水徒然2

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トリチウム汚染の海外情報と今までの安全性に係る投稿の整理

2013-11-08 | 環境放射能関連

’13-11-08投稿

  既報までにて、トリチウムの安全性に係るさまざまな記載を調べてきましたが、個人的にはその安全について、未だに熟知できていませんが、既報と比べて、その安全に係る解りやすい情報を調べました。引例中の「世界各国の原発からの海洋放出の実態」については、既報でも不詳な情報であり注目すべき情報と個人的には思っています。

ドンちゃん他事総論

トリチウムって、本当に安全なの?
http://donnat.cocolog-nifty.com/blog/2013/09/post-896a.html
(一部割愛しました。)

「トリチウムは三重水素と呼ばれ、大気中のトリチウムに水蒸気 (HTO)、水素 (HT) および炭化水素 (CH3T) の3つの化学形で存在している。
大気中の自然界に多くは存在しないが現存する自然物質である。

最近、よく問題にされているのは水素の同位体の1つである放射性同位体、放射性トリチウムのことである。

半減期 12.3年

非常に低いエネルギーのベータ線を放出して、ヘリウム-3(3He)となる。

大気中の窒素・酸素と宇宙線の反応で生成し、地球上の天然でつくられたトリチウムの存在量は96京ベクレル (9.6×1017Bq) と推定されている。降雨中にも濃度0.2~1ベクレル/リットルであったらしい。

つまり、原子炉のあるなしに関わらず、現存する物質と言う訳だ。

但し、核兵器爆発実験後の現在では、降雨中の濃度は1~3ベクレル/リットルと上がっている。また、原子炉発電所や再処理工場では、回収されることなく大気中、あるいは河川に放出されて続けている。

【アメリカが実施した水爆実験】

1954年3月1日にビキニ環礁でアメリカが実施した水爆実験で、2.0京ベクレル (2.0×1016Bq)以上が大気中に放出された。

頻繁におこなわれた大気圏内核実験の影響で、1960年代半ばの降雨中の濃度は100ベクレル/リットルになっていた。

昭和35~44年の子供達は、そんな放射能を大量に含んだ雨を浴びて生活していた訳になる。

   ・・・

<トリチウムの化学形別及び年齢別の線量係数>
〔HTOの線量係数は、経口と吸入摂取が同じでCs-134,137の1,000分の1のレベル、植物等の組織と結合した有機結合型トリチウム(OBT)の線量係数はHTOの約2.3倍、トリチウムガス:HTの線量係数はHTOの一万分の1で、いずれも他の核種に比べて非常に小さく人体影響は少ない(とICRPは判断している)。

広島原爆の被災者の中に、何もする気が起きなくなる原爆ぶらぶら病(げんばくぶらぶらびょう)という障害がある。

広島原爆投下時に宇品港の近くにいた岸本久三の言葉に「私もこの原因不明の病気にやられてから仕事もすっかりやめ、毎日家にごろごろしているんですが、近所の人たちから“なまけ者”と言われているような気がして」、主として、放射能威力による内臓-骨髄、肝、腎、内分泌臓器、生殖腺等―の障害に基く機能不全、乃至機能変歪によるもので、その結果として生活予備力が不足することに基づくものであろうと考えられているが、良く判っていない。

統合失調症、うつ病、無気力病など現代病と言われいる病気が、この時期の放射能と関連がないと誰が断言できるだろう。

研究すらされていないので、肯定も否定もできないのが現状なのである。

【世界各国の原発からの海洋放出の実態】

原子炉内では、リチウムのような軽い元素と中性子の反応および三体核分裂によってトリチウムが生じる。

電気出力100万kWの軽水炉を1年間運転すると、加圧水型軽水炉内には約200兆ベクレル(2×1014Bq)、沸騰水型軽水炉では約20兆ベクレル(2×1013Bq)が蓄積される。

 

<世界の原子力発電所の海洋廃棄トリチウム量>
〔英国が多く2500兆(2.5×1015)Bq/年程度、日本は400兆(4×1014)Bq/年程度〕

<日本の各原発からの海洋廃棄トリチウム量>
・加圧水型では最大が玄海の82兆(8.2×1013)Bq/年 (2010,2011年度)
・沸騰水型では最大が事故前の福島第一の1.5兆(1.5×1012)Bq/年(2010,2011年度)
全原発の合計では年間で380兆(3.8×1014)Bq/年

