FX寺子屋 by 葛勝老師

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今週のドル・円相場 若干の円安は日本経済の失速の表れか?

2011-11-26 18:48:59 | 日記
<今週のドル・円相場の流れから>
今週のドル・円相場は、他通貨市場で強まったドル全面高の動きに感化される形で週末には77円70銭台まで上昇する展開となりました。 この結果、週足は3週間ぶりに陽線となり、今月に入ってジワジワと進んでいた介入効果浸食の動きにはひとまずブレーキがかかりました。

今週は週を通じて断続的なドル買いが進み、ドル全面高の色彩が強い1週間でした。 欧州債務懸念を背景としたユーロ売りの動きが対欧州通貨でのドル買いを促したほか、欧州発のリスク・オフの巻き添えを食った資源国通貨や新興国通貨も売りの対象となり、結果的にストレートドル市場全般にドルを買う動きが広がりました。

欧州を震源地とするリスク許容度委縮ムードはクロス円での円高をもたらしましたが、今週に限って言えば、ストレートドル市場で進むドル高の影響の方がより強く表れる形でドル・円でもドル買いが優勢となり、週足は3週間ぶりに陽線となりました。 

この結果、10月31日の介入実施後ジリジリ進んできた介入効果侵食の動きにはひとまずブレーキがかかりましたが、今週は本邦通貨当局による覆面介入観測は囁かれておらず、安住財務相等の政府要人による口先介入もなかったので、介入警戒感が円高ストッパーになっていた雰囲気ではありませんでした。

ただ、ドルが自力で値上がりしたのかと言えば、そんな感じではなく、ユーロ圏債務懸念の拡がりという敵失による消去法的なドル買いの余波がドル・円にも及んだ感じの1週間でした。 週を通じて、ドル・円はユーロ・ドルに表れるドルの地合いとユーロ・円に表れる円の地合いを時間帯によって都合良くつまみ食いしながら値動きを作り込んでいるような雰囲気が濃厚で、相変わらず他通貨市場睨みで主体性を欠いた売買の対象になっています。 今週に関して言えば、ストレートドル市場であまりにも鮮明なドル全面高が進んだため、ドル・円もそちらに付き合うことにしたようです。

<中国の話題から>
国務院発展研究センターは、2012年の経済成長率が8.5%程度にとどまるとの見通しを明らかにしました。 成長スピードよりも、成長の質、収益、協調性、持続性などを重視し、経済モデルの転換を進めるという。

2012年も引き続きインフレ圧力が高まるが、上昇幅は4~5%程度になるとの見方を示し、経済成長をけん引する投資と輸出の成長率が伸び悩んでおり、特に投資は20%程度の成長になるとした。 一方で消費は増加し、今年を上回る成長が見込めるという。 引き続きマクロ政策が継続されるが、柔軟な調整を行う可能性があり、財政政策と通貨政策が協調して減税や利上げを行うことも示唆した。 このほか消費拡大政策の実施、投資バランスの調整、輸出政策の見直し、中小企業の融資環境の改善、エネルギー供給や価格体系の改革も検討されているという。

2011年度の経済成長率・最終見通しは9~9.1%に下方修正(年初の見通し9.8%)され、来期が8.5%となると数値的にもかなり厳しさを増して来たように思われます。 中国の場合、8%の経済成長が達成出来なければマイナス成長となり、現状の水準ではギリギリの攻防と言ったところでしょうか。 不動産価格の大幅下落、輸出の成長率の伸び悩み、ユーロ債務問題等々、中国も来期は非常に厳しい舵取りを余儀なくされるでしょう。 銀行預金準備金の引き下げが行われる可能性が高くなりつつあります。 予測では旧正月明けの2月上旬でしょうか。