産地

2014-07-29 | ビジネス業界
日本ではなにかと叩かれる中国産。もちろん中国商品を外したら、今の日本の食卓は成り立ちません。
ここベトナムでも、中国産に対するアレルギーはかなりなもの。特に日本と異なり、中国の粗悪品(=日本向けは大概日本企業の管理の下で生産されていますが、中国人も扱わないような粗悪品)が流れ込んできていることも原因です。

先々週、韓国へ行ってきたときのことです。ベトナム産のタコ焼きを持って商談へ臨みました。

バイヤーさん 「これは日本産?」
私      「すみません、これはベトナム産なんですが。。。」
バイヤーさん 「お、よかった。日本産は全く売れないんだよねー」

韓国では未だに放射能問題から、日本産は敬遠されています。日本式の居酒屋はどこも賑わっていましたが、日本産の商品は絶対的にNGでした。
そこで中国産について聞いてみると、「安いものだから多少のリスクはあるかもしれないけど、まず大丈夫でしょう。それより日本産のほうがよっぽど怖い・・」 という返答。 

今、アメリカのスーパーさん向けの商品の依頼を受けています。
これは、現在中国とタイで加工していますが、アメリカ側の要請で仕入れ地を変更しなければならいとのこと。
ぱっと頭に浮かんだのは、「中国からの切り替え」ですが、実は、タイ産が好ましくないとのことです。
タイでは、外国人労働者への不当な扱いが結構大きな問題となっています。アメリカはこういった人権問題にはかなり過剰に反応しますので、タイ産を切り替えたい、とのことでした。

我々からすると、中国のほうが(国家としては)よっぽど人権を無視していないか?と、思うのですが、その判断は異なります。

国によって民意は大きく操作されています。韓国も中国も、ベトナムも日本も、政治的事情から民意が操作されていることは間違いありません。
今回の韓国での商談、アメリカ向けの商売などを考えると、我々日本人の考えていることもかなり操作された情報に基づくもんだなあ、と、実感します。

食品問題を聞いての雑感

2014-07-27 | ビジネス業界
先々週から韓国~ベトナムと出張しておりますが、その最中に飛び込んできた「中国加工肉」の話しと「ベトナム水産物への汚物混入」の話し。。 丁度いいことに海外にいますので、今のところテレビでの報道を見ないで済んでいます。きっとかなりの偏向ぶりなんでしょう。
なんとなく思うままに書いてみました。

私がベトナムで行っている業務は、日本市場向けの水産物加工、特に、切り身や寿司ネタ、フライ商品を、「安い労働力」を利用して生産しています。もともとは日本で生産していたものを、コストが合わない、あるいは、日本では技術的に生産できない、ということから、海外加工にシフトしているわけです。

ここで、「技術的に生産できない」ということについて、?? と思われるかもしれません。簡単な例を挙げれば、「骨とり」作業。 日本の労働者にはかなり厳しい作業です。高齢者が働く現場では、「目が悪い」ために、骨を取り除くような緻密な作業ができないわけです。(もちろん多少の骨残りを、「魚は骨があるものだから・・」と言っていただけない昨今の事情もかなり影響しています)

ご存知の方も多いと思いますが、三陸の水産加工場、労働者の確保にかなり苦労しています。箱(=生産設備)があっても動かすことができない、という状況は珍しくありません。

さらには市場性。とにかく「価格、価格」を追い求める市場。これは消費者の立場になれば仕方ないのですが、度を越した「価格訴求」は、安全の根幹を揺るがします。今回の件で、また国産回帰の話しがでてくるかもしれませんが、労働力が確保できず、また、コストが倍以上になるような商品を市場が受け入れられるとは思いません。

もっと突っ込めば、「日本産なら安心なのか?」という点。 賞味期限の問題や産地の問題、はたまた異物の混入など、日本でも同じ問題は発生しています。 牛乳や肉、お菓子、最近では冷食もしかり。

