'13-02-10投稿
既報(その33-1)に引き続いて、ウラン、セシウム、ストロンチウム、プルトニウムなどの環境放射能がどのような元素に壊変して、どのような放射能を放出しているか?などのシステム的な思考が浮かばない個人的な問題を解消するために、環境中の自然放射能および人工放射能の壊変現象について整理しています。
既報にて、google画像検索から引用して、放射性元素のウラン、ラドン、セシウム、ストロンチウム、プルトニウムの壊変図を調べましたが、今回はそれらの補足追加とその他の放射性元素の壊変図に係る記載を個人的なメモとして調べました。
参考:元素周期律表(クリック拡大)
(google画像検索から引用)
ポストさんてんいちいち日記[ 2011/06/09 (木) ]最新追記は2013/1/21
【改定】核分裂、放射線、ベクレル(Bq)とシーベルト(Sv)、人体への影響
本文を詳しく読む
(一部割愛・抽出しました。)
「
1.放射線
・・・
2.原子炉の中で
(1) ウランU-235(燃料棒の3~5%)の核分裂
・・・
(2) 核分裂しないウランU-238
核分裂しないウランU-238(燃料棒の95~97%)の一部は、中性子を吸収してプルトニウムPu-239になる。使用済み燃料中には、約1%のPu-239が含まれる。
(1) 線量の測定難度 【簡単な順に】
γ線 | 固有のエネルギー(線スペクトル)により、核種も判定できる。 |
β線 | 複数の波長が連続して出てくるスペクトル(連続スペクトル)なので、それでは放射性核種を特定できない。 試料からその物質だけを分離精製した後、測定する。 分離精製操作などが必要であり、分析結果が得られるまで数週間を要する。 ●ストロンチウム90の測定方法 |
α線 | 分離して試料からプルトニムだけを抽出し濃縮後、アルファ線スペクトロメータ (シリコン半導体検出器)で測定●プルトニウム、ポロニウムの測定方法 |
●放射線線量計(測定器)、あれこれ(種類・検出下限値・測定(計測)時間など)
【個人的メモ】●「kikulog」2012/10/23 γ線だけ測っても預託実効線量は出せるということ
・・・
【図の見方】
セシウムCs137はβ線とγ線を出しながら、半減期30年で安定なバリウムBa137に崩壊する。
セシウムCs137の放射能(ベクレル値)はバリウムBa137mから出るγ線(0.6617MeV)を計測することで測られる。
原子番号と質量数が同じ核種がある場合、エネルギー準位が高い核種について、準安定状態(metastable:メタステーブル)であることを示す「m」を質量数の後に付けて区別する。
(参考エントリー)●セシウムCsの一般的な物性
「・・・[ 2011/12/31 (土) ]
一般的データとしてのメモ。出典はウィキペディア
融点は28.4 ℃で、常温付近で液体である五つの元素のうちの一つである。水銀はセシウムより融点が低い唯一の金属である。
加えて、金属としてはかなり低い沸点671 ℃(2011年10月の食品安全委員会資料によれば705 ℃*)を持ち、これは水銀を除けば全ての金属の中で最も低い値である。
*一般に沸点を正確に測るのは難しく、資料によって違いがあるようだ。
比重は1.9であり、比重の軽いアルカリ金属類の中では最も大きい。
金属セシウムは非常に反応性に富み、自然発火しやすい。また、低温でも水と爆発的に反応し、他のアルカリ金属よりも反応性が高い。氷とは−116 ℃でも反応する。
セシウムの化学的性質は他のアルカリ金属、特に周期表で直上にあるルビジウムと似ており、全ての金属陽イオンがそうであるように、セシウムイオンは溶液中でルイス塩基と反応して錯体を形成する。
セシウムの酢酸塩、炭酸塩、酸化物、硝酸塩、硫酸塩は水に可溶である。複塩の多くはあまり水に溶けないので、硫酸アルミニウムセシウムは鉱石からセシウムを精製するのに利用される。アンチモン、ビスマス、カドミウム、銅、鉄、鉛との複塩(たとえば CsSbCl4)も難溶性である。
塩化セシウムCsClとしては、融点は645 ℃、沸点は1295 ℃である。
酸化セシウムCs2Oとしては、融点は490 ℃(窒素中)、沸点は分解するのでない。
水酸化セシウムCsOHとしては、融点は272.3 ℃、沸点は990 ℃である。・・・」
(3) ヨウ素 I 131の放射性崩壊図、半減期
(参考エントリー)●ヨウ素 I の一般的な物性
「・・・[ 2011/12/31 (土) ]
一般的データとしてのメモ。出典はウィキペディア
ハロゲン元素の一つ。ヨード (沃度) ともいう。
融点は113.6 ℃であるが、昇華性がある。反応性は塩素、臭素より小さい。水にはあまり溶けないが、ヨウ化カリウム水溶液にはよく溶ける。
