テスラ研究家・新戸雅章の静かなる熱狂の日々

エジソンも好きなテスラ研究家がいろいろ勝手に語っています。

地球外知的生命探査のパイオニア、テスラ

2010-12-05 12:37:31 | Weblog
 12月2日、NASAは、カリフォルニア州の湖で「リンの代わりにヒ素を用いて生命活動を維持する細菌」を発見したと発表した。
 これまでリンは炭素、水素、窒素、酸素、硫黄とともに、生命に不可欠な6元素のひとつだと考えられてきた。ところがこの細菌は、リンがない環境では、同族元素のヒ素で置き換えて生息できることがわかったのである。
 生命の誕生や進化の謎を探る重要な発見で、これにより地球外生命の探査にも影響が出るだろうと見られている。
 従来の探査は6元素を前提に進められてきた。だが、異質の生命が地球上に存在するとすれば、宇宙における探査も幅広いアンテナを広げるか、逆に絞り込みが必要になるからだ。

 このニュースを読みながら、テスラの洞察力にあらためて思いをいたした。テスラは100年以上前の論文で、異質な地球外生命の可能性についてこのように述べている。

 ……結晶のほかにも、状況に応じてガス状の構造か、より希薄な物質からなる生体組織が存在するかもしれない。この可能性――いや、蓋然性から必然的に導かれる結論はこうである。惑星の条件が既知の生命の生存に適さないからといって、有機体の存在を否定しえないし、その生命の一部が地球上に存在しないとも断言できない。なぜなら、わたしたちはその構造や生命の発現を認知できない可能性があるからである。(『人類エネルギーの問題』1900年)

 NASAのチームは、今回、このテスラのいう「宇宙か地球上に存在する異質の生命体」を発見したことになる。
 当時、スキャパレリの火星の運河(1877年)、ウェルズの『宇宙戦争』(1898年)、望遠鏡の発達などにより、一種の惑星(火星)ブームがあったこと。テスラもその影響を受けていたことを考慮しても、そこからこうした創見を導き出す洞察力と先見性にはやはり驚かされる。

 テスラは同じ頃、電波による地球外生物との交信可能性を論じ、惑星(火星)からのメッセージとおぼしき電波を受信したと発表した。今日ではこの電波は人工的なものではなく、電波星由来のものだったとみなされているが、テスラが異質の宇宙生命について論じ、電波による地球外生命との交信に最初に言及した地球外知的生命探査(SETI)のパイオニアであるという栄誉は失われないだろう。



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