所有権

2012-07-04 | 貿易業務
海外での委託加工の「原材料」はいったい誰のものなのでしょうか。

加工工場はあくまで加工のために原料を預かっている立場。ですが、たとえば当該加工場が倒産し、倉の中に入っている原料が差し押さえられたら、所有権をどのように主張したらいいのでしょうか?
日本国内ならまだしも、海外でこんな問題に直面したらそれこそ大変です。

私も会社勤めのときは、何千万、否 場合によっては億を超える商品を、海外へ送りこんでおりました。
当然工場とは、「契約書」を結び、当該貨物の所有権は「日本」にあることを明示させ、書面で出させておりました。
しかし、実際に工場になにか起こったとき、海外の会社がはたしてなにか主張できるのでしょうか。現地で裁判になったとき、当該差し押さえ貨物は自分のものだと主張して回収できる可能性はあるのでしょうか・・?

大手の商社さんならきっとこういったリスクのヘッジもされているでしょう。或いは、海外工場に全部買わせて、所有権を移転してしまえば問題ないでしょう。もっとも、それだけ資金に余裕のある工場がどれだけ存在するか・・・。
原料を相手に買ってもらうと、それはそれでまた色々な問題が発生します。

* すでに所有権は移っているのですから、相手がどこかに転売、或いは、他社向けに製品を作る可能性もある
* 万が一原料の品質が悪く、製品の歩留まりが悪かった場合の責任の所在はどうなるのか・・
* 加工賃売上が主だった会社が原料を買い、製品を輸出すると、途端に売り上げが上がって会社が「大きく」なる (租税の問題)
などなど・・・ 問題を挙げればきりがありません。

そんな中でどの会社も「どこか」で、リスクをとっていかなければ仕事は進みません。
海外工場の了解もとれていないのに原料を送り込んでしまう会社もあれば、その逆でその条件じゃどこも請け負ってくれないよな・・と思うくらいガチガチの会社もあります。

どちらがどう、とは言えませんが、やはりスピード感が無いと、仕事にならないのは事実です。




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