tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

2023年の年明け(1月3日)は、初春文楽公演(国立文楽劇場)

2023年01月04日 | 日々是雑感
「文楽や歌舞伎がお好きですね」とよく言われる。映画や能・狂言にはめったに足を運ばないのに、文楽・歌舞伎で、特に奈良の演目がかかるとつい行ってしまうのは自分でも不思議だが、よほど性に合っているということなのだろう。
※トップ写真のお坊さんは良弁とその母親。良弁の端正な顔がいい、半眼の目は玉眼だそうだ

昨日(1/3)、大阪・日本橋の国立文楽劇場(大阪市中央区日本橋1-12-10)で、「令和5年初春文楽公演」(午前11時~午後8時)を見てきた。ラインナップは、


新春恒例の「にらみ鯛」

第1部 午前11時開演 良弁僧正千二百五十年御遠忌
「良弁杉由来(ろうべんすぎのゆらい)」
志賀の里の段/桜の宮物狂いの段/東大寺の段/二月堂の段

第2部 午後2時開演
「義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)」
椎の木の段/小金吾討死の段/すしやの段



第3部 午後5時30分開演
「傾城恋飛脚(けいせいこいびきゃく)」
新口(にのくち)村の段
「壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)」
阿古屋琴責(ことぜめ)の段




第3部の「壇浦兜軍記」を除き、すべて奈良にちなんだ演目である。全部見るには午前11時~午後8時まで、間に休憩が入るというものの9時間の長丁場となる。これまで1部と2部、2部と3部というように部分的に見たことはあっても、朝から夜まで入り浸ることはなかった。少し不安だったがものは試し、すべての部に予約を入れた。


おお、ここにも橋村公英師の「卯」の字とにらみ鯛が!

第1部の「良弁杉の由来」は、東大寺・良弁僧正の1250年御遠忌にちなんだ演目だった。「桜の宮物狂いの段」「東大寺の段」では、良弁の母が30年もの間、鷲にさらわれた息子を探し続ける姿が涙を誘う。

第2部の「義経千本桜」は、歌舞伎の通し狂言で見たこともあれば、文楽でも見たことがある。歌舞伎では役者の激しいアクションが見ものだったが(とりわけ「小金吾討死の段」)、文楽では人形の細かい動きやセリフ(字幕つき)が胸に迫る。歌舞伎は映画、文楽は小説に近いのかも知れない。

第3部の「傾城恋飛脚」は近松門左衛門の「冥土の飛脚」を改作したもの。梅川と忠兵衛は心中するつもりで、忠兵衛の故郷・新口村(奈良県橿原市)に帰り、父・孫右衛門と対面する。何とも悲しい親子の別れである。


太夫(遊女)の阿古屋

おしまいの「壇浦兜軍記」(近松の「出世景清」の改作)だけ、なぜここに入っているのか、また「琴責め」とは何なのか分からなかったが、見て納得した。平景清(藤原景清)の愛人で遊女の阿古屋は、潜伏中の景清の居場所を白状するよう、拷問を受ける。その拷問の内容というのが、琴・三味線・胡弓という3つの楽器を弾いてみよ、というもので、いわばウソ発見器的に「ウソを言っていれば、演奏に乱れが生じるはずだ」というもの。

そこで阿古屋はその3つ(3曲)を弾くのだが、これが素晴らしいものだった。阿古屋を操る3人の人形遣い(3人とも顔を出していた)の演奏と、実際に床(ゆか)で演奏する弾き手の指使いが、ピタリと一致しているのである。観客は皆、弾き手と人形を見比べながら楽しみ、1曲ごとに大きな拍手が巻き起こった。これは、初春文楽の締めにふさわしい演目だった。

文楽を見ていて、たまに睡魔に襲われることがあるが、今回はそれが全くなかった。帰るとき、やや足がむくみ階段の昇降がしづらいということはあったが。各部の間の30分足らずの空き時間には休憩室(食事場所)が混み合い、急いで食べないといけないので、それがやや気ぜわしかった。

東京の国立劇場は今年10月で一旦閉館として建て替え、再オープンは2029年4月だそうだ。その間は別の劇場で催されるという。

今年4月の文楽公演(大阪・文楽劇場)の予定も決まった。東京の国立劇場では、さよなら公演として「東大寺修二会の声明」も行われる。今年の公演も楽しみだ!





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