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映画「ジュディ 虹の彼方に」

2020-03-18 21:54:01 | 見る
映画「ジュディ 虹の彼方に」
なんだかゴタゴタしてて、もう始まってるのを知らなくて、あわてて見てきた。

ジュディ・ガーランドの伝記的なストーリー。もとは舞台の作品だったのね。
ジュディ・ガーランドといえば「オズの魔法使い」。題名もそこから来ている。
日本では「オズの魔法使い」以外のジュディの映画はほとんど公開されなかったそうで、私がそれら(の部分的な場面)を見たのは、「ザッツ・エンターテイメント」という映画で。
MGMの創立何十周年だかの記念で作られた、過去のミュージカル映画の場面を紹介する豪華な映画で、当時まだフレッド・アステアやジーン・ケリーが生きてて、自分の場面を紹介したり、ジュディの部分は娘のライザ・ミネリが紹介してた。
この時代のミュージカル曲を知らないと、あまりピンとこない作品かもしれないけど、知ってると「ヒューヒュー!」なのよ。

主演はレネー・ゼルウィガー、47歳で亡くなったジュディの最晩年を描きながら、回想で「オズの魔法使い」でデビューするころの子役の場面も出てくる。
むかしのハリウッドのやり方はひどくて、10代の子役スターを長時間働かせるために覚醒剤を飲ませ、「眠れない」と訴えると睡眠薬を飲ませる。
ドロシー役のために「絶対太ってはならない」と厳命されたジュディの前に用意されたハンバーガーやケーキは、おいしそうな顔でニッコリ写真を撮るためのもの。食べさせてはもらえない。そのかわりに覚醒剤が渡される。
晩年のジュディがケーキを出されて、戸惑いながらすごく小さく一口食べて「おいしい」と感激するシーンが出てくる。ケーキを食べたことがなかったのかもしれない。

このあたり、かわいそうで、思わず「不健康でなく、強制でなく、歌が好きだ、歌いたいと心から思って歌えているんだから、たとえ太ってもいいよ、慎吾くん!」と、ついうっかり、一瞬だけ、思ってしまった。

ジュディは結局、クスリ漬け酒浸りの生涯。
圧倒的な歌唱力が人気で、ショーやライブの仕事はあるが、現場での彼女はとにかく評判が悪い。傲慢で気まぐれ、扱いにくいだけでなく、時間に遅れる。いやなことがあって飲み始めると、本番さえすっぽかす。
4番目の夫との間にできた二人の子供の親権も手放し、5度目の結婚も失敗。ショーも打ち切りになってしまった。
すべてを失って最後にそのクラブをちょっと覗きに行ったジュディが、出演者に向けられる拍手と歓声を聞いているうちに、打ちひしがれていた顔が輝いてくるの。
あの中へ出ていきたい!
1曲だけと頼んでステージに出ていくジュディ。その歌は客席を巻き込んで大感動のシーン。泣けちゃったけど、その前の、あの拍手と歓声の前に立つことがこの人の生命なんだと思わせる瞬間が強く印象に残った。
「客との間に生まれる愛を感じたいの!」というセリフもあった。
エンターテイメントに生きる人の望むもの。

レネー・ゼルウィガーは演技も歌もすばらしかった。歌は1年前から稽古していたとか。いまはほんとに俳優が自分で歌うから凄いね。
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