム
コンセプトは「観(み)る観光」から「健康になる観光」へ。ターゲット層は全世界の女性。ヘッドスパ(頭のマッサージ)、リラックス、座禅、ヨガ、薬膳茶などを体験してもらう。また米国などで経験を積んだ美容師を招聘する(英語で会話できる)。奈良特産の筆(化粧筆)や刃物(ハサミ)などもPRできる。

3.お寺でシェアハウス:テラハウス
小さな町寺(まちでら)のお堂をセカンドハウス的にシェアする。お寺の収入源となるし、泊まる人は奈良の歴史や文化を体感でき、またインスピレーションを得ることができる。

4.バーチャル体験:奈良の伝統工芸の制作過程をVR体験
ゴーグル型の器具などを使い、バーチャル・リアリティで伝統工芸の制作プロセスを見てもらう。また現地では実際に職人さんの技も見てもらう。



5.鹿型ロボットによる観光案内:金鹿プロジェクト
もともとお寺は、時代の最先端を行っていた(建築、食など)。AIを搭載した鹿型ロボットが観光案内。拠点は奈良の社寺とする。社寺を「インキュベーションセンター」として使う。




奇抜なアイデアが出され、これは良い刺激になった。私はもともと「高野山にはあんなにたくさんの宿坊があるのに、なぜ奈良のお寺は泊めてくれないのだろう」という不満を持っていたので、「3.テラハウス」には大賛成だし、いっそ「5.金鹿プロジェクト」も、くっつけてはどうだろう。

「2.ウェルネス・ツーリズム」も面白い。以前、職場の若い女子社員たちがこぞって「ホテルでのアロマテラピー(芳香療法)体験」に出かけていた。そのためにわざわざ高いおカネを出し、休暇を取ってホテルに泊まるのだが「ストレスが解消された」と喜んでいたので、マーケットはあるだろう。社寺の多い奈良は、高い精神性が売りなので、イメージ的にもマッチする。

プレゼンテーションとディスカッションの司会・進行を担当された藤沢久美さんは最後に「良いアイデアを出して盛り上がり、そのあとは何もしない、というのではダメ」とおっしゃっていた。まさにそのとおり。「NEXT-1300 NARA」プロジェクトはこれがスタートである。今後、このような良いアイデアをどのように展開していくか、奈良市観光協会の舵取りに期待したい。

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