今回の話しは海外でも日本でも起こりうる問題です。そして、海外製品なしには成り立たないのが日本市場、これも事実です。海外での生産は継続せざるを得ない中、どうやってこのような問題を未然に防ぐか、という点が我々の業務のまさに「核心」といえるかもしれません。今回の問題で、すでに日本の客先(あくまで弊社の先の先・・レベルです)から、工場内に監視のカメラの設置はしてあるか? などの質問が来ています。こんな話しは何年も前からあることですが、カメラで監視=誰かが作業時間中ずっとワッチしているか? ということでしょうか。もちろん抑止力の一つにはなりえますが、それですべてが解決するわけではありません。

問題を整理して考えないといけないのですが、そもそも生産現場にとっては、
* 異物混入 (汚物や殺鼠剤)
* 衛生問題 
は、別の話しです。
異物混入に対する対策一つとっても、その原因によって対策は千差万別。作業ミスによって意図しないところで起きてしまうものもあれば、人為的なものもあります。
工員が人為的に入れることを防ぐためには、物理的に「持ち込ませない」ことが重要ですが、それも私は不可能だと考えています。

最近よく聞く論理構成に、
 工員に気持ちよく働いてもらう(工員に不満を持たせない) ➢ 福利厚生の充実
というものがあります。(もちろんお金がかかることです) テレビでもよくこの手の話しが報道されています。食事の改善からカラオケ大会や運動会などなど。。
 ただ、もっとも根っこの一番大事な部分はなかなか伝わりません。我々が日々行っていることは、まさに「工場といかに信頼関係を築くか」、この点に集約されます。

工場との信頼関係、かなり漠然としています。これは一言では言えません。
約束を守ること、実際に工場を頻繁に訪問しお互いの顔を見て話しをすること、工員さんに「この客の商品を作っているんだ」と思ってもらうこと、一緒に作業をしたり、たまには工員さんたちと飯を食うことも・・・時には何時間もかけて生産や市場についての講義をしたり(内容そのものを理解してもらえるとは思っていません。ただ、こいつがこんなに言うにはなにか事情があるのだ、と思ってもらうことが重要です)しますが、すべては信頼関係を築くためのこと。 そしてそれはトップ同士が行うだけではなく、現場も行うものでなくては意味がありません。しかも継続的に。
人を常駐させたって、その「人」が信頼関係を築けなければ、意味がありません。「日本人が常駐しています」ということをうたい文句にしている工場もありますが、果たしてそれだけでいいのか? と思ってしまいます。日本国内の工場は、100%日本人常駐ですが、それでも問題はおきます。会社から派遣されてきた駐在の方々を見ると、現地の人間と一緒になり頑張っている方もいる反面、腰掛程度に海外暮らしを満喫し、「日本の大会社」の後ろ盾で横暴な要求をつきつけ、運転手やお手伝いさんを侍らせてゴルフ三昧、という方もいらっしゃいます。

工場と信頼関係をつくること。この仕事に、「マニュアル」などありません。現場で汗をかいたことのない方々に限って机上の論理を展開されますが、現場はそんな簡単なものではありません。商品は「人」が作っています。中国やベトナムから自動的にでてくるものではありません。海外工場を視察された方はたくさんいらっしゃいますが、観光に毛の生えた程度の訪問をベースにわかったつもりで現場にあれこれ「要望」を突きつけられても困ります。正直、この手の問題がかなり現場を苦しめ、信頼関係を損なう原因となること、当人たちは気づいていません。

ベトナムの街では、生きたニワトリやアヒルなど、よく見かけます。日本ではすでに食肉加工されたものばかり。誰かがその「大変な」仕事を担っていますが、それを感じることはありません。
食品工場も一緒です。原料を海外へ送れば自動的に商品ができるわけではありません。 「人」がその仕事を担っているわけですが、これもまた感じてもらえなくなっています。根本問題はそのあたりではないか、と、思うわけです。 

人が人のために物を作っている、買う方にも売る方にも、「その意識」が欠けているのではないかな、と、思うわけです。作った工場を責めることも一つですが、工場が「人のためにこれを作っているんだ」と、感じなければ、このようなことになるのかもしれません。
日本の消費者と工員を会わせることはできません。その役目を担っているのが、まさに我々なのかな、と、思うわけです。そしてそう思って毎月海外へ飛んできます。工場へ入り、工員や幹部と会い、現場で一緒に汗を流し、少しでも日本の市場を理解してもらい、この商品の先には消費者がいるのだ、ということを伝えていくわけです。

