情報操作

2011-09-30 | ビジネス業界
どんな業界でもどんなことでもそうですが、マイナスの情報はなかなか耳に入らず、自分にとって都合のいい話しほど頭に残ったりするものです。

昔は海外の相場なんてものは買い付けに行ってる人間だけの貴重な「情報」でした。それが今では現場の買い付け価格が、「業界紙」なんかで報道されたりします。
で、この価格が相当精度が高いので、買い付けに行ったほうは、結局コストをすべて開示しているようなそんな状態になってしまいます。
もっともその中でも上手く買い付けしていく方法はあるのでしょうが、以前ほど旨味のある商売はできなくなってきました。

さて、価格や漁獲は事実ですが、その相場が上がるか下がるか、これは分析になりますので、「事実」というわけではなくなってきます。事実に対する「評価」と言ったほうがいいでしょうか?
今旬の話しとしては、秋刀魚に鮭、ノルウェーサバなんかがありますが、業界紙この「評価」が実体とはずいぶん違うのではないかな、という気がします。
どちらかというと、日本の「ユーザーの希望」が書かれています。昔はこの「希望」を記事として流すことで、市場を誘導していたこともありました。
しかし、最近の商売、特に「輸入品」については、日本の動向とは全くことなる次元で取引が進んでいます。
こういった業界紙の「誘導」が結果として「嘘」になり、日本の市場が世界から離れているのではないかな、と、少し心配になってきました。

豊漁?

2011-09-29 | ビジネス業界
秋刀魚の記録的な水揚げが続いている、という報道があります。
今朝のNHKでも、そんな感じの報道がされていました。。
しかし、よくよく聞くと、「道東で」と、地域限定の話しです。

このあたりの話しは十分予想していたことですね。
秋刀魚→陸上凍結 なわけで、三陸の陸上凍結設備が震災で流された今年、凍結設備のある地域に水揚げが集中することは非常にあたりまえな話しなわけです。

北海道の加工屋さんの集計では、9月29日現在、秋刀魚の昨年対比水揚げ数量は111%程度。 昨年対比では多いですが、昨年は不漁でしたので、決して多い水準ではないわけです。
今の数量であれば、三陸が稼働していれば水揚げが分散されるところだそうで、今年はやはり陸上設備が足りないことで、色々なしわ寄せが起きています。
操業日数が計画的に制限され(=処理できない数量を港に持ち込んでも仕方ないですから)始めました。
生流通には限度があります。それを凍結することによって、周年秋刀魚の供給ができるわけです。加工屋さんも、時期がくれば冷凍原料が必要となります。
現在、道東での水揚げはクローズアップされていますが、冷凍在庫はあまり溜まっていないようです。

こんな状態ですから、海外商品は全く日の目をみません。暫くは様子見です。

優遇

2011-09-28 | ビジネス一般
復興増税の話しが具体化しています。

税金=徴収される話。税金は取りやすいところからとる、というのが常識だそうで、そういう意味でサラリーマンの「源泉徴収制度」は租税徴収システムとしては世界でも最高レベルだといいます。
反面、徴収されている方はそんな意識は全くありません。「給与の手取り額」なんて言葉がありますが、「いくら納税している」なんて会話はまず聞かれません。
その税金の使い道、一番まじめに納税しているサラリーマンが一番縁遠かったりするもので
す。

昨日の商談、お取引先の地方の某水産物加工会社さんが、現在農業法人作りのために奔走しています。
震災で農家がやられ、特定の十数種の野菜について、東北ブロック向けの供給が困難になっているとのこと。さらには農家の方々も畑が被災し、仕事ができない状態とか。。
そういったいわゆる「技術力」のある被災農家の方々を集め、東北で不足している野菜の生産を中心にした会社を始めるそうです。すでにテストを行って、ずいぶんいい結果が出ているとか。(経営的に)
その会社の経営者曰く、農業始めてみて、いかに補助金やら何ならで農業が手厚く保護されているのかがわかった・・・とのこと。詳しい仕組みはわかりませんが、購入する資材の半額はすべて補助がでているそうです。(とすると、そういった資材を売るほうも高く売れる・・?) その他、農業に対する補助は、他業界経験者からすると、考えられないレベルだとか。。

