「お天さま」は、雲仙市国見町土黒にあり、戦の神様を祀っている神社だ。
八十を越えた父の話では、戦前、召集令状が来たら出兵兵士の武運長久を祈願しに、町内の者がこぞってお参りに行ったとのことである。
父の昔話につき合っていたのだが、そのお天さままで、「町内の一行が歩いて行った」ということを聞いたとたん、頭の中で何かがスパークした。自分の中の平和ぼけが一度に吹き飛んだのだ。
片道15㎞の山道を、町内の人たちが歩いてお参りに行った…
確かに歩くしか交通手段がなかった時代
出兵していく町内の若者に対して、その家族に対して
神様に祈ることしかしてやれなかった時代
表だっては「武運長久」としか言えなかった時代
心の中では「無事に帰ってこいよ」と神様にすがったのであろう
召集令状が来る度にお天さまにお参りに行き、戻ってきたらおこじろさまの境内で宴を開いて戦に送り出したという。
この話を聞いてから、ぜひともお天さまに行ってみたいと思い続けていた。
「お天さま」は「烏兎神社」ということをネットで調べて知っていたので、その機会は不意に訪れた。
国道389号線を下っていたら「烏兎の杜」の看板を発見
国道389から脇道に入って道なりに約3㎞ 「烏兎の館」に到着
車を止めて、歩いてすぐの所の鳥居
この鳥居には「烏兎神社」と
さらに進んでいくとまたも鳥居が
この鳥居には「摩利支天」と
「摩利支天」は武士階級の守護神として信仰された神である。
この鳥居を過ぎると急に視界が開け、巨大な杉が目に飛び込んでくる。
ここの杉はあまりにも大きスギて、広角レンズがないととても収まらない。
社の後ろにさらに石段が続くので登ってみると
石彫りの大きなお不動様
その横には馬に乗ったお侍さまか
杉についての説明板があった
今は、ここが紅葉の名所となるよう植樹を進めているという。
(「烏兎の館」にある説明書き)
確かに境内には若いモミジの樹が多数目についた。
かって武運の神として信仰を集めたお天さまを紅葉の名所にしよう。
それは、戦の無事を祈らなければならない日が、二度と来ませんようにとの願いでもある。
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