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映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ポスター犬14

2013年02月10日 | 工房『たんぽぽ』
犬・・・じゃなくてハムスターですが



映画ライフ・オブ・パイでは、ねずみさんがあっという間に
トラさんに食べられてしまいました。
従いましてこれは、大変危ない構図ではあります・・・。



本作はお腹にペレットが入っていまして
ちょっぴりくったり風となっています。

 


「血霧 上・下」 パトリシア・コーンウェル 

2013年02月09日 | 本(ミステリ)
知られざる戦慄の脅威

血霧(上) (講談社文庫)
池田 真紀子
講談社


血霧(下) (講談社文庫)
池田 真紀子
講談社



            * * * * * * * * *

スカーペッタは、殺人鬼ドーン・キンケイドを産んだキャスリーン・ローラーに求められて
サヴァンナの女子刑務所を訪れる。
が、その面会を仕組んだのは姪のルーシーと別れたジェイミー・バーガーだった。
弁護士となって9年前の一家惨殺事件の再審を目指す彼女は、
再鑑定でドーンのDNAが見つかったと言う。


            * * * * * * * * *

パトリシア・コーンウェル「検視官」シリーズ最新刊。
今作では前作の事件でまだ心の傷がいえずにいるケイ・スカーペッタに、
また大きな試練がもたらされます。
ケイの片腕であったジャック・フィールディング、そして殺人鬼ドーン・キンケイドの惨劇に関連し、
ジョージア州サヴァンナの女子刑務所、キャスリーン・ローラーのもとを訪れたケイ。
ケイは思いがけずそこで、かつてのルーシーの恋人、ジェイミー・バーガーに呼び出されます。
刑務所内で起きたいくつかの不審死。
9年前の一家惨殺事件。
そして新たにケイの目の前で起きた事件。
これらを関連付けるものは何なのか。
そしてそれを操るものは・・・?


今作ではある戦慄すべきモノが話題になります。
ケイは持ち前の洞察力でそれを特定していきますが、
世の中には知られざる脅威が色々あるものですね。
・・・こんなものがテロ行為などに利用されたら大変・・・と、
一人恐怖してしまいました。


そしてまた、ケイの推理力・・・これにはかないません。
ミステリの原点ではありますが、推理材料は確かに与えられていたのです。
でも私には、これらバラバラのピースをどうつなげばよいのか、
見当もつきませんでした。
これについては、さすがの元FBIきっての切れ者捜査官であり、ケイの夫でもあるベントンもついていけません。
ケイが確かめてほしいことを次々にベントンに電話で話をするシーン。

「いったいどういうことだ?」
「この話は一体どこに向かおうとしている?」
「悪いが、話についていけない」


と、タジタジ。
ベントンの戸惑いはまさしく私たちの戸惑いでもあるのです。
ベントン、お前もか・・・。
ベントンと同じ位置にいるのがちょっぴり嬉しかったりして。


今作がベストセラーを続けていることに今更ながら納得しました。
これだけ続いているシリーズでもちっともダレずに、また新たな驚きを私達にもたらします。

「血霧 上・下」パトリシア・コーンウェル 講談社文庫
満足度★★★★☆


5デイズ

2013年02月08日 | 映画(は行)
真実はなぜ伝わらないか



            * * * * * * * * *

この作品、なんで見る気になったのだっけ・・・?
と、すっかり忘れていましたが、
見てみればすぐ分かりました。
ルパート・フレンド。
彼です。



2008年8月。
ちょうど北京オリンピックが行われていた頃・・・。
グルジアにロシアが侵攻。
空爆に虐殺。悲惨な出来事が起きていたのでした。
5日間戦争と呼ばれる事件です。
その時私達にそんなニュースが伝わっていたかというと
・・・記憶にはありませんよね。
そんな、あるべきではないと思う現実を、本作は訴えています。


戦場ジャーナリストのアンダース(ルパート・フレンド)は、
一年前イラクで恋人を失っていますが、
再び取材のため、きな臭いグルジアにやって来ました。
ロシアの空爆に巻き込まれ、この非武装地帯への空爆の様子を告発しようとするのですが、
世界は北京オリンピックに夢中。
このことを伝えようとするメディアがないのです。
ロシアをあまり刺激したくない。
そんな思惑も伺えます。
命を賭けた取材も、これでは何にもなりません。
アンダースはその後更に敵軍の民間人虐殺を目撃し、映像に収めますが・・・。



戦場ジャーナリスト、彼らは銃でなくカメラを構えて戦います。
戦争というものの真実の姿を世界に伝えたい。
そう願って。
けれどもこんなふうに、私達の手に届く情報が
全く理不尽な理由で操作されているというのは恐ろしいことだと思います。
私達が知るべきこと、知らなくてもいいこと。
その軽重を測るものは何なんでしょう。
ただただスポンサー受けするものばかりを垂れ流し・・・
そんなことにならなければいいのですが。