<再処理工場からの放出分類>
・英国セラフィールド施設からは1998~2002年の年平均値で2600兆(2.6×1015)Bq/年が海洋に放出されている。
・フランスのラ・アーグ再処理工場からの放出量の実績値(2003年)は、トリチウム水が1.2京(1.2×1016)Bq/年、トリチウムガスが67兆(1.9×1013Bq)Bq/年である。
・六ヶ所村(実績ではなし)保安規定に定められた基準値で、年間800トンの使用済核燃料を処理すると、トリチウム水が 1.8京(1.8×1016)Bq/年、トリチウムガスが1,900兆(1.9×1015Bq)Bq/年になる予定である。

放出すされるベータ線は水中で0.0mmまでしか届かない為に、ほとんど影響を心配されることはない。

問題は内部被ばくである。

体内取り込んだトリチウム水が10,000Bqであった場合、実効線量は0.00018mSvになる。

同じく、10,000Bqを含む水素ガスを吸入した時の実効線量は0.000000018mSvになる。

雨水中のトリチウム濃度を2Bq/ℓとして、この水を1年間摂取すると実効線量は約0.00004mSvになる。

これを見る限り、現在の濃度なら人体の影響は考えられない。

電気出力100万kWの核融合炉を1年間運転するには、130㎏(4,700京Bq、4.7×1019Bq)のトリチウム水が発生する。

尤も原発で生ずる1ℓ当たり36京Bqのトリチウム水を飲むようなことがあれば、確実にあの世に行けそうだ。

東京電力福島第1原発から高濃度の放射性物質を含む汚染水が海へ流出している問題で、平成23年5月から流出し続けたと仮定した場合、海へ流れ出た汚染水に含まれるトリチウム濃度が推計で最大約40兆ベクレルに上るとの試算を発表している。(2013.8.2)

東京電力の言うことを信じていないが、年間で380兆(3.8×1014)Bq/年に比べると40兆Bqが大した量でないことは判って貰える。

何度も言っているが、安全と安心は別もである。

福島第一から漏れ出した汚染水は現在の所、安全と思われる量に留まっていると推測される。

地下に漏れ出した放射能物質が地層によってある程度の濾過効果があった為だと推測されるが、データーが正しいとは断言できないので実際のところはよく判らない。

それに、これはトリチウム水に限っての話である。

日本にはトリチウム水の基準が存在しないが、

カナダ:7,000 Bq/L
米国:740 Bq/L
EU:100 Bq/L

となっている。安全に対して非常に緩い国であることは疑いようもない。

<自然起源のトリチウムによる内部被ばく量、摂取量>
〔人体中には50Bqのトリチウムが存在し、自然放射線による日本人の平均被ばく量2.1mSv/年の内訳に、かろうじて現れています。〕

さて、放射性トリチウムの濃度が上がることで、人体にどのような影響が現われるのだろうか?

地上に放射能物質が増えてゆくことで、単純な足し算では巧く説明できないことが起こると推測される。

それは遅効性の毒の為に特定するのは難しい。

世界でやっていることだから、無闇に海に流せばいいなんて言ってはいけない。

願わば、取り込んで100年ほど寝かせて置くのが安全と安心を両立できる。経済的かどうかは研究結果がでるまで保留したい。」という。

 ⇒既報14),15)でまざまな放射性元素の核反応をしらべましたが、既報1) にて、個人的には放射能に関して無知であったため、よもやトリチウムの発生が大問題となるとは。

除染装置が稼働すれば、約六十種類の放射性物質は除去されるが、放射性トリチウムは残り、海への放出はできない。2)

トリチウムの環境に及ぼす影響3)として、

ATOMICA
トリチウムの生物影響 (09-02-02-20)
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=09-02-02-20

<概要>
 将来のエネルギー源として計画が進められている核融合(炉)にかかわる環境・生物影響、とくにトリチウムの人体への影響が注目される。トリチウムはトリチウム水(HTO)の形で環境に放出され人体にはきわめて吸収されやすい。また、有機結合型トリチウム(OBT)はトリチウムとは異なった挙動をとることが知られている。動物実験で造血組織を中心に障害を生ずることが明らかにされ、ヒトが長期間摂取した重大事故も発生している。・・・

トリチウムは自然界において常に生成されている。その主な生成場所は大気である。トリチウムは、大気上層において宇宙線の陽子中性子と大気を構成している窒素や酸素との核反応により生成される。この天然起源のトリチウムは、地球全体では生成と壊変が平衡した状態にあり、その存在量は約1.0~1.3EBq(エクサベクレル)(1EBq=1018Bq)と原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)が推定している。地球環境中トリチウムの最大の発生源は、大気圏内核実験、特に1954年以降の水爆実験である。1963年の大気圏内核実験停止条約締結までに天然起源の200倍程度のトリチウムが放出されたと推定され、」という。