もちろん日本で販売している方々には、生産者を消費者へ繋ぐ役割を担っている、という自負と責任を持って仕事をしてもらいたいものです。ここが我々からするとかなり不満な部分でもありますが、その話しはまた後日。

ベトナム ダナンにて。

ビッグネーム

2014-07-14 | ビジネス業界
有名なお店や大きな会社と商売ができたときにはとても嬉しいものでした。以前は。。。

以前勤務していた商社では、よくビッグネームのお客様と仕事をさせていただきました。大概儲かりません。。wそれどころか、かなり苦労させられることが多かった印象があります。 もちろん自分の仕事の仕方が悪かっただけなのかもしれません。。

私のトラウマなのかもしれませんが、最近は取引先に「ビッグネーム」が出てくると、一瞬怯みます。
これ、私だけじゃないようで、海外の工場も同じ傾向があります。 「コンビニの〇×さん向けの商品なんですが~」 といえば、以前は「うぉっ、すげ~」だったのが、今では「勘弁してください。。。」 となってしまっています。

某回転寿司チェーンさんの話しを頂きましたが、私個人の印象がかなり悪いので、ネガティブです。。w もちろん直口座ではありませんので私が矢面に立つことはないのですが、なにせ過去の印象や回りから聞く話しで、うまくいっている仕入先の話しを聞きません。
それでもしっかり経営されているわけですから、我々とその会社の相性が悪いだけなんでしょう。商売なんて相性がほとんどですから。。w 
しかし現実には折角の話しもかなり逃げ腰の対応としまっている自分がここにいるわけです。。w

業界長いと変なマイナスイメージやレッテル、先入観などが仕事の邪魔をすることが多くなります。
とはいえ、零細企業を経営している立場ですと、以前のように「やられても〇百万円だろ」なんて威勢のいい言葉を吐くわけにもいきません。

自分の身を守るため、ビッグネームと仕事をするときは名前に惑わされず、想定されるリスクをしっかりと認識してから動くようにしているわけです。

産地

2014-07-11 | ビジネス業界
弁当の中に入っていた「アジフライ」の産地、どこまで気にしていますか?

水産物の不思議なところは、「高いお店」については、天候による欠品が許され、大衆店ではそれが許されないところです。
農産物や鮮魚などは、スーパーでも日々値段が変わります。それに比べて冷凍の食材は値段が一定なのがあたりまえ。原材料は同じ不安定なものなのに、冷凍のものはなかなか値段が変えられません。

冷凍品の場合、いわゆるリードタイムが長くとれますので、いろいろな方法を使って価格を一定にする努力をします。
安い時期にまとめて仕入れておく、規格外の商品などをうまく売ることによって価格を据え置く、海外からの仕入であれば、為替の安定も重要ですし、粉ものなどは、粉の分量、粉の品質を変えたり、具材の量目をかえたりしながら調整していきます。

ただ、最近では、事前に「規格書」なるものを提出し、その規格通りに作ってこないと問題となります。
あたりまえといえばあたりまえの話しなのですが、そのうえ価格も変えられない、となると問題は別です。

アジなんかは国産以外にも欧州、ニュージー、 近くは韓国や中国、台湾やベトナムなど、いろいろな地域でとれます。
厳密に言えば、「学名」は違う魚種だったりするわけですが、製品を切らさないよう、値段を上げないように、と、このあたりが我々の腕の見せ所でもあったわけです。
ところが水産物の需要が世界的に高まり、価格はどこも高騰。物がない、というのではなく、「物はあるけど、日本の価格では買えない」という状態がそこらじゅうで起こっています。
そういう状況下では、余分に商材を調達しよう、という会社も激減します。逆に言えば、常にギリギリの状態で仕事をしている会社が多いわけです。

何等かの事情で当該産地のものが切れても、他の産地のもので代用できればいいのですが、最近はこれも末端さんに受け入れてもらえません。
産地も変えられず、価格も変えられず、欠品はできず。。。 変動要素が全くないので、唯一の変動可能要素である自社の利益を削り、原料を買い集めて供給させられている、というトラブルはそこらじゅうで聞きます。
今までの利益など一回の欠品で吹っ飛びます。

で、いったい誰がそこまで「産地」を気にしてるんでしょうか?