沸点は184.3 ℃(2011年10月の食品安全委員会資料によれば185.2 ℃*)である。
*一般に沸点を正確に測るのは難しく、資料によって違いがあるようだ。
比重は4.9(固体:25℃)、4.0(液体:120℃)である。
体内で甲状腺ホルモンを合成するのに必要なため、ヨウ素は人にとって必須元素である。
人体に摂取、吸収されると、ヨウ素は血液中から甲状腺に集まり蓄積される。
日本では食生活の中で海藻などから自然にヨウ素の摂取が行われるが、大陸の中央部ではヨウ素を摂取する機会がほとんどないので、ヨード欠乏症による甲状腺異常が多く発生した。
アメリカではFDAの規定により食塩の中に一定量のヨウ化ナトリウムが混入させてある。
また、モンゴルでは日本からの援助で国民にヨウ素剤を服用させた結果、甲状腺異常の患者を激減させた。
アメリカのほかにスイス、カナダ、中国などでは食塩にヨウ素の添加を義務付けている。
また、日本ではヨウ素を含有することをうたった鶏卵が売られている。逆にヨウ素制限食を必要とする際には、昆布などの摂取を控えなくてはならない。 ・・・」
4) ストロンチウム Sr 90 の放射性崩壊図、半減期(既報にも引用)
(6) テルル Te129m の放射性崩壊図、半減期
(ヨウ素I129のβ崩壊で出るβ線のエネルギーは低いため、GMサーベイメータでの計測は不向き。)
(ヨウ素I129の崩壊では、低エネルギーγ線もでる。崩壊直後の新しい核種は通常、励起状態にあることが多く、ベータ崩壊にはガンマ崩壊が伴っていることが多い。)
(関連エントリー)
●放射線量等分布マップ(テルル129m、銀110mの土壌濃度マップ)100キロ圏内
上記の他にも、次ぎの様々な物質がある。
Cs134 はウランの核分裂では出てこない。(だから、たとえば原爆から出てきた放射性物質にはCs137 は含まれているが Cs134 は含まれていない。)
Cs134 の発生は次のとおり。核分裂生成物のキセノンXe133 がベータ崩壊して安定な Cs133 になる。この Cs133 が炉内で中性子を捕獲して Cs134 になる。だから、Cs134 の量は、原子炉がどれくらいの期間運転していたか、あるいは核燃料がどれくらいの期間使用されていたかを反映する 。
Cs134 とCs137の放射能強度比、つまり
r =(ベクレルで測った Cs134 の量)÷(ベクレルで測った Cs137 の量)
は土壌の調査でも、海水の調査でも、ほぼ 1 という結果が出ている。
両者の量がベクレルで測ってほぼ等しいからといって、両者が「同じだけある」というわけではない。崩壊率は 15 倍(半減期が2年と30年)違うから、通常の物質量(モル数や質量)で測れば Cs137 が Cs134 の約 15 倍あるということになる。
Ag110m は安定なAg109が中性子を捕獲することで作られる放射性核種である。Ag109について検索すると、次ぎの2つの説明がある。
①Ag109は核分裂生成物であるので運転時間が長い燃料棒中に存在する。
②制御棒にAg-In-Cd(銀‐インジウム‐カドミウム)の合金が使用されており、Ag109はその中に多量に含まれる。
・・・(中略)
この部分は、追記して下記の単独のエントリーに纏め直しました。
●自然放射線による被ばく、ポロニウムPo-210 、カリウムK-40、ラドンRn-222
カリウム K40、ラドンRn222、ポロニウム Po-210、鉛 Pb-210の崩壊図のみ、転記しておきます。
●(資料1)ブログ team nakagawa
●(資料2)田崎晴明教授(学習院大学理学部)の『放射線と原子力発電所事故についてのできるだけ短くてわかりやすくて正確な解説』 (良いサイトですのでお勧めします。私の説明は簡潔すぎるので、判らない事や書いていない事はこちらのサイトで。)
田崎先生のサイトが本になりました。しかも無料です。 ●やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識 普通ではない15ヶ月間を過ごしてきたすべての人へ --- 敬意と感謝と言葉にできない思いをこめて |
別エントリーに纏めてあります。●煽り系情報、デマに対する的確な反論例.
●福島とチェルノブイリの大気放出量の比較、被ばく量の現状ほか [2012/07/01].
●文科省のセシウム汚染マップ、地形図、東日本全体図 [2011/11/25]
●【かなり改善 お勧め】放射線量等分布マップ拡大サイト [2011/10/22]
●航空機モニタリング結果(汚染マップ)でのチェルノブイリ汚染区域(ゾーン)との比較
・・・ 」 」
⇒今回のテーマ以外の貴重な参考資料も沢山ありメモしました。
Cs(セシウム)、I(ヨウ素)、Sr(ストロンチウム)に係る既報の見直し修正・追加については、別途。