マグロ船 6

2012-11-20 | 過去の仕事(マグロ船)
久しぶりに。。。

マグロの頭を見る機会も、以前に比較したらずいぶん増えたかもしれません。
かぶと焼だの、解体ショーだの増えましたので。。

業界の関係者であれば誰でも知ってる神経〆。私も洋上でこれ、やってました。

生きて上がったマグロ、先ず、尾っぽを、切り落とします。
次に、マグロのおでこの部分、ほんの少し色が変わっている部分がありますので、ここをくりぬくと、小さな穴が開いています。
これが、神経?の通り道のようで、ここに、針金を通してやるわけです。
針金は簡単に、尾っぽまで貫通します。神経を潰している?ということでしょうか。

相当な痛みなんでしょう。瞬間的にブルブルっと、すごい勢いで震えたかと思うと、ぴたりと動きがなくなります。
ブリやら鯛やらでも行われているようです。
(正直、私自身は魚の処理とかそういう話しは苦手ですので、あまり突っ込まないでくださいね。。ww)

大漁のときは、とにかく先ずこの処理をして、魚をデッキにおいておきます。
そのときの風景は圧巻。そこらじゅうに生のマグロが転がっている状態です。

さて日本での話し。
こういった洋上の仕事を頭に入れたうえで、日本で商談すると、マグロのプロと言われる方々からおかしな話しが山のように聞かれます。。

漁船には急速凍結室が4部屋あります。
一室に入るのは、たしか2t程度だったと思います。
漁なんてまさに水もの。魚が来ているときは、船も必死でとにかく漁を続けます。
簡単にいえば、凍結能力を超えたマグロが上がることだってあるわけです。
もちろんそんなことは一年通してもそうそうあるものではありません。
船の上はマグロだらけ。一本ずつ処理するので、なかなか処理が追いつかない、ということもあります。
船員にとっては地獄のような時間です。
なにせ徹夜で縄をあげ、そのまま縄入れ開始・・・ 縄入れ当番は、全く休めない状態で操業を続けるわけです。場合によっては、2日で1時間程度しか眠れないこともあります。それでも、こういうケース、正に航海の山場。。罵声にまみれながら、ドつかれながらも、皆、頑張って仕事をするわけです。
魚自体、やはり処理遅れや、初期凍結が甘くなったりするものです。
それは織り込み済みでの操業なわけです。。。

そして、そのときのバイヤーさんから。
「そういうときは、凍結庫に入らなかった魚は捨て、漁を休んでも、しっかり凍結すること」
。。。。というのが、実際の操業すら見たこともないバイヤーさんからの指示だったわけです。。ww

その分、高く買ってくれるならともかく。

せめて、「テープ分けでもしておいてくださいね」という指示ではないでしょうか。

某大手水産会社の社員の方が、別事例で同じような話しをしているのを聞いたことがあります。もちろん船になんか乗ったことのない方でしたけど、優等生的? なこういった発言が生産者と流通の距離を作ってしまうんだろうな・・と、思ったわけです。



中国出張

2012-11-19 | 海外出張
先週、久しぶりに中国・本土へ行ってきました。
あの広大な中国のごくごく一部に上陸し、本当に限られた人と会ってきただけです。
それをもって、「中国は・・・」などと言えるはずもないのは承知のうえで。。

一年半前会ったときには聞かなかった、
「景気が悪い」
という言葉・・お会いする人皆口々に言ってました。

金持ちが投資先が無い(成績のいい会社がない)ので、しょうがなく見込みのない不動産に投資している、とか、 欧州の影響で仕事の中身がまるっきり変わってしまった、とか。。。
なるほど、よく聞く、「入居者がいないマンション」や、「建設しているのかしていないのかわからないビル」とか、そこらじゅうに見られました。

内陸など発展前の地域がまだまだたくさんある中国ですが、すでにこのような状態がみられるわけで、いつ、何が起こってもおかしくない、というよくある報道が、なんとなくしっくりくる、というか、そんな空気を感じざるを得ません。

ただ、水産加工についていえば、
「レベル高いな~」というのが率直な印象です。
脱中国の流れでベトナムに来られるお客さんが、どんなスタンダードで物事を考えているのか。。 時々中国に来て確認しないとまずいな、と、改めて感じました。

ベトナムで中国と同じことをやるのは、かなり難しい、というか、時間とカネがかかるな、と、改めて思ったわけです。
そのあたりは中国の工場の人たちも、15-20年かけてここまで来てますから。。。と。。
たしかにそれを新規に立ち上げ一年で結果を出そうなんて思ったってできるわけないでしょう。











外交

2012-11-05 | 海外業務
魚を台湾へ輸出(三国間)するケースがときどきあります。
台湾の人口は二千万強、それほど大きな市場ではありませんが、日本からの食材の輸出は昔から行われており、日本贔屓の市場には深く浸透しています。

その台湾、日本以上に中国市場への依存が大きいため、中国の動向が経済に与える影響も日本のそれとは比べ物にならないようです。
民主的な選挙ができるようになり、中国からの逃亡政権である国民党から一旦は政権が台湾独立を目指す民進党に移ったのですが、また、国民党政権に戻っています。
やはり、中国に近寄ったほうが、経済的にも安定するから、というのが国民感情のようで、台湾独立を声高に叫んだとしても、日々の生活が安定するほうが優先であるのはどこの国も一緒。中国本土と太いパイプのある国民党政権のほうが、短期的な景気の回復が見込まれる・・ということが民意として現れているようです。

尖閣の海上デモを台湾漁船が行ったことは記憶に新しいことかと思います。
これも結局は、漁民に対して多額の「補助」を出している親中企業が仕掛けたものであることは、ニュースで即報道されました。(企業が出した報奨金は、合計で2-3000万円程度だったと思います)
震災後、合計200億円以上の寄付が台湾からありました。 (2000万人の国民から200億円の寄付=民間、政府合計ですが) そんな国ですら、目先のお金で動いてしまうものです。(台湾政府は対中交渉と対日民意との間で結構大変だったようですが)

今の世の中、海外との関係を全く無視して生きていくことはできません。
その際に考えなければならないことは、 国家間の問題は二国間の問題ではない、ということです。
そして、それが複雑に絡み合い、風が吹けば桶屋が儲かる、ではないですが、我々の日常生活に様々な影響が現れてくるものです。

領土問題とスーパーの商品の価格がどのように繋がってくるか・・ そこまで詳しく報道されることはなかなかないようです。