また、
核融合発電でも発生するという。4)、6)

現状、福島原発に保管している汚染水タンクのトリチウム量を処理するには半世紀以上ともいわれる。5)

 このトリチウムは従来の除染設備では処理できないが、コストを無視すれば、原理的には、除去できるともいう。9)

 トリチウムはニュートリノと同様、地球環境に及ぼす影響7)、11)については、個人的には不詳につき今後とも着目したい。

 既報8)の引例カレイドスコープS at.2013.06.08
汚染水の海洋放出 ガンを誘発するトリチウム汚染の恐怖
を引用してトリチウム関連について一部抽出して調べました。
http://kaleido11.blog111.fc2.com/blog-entry-2140.html
「・・・東日本の太平洋岸の漁業はこれで全滅-なぜか問題視されないトリチウムの重大性

・・・原子炉を冷却した結果、放射能に汚染された水には、トリチウムというガンを引き起こす原因となる重大な放射性物質が含まれています。」という。9)

昨今の世界各地で発生している異常気象何度も引用していますが、内部被爆のみならず、異常気象にもトリチウムは影響するという。

弁財天
トリチウムの湖水効果で降雪が起きる udpate8
http://benzaiten.dyndns.org/roller/ugya/entry/tritium_lake_effect

トリチウムは国内外で日常的に海へ流されており13)、健康への影響は少なく必要以上に恐れることはないというが、13)定量的に把握する必要があると思われます。

 既報福島第一の湾内海水の放射能急増という。世界の原発周辺海域はどの程度で規格は?10)で記載しましたように、世界の原発周辺海域はどの程度で規格の最近の情報との比較も含めて、海洋汚染の浄化に繋がるように、徹底的に世界各地の海域のトリチウムなど放射能汚染の実態の公開を期待します。

<世界の原子力発電所の海洋廃棄トリチウム量>

 

世界各地の2013年度がどのようになっているのか?

参考関連投稿:

1)環境(水)中の放射性物質の影響と浄化に係る記載(その36:汚染水処理軌道に乗らず 新たな問題発生 )2013-02-22

2)環境(水)中の放射性物質の影響と浄化に係る記載(その38:福島汚染水除去設備トリチウムを減らせず)2013-03-06 

3)トリチウム水の環境への影響に係る記載を調べました。2013-03-24

4)トリチウム、トリチウム水の発生に係る情報  ふげん排気筒でトリチウム値上昇2013-03-15 

5)福島第一原発 トリチウム汚染水の海洋放出に半世紀以上!?という。 環境水の性状異変に影響するのか?2013-03-24

6)岐阜県土岐市 トリチウムを使用する核融合発電の安全性は識者の間でも意見が割れているという。2013-05-18 

7)放射化現象に係る投稿(その7:環境放射能トリチウム、環境放射能線ニュートリノの整理)2013-05-19 

8)福島原発 海際の井戸からも高濃度放射能トリチウム、セシウムなど。 原因「説明足りぬ」と地元。 2013-07-14 

9)福島原発の地下水中のトリチウム除去は原理的には可能という!2013-08-17

10)福島第一の湾内海水の放射能急増という。世界の原発周辺海域はどの程度で規格は?2013-08-28 

11)トリチウム水の環境への影響に係る記載を調べました。(その2)2013-09-19 

12)漏洩放射能が太平洋の「海のホットスポット」をさらに拡大させるというが、トリチウム汚染の行方は?2013-09-20

13)トリチウムは国内外で日常的に海へ流されており健康への影響は少なく必要以上に恐れることはないという。2013-09-23 

 

関連投稿

14)環境(水)中の放射性物質の影響と浄化に係る記載(その33-1:放射能はどのように壊変していくのか?)2013-02-10 
15)環境(水)中の放射性物質の影響と浄化に係る記載(その33-2:放射能はどのように壊変していくのか?)2013-02-11 
 トリチウムの生成および半減に係るさまざまな反応について、個人的には不詳につき別途、調査要。
16)メタンの地球環境に及ぼす影響に係る情報の整理2013-07-04 
 メタンの大気中への増加は周知ですが、
 トリチウムは三重水素と呼ばれ、大気中のトリチウムに水蒸気 (HTO)、水素 (HT) および炭化水素 (CH3T) の3つの化学形で存在しているという。
 大気中の自然界に多くは存在しないが現存する自然物質である。、有機結合型トリチウム(OBT)のメタンCH4のトリチウム(T)との化合物CH3Tの地球環境への影響???