帰りの電車で読んだ税金についての本。
宗教法人の脱税の話は有名ですが、開業医が「日本医師会」という非常に協力な団体のおかげで恐ろしいほどの税制優遇を受けている話しなども、解かりやすく書かれており、本当に納税するのがバカらしくなってきました。
納税は国民の義務、そこに色々な特権が存在し、結局文句を言わないサラリーマン(給与所得者」が、源泉徴収という形で、異常なまでに税金を納めさせられているわけです。

私も社会に出て二十数年、自分で会社を始めるまでは、税金なんてものは考えたことがありませんでした。引かれてあたりまえ。。
しかし、世の中その税金を納めない上、堂々その税金の恩恵を受けている業種が山ほどあるわけです。今自ら申告したり、或いは自ら制度融資などを申し込む立場になって、いかに課税制度が不公平か、日々感じています。

非常に荒っぽい言い方をすれば、税金をしっかり収め、国からの恩恵をあまり受けられない都会の一票が、地方の税制優遇を受けている地域のの一票の半分以下の価値しかないわけです。 そういった一票の価値が「重い」人口の少ない地域の代表が、その重みを生かして国政に進出し、国全体の租税制度などを決めていくのですから、物を言わない(=投票行動を起こさない)、しっかりと税金を収める(=源泉徴収制度=給与所得者)都会の人間からさらに税金を徴収し、自分の地域にばら撒く(補助金)構図が益々強くなっていくわけです。

朝から書いていて憂鬱になりました。。





海外取引

2011-09-27 | ビジネス一般
連日、「円高による海外進出」の話しが報道されています。
生産拠点の海外への移転、海外市場開拓・・など、たぶん暫く流行る流れでしょう・・

こういう時代になると、JETROはじめ、自治体主導の海外進出ミッションなども盛んに行われます。自治体主催の展示会なども海外で開催されたりするようです。
一言に「海外に進出」といっても雲を掴むような話しですから、特に国内事業中心の業者さんが海外に進出される際は、「はじめの一歩」がなかなか難しいのではないかな、と思っています。

私が中心に商売しているのは、ベトナム、韓国、台湾。 その関係で、私には全く縁のない商材についての問い合わせもよく舞い込んできます。いくらその国と水産の商売を長年やってきたとはいえ、発電所やら株式市場の話しを聞かれても応えられません。。でも、逆に考えたら私たちは似たようなことをしているのかもしれません。

たとえば寿司商材の中国市場展開について考えている会社が、「近所の留学生に聞いた寿司事情」を元に事業を考えていることはないでしょうか?
その留学生は寿司なんて食べたことがないかもしれません。場合によっては、その留学生を入社させ、中国市場向けの「主戦力」に据えたりしているかもしれません。
逆を考えたら恐ろしいですね。
日本から海外へ語学留学に行った日本人学生・・たまたま近所のレストランで和牛について聞かれ、結局その会社の「対日貿易責任者」として雇われる・・ あり得ない展開なのですが、日本の会社の場合、こういったケースがよくあります。
言葉がわからないから、そういった人間の言うことがすべてとなります。自分で調べてもいないのに、ただその国の出身だ、という人間の言うことを100%信用して事業を構築する・・・ 恐ろしい話しです。

よく、「ベトナムの工場ってどういう感じ?」と聞かれますが、取引をしている工場すべてが全く異なります。 
ですが日本の業者さんが海外に出て行く際、あまりにも「限定的」な「誤った」固定観念をベースに進めていくことが多いのが気になります。

海外進出が流行っていますので、こういったトラブルが多発しないことを祈ります。。

お見合い

2011-09-21 | ビジネス業界
お見合いといっても、結婚の話しではありませんのであしからず。。

台湾船漁獲の秋刀魚についての問い合わせが増えています。ただし、問い合わせばかり、というのが現状です。
台湾からの秋刀魚は、「輸入枠」が必要なため、枠を持っていない会社は動けません。
三陸がこんな状態ですから、やはり加工業者さんは輸入品が気になるわけです。

さて台湾。
ロシアとの共同事業やらロシア向けの輸出やら、日本が凹んだ分、ロシアからの引き合いが続いています。
もちろん定番の客先、韓国向けも始まり、台湾国内の相場も秋刀魚漁全体の趨勢が見えてくると、じわじわと強くなってきた感じが致します。

日本が各社けん制したり、枠のことを考えてお見合いしているうちに、どんどん海外が動いているのが実情、政府が追加枠を発給するとすれば日本の秋刀魚漁が落ち着いた頃ですから、きっと12月やら1月やらになるのでしょうか・・? 海外は一息ついてる頃かもしれません。  「いつまでもあると思うな海外在庫」・・・