消費者が気にしているのは、せいぜい国産か輸入物か?? というレベルではないかと思うわけです。

また、価格が高くなったので、産地を変えました、というのは、決して「悪」い行為とは思えないわけです。

もちろん商材や売り方にもよりますが、過度な縛りがどれだけコストを上げているのか。
「消費者が」という印籠を振りかざしていますが、実は自らの保身のためだけではないでしょうか?

消費者の声など、我々にまともに上がってくることはありません。逆に言えば、つくる側の事情が末端消費者に届くこともまずないわけで、すべては「価格」に飲み込まれてしまい、作る側のことなど考慮されない市場が出来上がってしまっています。


タコワサ

2014-07-08 | ビジネス業界
居酒屋定番メニューのタコワサ。原材料を海外から調達するのが一般的です。
私も過去、この商品を扱っていたことがあります。
正直、扱って以降、この商品を居酒屋で注文できなくなりました。
どうも、薬品の臭いが気になってしまって。。。w

この業界で仕事をしていて、食べられなくなった商品が結構あります。そのうちの一つがタコワサですね。

さて、今回この商品の見積もりを頼まれました。
価格を提示してみると、お客様希望の倍近い、と、一蹴されたのですが、想像すると恐ろしくなります。。

この手の商品、バンバン水吸わせること可能ですので、薬品にぶち込んでおけば重量はいくらでも増えます。
言われた値段は原料の浜値よりも安いので、なにかマジックがない限りそんな値段では仕上がりません。
安ければなんでもいい、という業態さんの引き合いでしたので、直観的に嫌な予感はしていたのですが。。
まさかここまで安い値段を提示されるとは驚きでした。もちろん、追いかける気も全くありません。。ww

ますますタコワサを食べる気がしなくなってきたわけです。。怖い怖い。。

食べ放題

2014-07-03 | ビジネス業界
久しぶりに、「焼肉食べ放題」なる店に行きました。
学生時代は寮飯では満たされない胃袋を、3玉まで無料で増やしてくれるうどん屋や、この手の食べ放題の店で埋め合わせしていたものです。

食べ放題の店に来ると、「食べられる分だけにしてください」とか、「食べ残しは追加料金をいただきます」などの表示をよく見かけます。
この店では、メニューの下に小さい字で書いてありました。常識の範囲での食べ残しはまあいいでしょう、ということでしょうが、ここぞとばかり食べきれないほどの商品をテーブルへ持ってくる方々も少なくありません。

さて、ベトナムの取引先曰く、「ベトナムでこの手のお店を出したら食べ残しが増えて大変。逆に、食べきれなかったら追加料金。。などと書いたら、それも問題。。」などと言ってましたが。。。

ストーリー的には、「日本人は残してはいけないという教育を受けているから」とか、「民度の違い」 いうのは非常に耳障りがいいのですが、果たしてそうでしょうか?
見てれば日本人のマナーだってひどいもんだし、逆に、海外でビュッフェを食べても、違和感を感じることは少ないものですし。。。

幕張のCOSTCOに、テイクアウトのホットドック売り場がありました。(今もあるのかな?)
そこに、玉ねぎをスライスする器具があり、自分で好きなだけ入れていいようになっていましたが、タッパを出してしっかり詰めている日本の主婦を見たことがあります。見ていて気分が悪くなったので、はっきり覚えています。
食べ放題、撮り放題となれば、どこの国だって大なり小なりそういう傾向はあるでしょう。

日本も昔ほどの節度がなくなったから、或は、本当に商売が厳しくなったので、やむを得ず「食べ残しに課金」の表示をしなければならなくなったと思うわけです。