円高メリット

2011-09-14 | ビジネス業界
今朝の日経新聞に、水産に関連する記事が二つ。
一つはマルハニチロさんの業績が好調ということ、そしてもう一つが、水産物の高騰についてです。

これだけ円高が続いているのに、輸入水産物は一向に安くなりません。かえって上がっているくらい。。
国際市場の単純な需給の問題・・・ これは日本だけの問題ではありません。円高の日本ですらこういう状況なのですから、為替で通貨安の各国はさらに高い商品を買っていることになります。それでも旺盛な買い気。水産物の美味しさ+身体にいい、という点は世界中で認知されているわけです。

で、新聞には出ていませんでしたが、買付コストの増加も少なからず影響を与えている、と思っています。
私がざっと思いつくだけでも、
※ サイズ抜き取りの限定買付によるコスト増
※ 現地での検品の強化
※ 証明書類や貨物表示の増加、その煩雑業務にかかるコスト+ミス対応
※ 輸入時の経費のコスト増
※ 買付にあたっての決断力の低下(これは具体的などのコスト、とは言えませんが、さまざまな余計な仕事を増やす原因となっています)
などなど....


かれこれ10年以上取引をしている某水産原料ブローカーさんが、「もう原料を右から左に繋ぐ商売では食べていけませんよ。ロシアや中国なんて約束守るわけがないし、スピードが遅いとあっと言う間に取られてしまいますしね。お金払ってても他へ売られてしまう時代ですから・・」と。。

このブログでも繰り返し話していますが、日本の常識、世界の非常識です。物が無いときに、日本のリズムで仕事を組み立てていたら、あっという間に商品は無くなります。
私のように自分で「資金」をもっていない会社はなおさら商売が難しくなってきました。

だからこそ頭を使わないと、生き残れないな・・と日々頭を捻っています。。

ベトナムフェスティバル 2011

2011-09-12 | 日常雑談
ベトナムと日本の交流を目的とした、ベトナムフェスティバルが、今週末代々木公園で開催されます。
行きたい行きたい、と思っていたのですが、毎年出張に重なってしまい、私も行ったことがありません。
今年は丁度日本におりますので、ちょっと覗いてみようかな、と思っています。。
屋台等の出店も多数あり、面白そうですよ・・♪ 

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ベトナムフェスティバル2011の概要

日時:2011年9月17日(土)・9月18日(日)、両日とも10時~20時 ※雨天決行
会場:東京・代々木公園イベント広場
アクセス:東京都渋谷区代々木神園町神南二丁目
* 小田急線・代々木八幡駅から徒歩約10分
* 千代田線・代々木公園駅から徒歩約7分
* JR山の手線・原宿駅から徒歩約10分
* JR山の手線・渋谷駅から徒歩約15分
入場料:無料
主催:ベトナムフェスティバル2011実行委員会、 駐日ベトナム社会主義共和国大使館、駐日ベトナム社会主義共和国大使館特命全権大使
日本側実行委員長:松田岩夫参議院議員
ベトナム側実行委員長:グエン・フー・ビン駐日ベトナム大使
後援:【日本側】 外務省、国土交通省、経済産業省、文部科学省、東京都
【ベトナム側】 外務省、文化・スポーツ・観光省
お問合せ: Tel/T03-6380-5726
      Fax/03-5369-8671

詳細は、公式サイトベトナムフェスティバル2011 / Vietnam Festival 2011」にて

関税

2011-09-09 | 海外出張
普通に生活していると全く実感することはない関税ですが、海外と取引をしていると、輸入する際にも、そして相手国がどれだけ日本の商品に関税をかけているかも、非常に気になるものです。

海外では結構高めの関税が設定されています。ものの本によれば、途上国になればなるほど、輸入関税が税収に占める割合が高くなる傾向があるとのこと。我々が魚の商売をしている国でも20%以上の関税をかけているケースも良く聞きます。

さてお隣韓国。水産物は物価統制品だそうで、関税によるコントロールの他、政府が強制的に買い上げ、それを安く市場に卸したりしながら、物価のコントロールを行ってるそうです。
魚の基本税率は10%、それに、魚種によって、+10%~の割増税率が設定されているそうです。
また、相場が急騰しそうなときには、関税免除措置や、急遽政府が問屋を補填し、安く販売させたり、ということが頻繁に起こるそうです。
関税を正規に支払い販売しようとしていたら、突然免除措置の貨物が入りだす。。なんてことが起こるそうです。業者にとってはたまったもんじゃありません。

韓国のトレーダーにそりゃ不公平だよね、と話したところ、当たり外れはどの会社にも起こりえるから仕方ない、日本の「実績に応じた輸入枠制度」のほうがよっぽど不公平じゃないか、とのこと。。なるほど、そうかもしれません。。

釜山市場

2011-09-05 | 海外出張
韓国でサバの水揚げが始まっています。まき網の貨物、今朝も1000t以上水揚げされました。
一言で1000tといっても実感が沸きませんが、現場にでると、その混乱ぶりが伝わってきます。セリの順番やセリ場のどこに下ろされるかによっても価格が大きく変わってくるようです。
今日も市場埠頭の突端あたりに並んだ魚は、トラックが出入りできない(=人と車が大量に市場に入っており、突端でセリ落とした魚を積み出そうにも動けない)という事情から、安く取引されていました。



水揚げされたサバは、このようにおばちゃんたちに「目」で選別され、木箱に入れられ、市場に並びます。
サイズにばらつきがあるのはどうしようもないですね。しかも今日のように魚の多いときには、不慣れな人、さらには仕事をとっとと終わらせたいので、仕事も雑になります。

現在、漁場は済洲島の西側。 600g以上は1割以下。あとは150-250gぐらいの魚がほとんど、といった感じです。いわゆる日本で好まれる加工用サイズ=中間サイズがほとんどありません

大型は大体キロ500円以上でセリ落とされ、直ぐスチロール箱に詰められ韓国市場に積み出されていきます。



小型はインドネシアなどの東南アジア向けの食用・缶詰原料・さらには、養殖魚の餌とされるようです。

スピード

2011-09-04 | 海外出張
釜山に入りました。近いもので、フライト時間は一時間半くらいでついてしまいます。
釜山の空港からホテルもあっという間。一番時間がかかるのは、自宅から成田までだったりするわけです。

会社勤めのころは、釜山へは一泊二日でよく来ておりました。この距離ですから十分できちゃうわけですね。大阪や九州の方々は、日帰り釜山なんてのも結構やってる方がいらっしゃいました。
最近は最低二泊で出張に来ます。せっかく来るのだからなるべく多くの案件をこなしたい、ということもそうですが、なんといっても料金。一泊で帰るのと、二泊するのでは、航空券代が4万円以上変わります。これはでかい。ホテル代が一泊分増えますが、それでも4000円程度。日曜に入り、月曜朝から始動するのが最近のパターンです。

さて、釜山に眠っていた日本のサバ。先日ツイッターでも書きましたが、どんどん売れている様子です。韓国国内消費用ですね。
元々サバが無い、ということで、韓国政府が関税を一時的に撤廃したのが今年のはじめ。原発騒ぎまではすごい勢いでサバが韓国に入ってきていました。
それが放射能騒ぎ(=完全な風評ですね。なにせ震災前に釜山に入っていたわけですから)で全く売れない、と、大騒ぎしていたのが、つい2ヶ月前くらいまで。
そのサバを買い叩こうとしていたのが、これまた日本の業者だったわけで、なんとも心の痛い展開となっていました。

ところが、韓国もドメスの魚が無く、かの日本産サバも例外なく売れ出しました。もちろん放射能の心配など最初からないわけで、売れ出したらあっという間。価格もどんどん上昇し、ついこの間まで「大損する」と騒いでいた業者さんたちも、非常に強気になってます。
元々日本の11-1月あたりのサバ。品質が悪いわけがなく、一旦売れ足がつくと、早いものです。先週交渉していたサバも、あっという間に約束を「反故」にされてしまいました。韓国でこういう目に遭うのはもう慣れてきましたね。お客様には迷惑をかけてしまいますが、韓国では、「ファーム」なんて感覚はありません、残念ですが。。(韓国貨物、ロシア貨物とも、釜山在庫では、特に引き合いの強いときに起こります) 私の力不足かもしれませんが、大きな会社でもそんなトラブルは年中起こっており、これもリスクとしてお客様に事前にお話ししておくしかないと感じています。

良い言い方をすれば、ビジネスの流れがとても早いのが海外。逆に仕事のペースが一番遅いのが日本かもしれませんね。しかも昔に比べてかなりペースが遅い気がしてなりません。
いつも書いていますが、日本の常識・世界の非常識 ということを、こんなところでも感じています。