でもやはり、どんな情報もそれは発した側の一方的な見方になってしまいますね。
たぶん相手方の言い分を聞けば、また違う話になるのでしょう。

先に向こうが発砲した。
家族が殺された。
友人が殺された・・・。

互いの非をあげつらい、憎しみの連鎖が広がるばかり。



どーすりゃいいのかって、それは私にもわかりません。
こんなにも多くの情報があっという間に世界中を駆け巡ってしまう。
たった一人のつぶやきでさえも・・・。
こんな異常な状態って、人類史始まって以来初めてなのです。
ルールはこれから作られていくのかも・・・。

5デイズ [DVD]
ジョルジ・ジェロヴァンニ,マイケル・フラニガン,デビッド・イメダシリヴィ,シンディー・カイパース,ミッコ・アラン
アルバトロス


5デイズ [Blu-ray]
ジョルジ・ジェロヴァンニ,マイケル・フラニガン,デビッド・イメダシリヴィ,シンディー・カイパース,ミッコ・アラン
アルバトロス


「5デイズ」
2011年/アメリカ/113分
監督:レニー・ハーリン
脚本:ミッコ・アラン
出演:ルパート・フレンド、エマニュエル・シュリーキー、リチャード・コイル、ヘザー・グラハム、ジョナサン・シェック

啓発度★★★★☆
満足度★★★☆☆

カクテル

2013年02月06日 | 映画(か行)
やんちゃで無謀な夢を持った青年の挫折と再生

            * * * * * * * * *
 
たまには、トム・クルーズの初々しいお顔を拝見したくなりました。


大きな夢を持ってニューヨークにやってきたブライアン。
こういうところから始まる作品は多いですね。
いわゆるアメリカン・ドリーム。
きっとこの街で何者かになってやる!
マンハッタンの高層ビル街を見上げつつ、青年は心に誓う。
しかし、ご多分にもれず、ことはそう簡単にはいきません。
ブライアンには学歴が足りず、大企業入社はままならない。
やむなく昼は学校に通い経済学など学びながら、
夜はカクテルバーでバイトを始めます。
しかし水が合ったというのでしょうか、
そこの店長ダグにカクテルの作り方や、踊るようなバーテンダーテクニックを教わるうちに、
この界隈人気NO.1のバーテンダーになっていきます。
二人は友人としてコンビを組み、
いつか二人の店を持って儲けるという夢を描くのですが、
ある日大げんかをして、離れ離れになってしまいます。
2年後、ジャマイカの海岸でシェイカーを振るブライアンは、
大金持ちの女性と結婚したダグと再会するのですが・・・。


やんちゃで無謀な夢を持った青年が、挫折し、そして再生。
本当の愛を見つけるまでを描くストーリー。
まあ、話としては平凡ですね。
ですが、いかにも若くチャーミングなトム・クルーズが、
ダンスをしながらカクテルを作るの図、やっぱりカッコイイです。
そこの見せ場だけが取り柄の作品といってもいいくらい。
一攫千金を夢見るよりは、ささやかでも愛する人と共に暮らせることのほうが大切。
まあ、それが大人の分別なのかも知れませんが・・・。

カクテル [DVD]
トム・クルーズ,ブライアン・ブラウン,エリザベス・シュー,ケリー・リンチ
ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント


カクテル [Blu-ray]
トム・クルーズ,ブライアン・ブラウン,エリザベス・シュー,リサ・ベインズ,ローレンス・ラッキンビル
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社


1988年/アメリカ/102分
監督:ロジャー・ドナルドソン
脚本:ヘイウッド・グールド
出演:トム・クルーズ、ブライアン・ブラウン、エリザベス・シュー、リサ・ベインズ


こんなに若かったのね度:★★★★☆
満足度★★☆☆☆

「和菓子のアン」 坂木司

2013年02月05日 | 本(ミステリ)
思わず和菓子屋さんに走りたくなる

和菓子のアン (光文社文庫)
坂木 司
光文社


            * * * * * * * * *

デパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めた梅本杏子(通称アンちゃん)は、
ちょっぴり(?)太めの十八歳。
プロフェッショナルだけど個性的すぎる店長や同僚に囲まれる日々の中、
歴史と遊び心に満ちた和菓子の奥深い魅力に目覚めていく。
謎めいたお客さんたちの言動に秘められた意外な真相とは?
読めば思わず和菓子屋さんに走りたくなる、
美味しいお仕事ミステリー。


            * * * * * * * * *

坂木司さんのお仕事小説は大好きなのですが、
今作は和菓子屋さんが舞台ということで、
女子にはもう応えられません!
一応"日常のミステリ"の枠と思いますが、
お仕事小説としてもバツグンです。


アンは、自分の容姿にコンプレックスを持っています。
ちょっぴり太めで、モテたこともない。
でも彼女はそもそもきちんと自分で考えることができる娘なんですよ。
特別何かを勉強したいわけでもないのに、
わざわざ親にお金を出してもらって大学へ行くというのは、
ピンと来ないと思っている。
たいていは何の目的がなくてもとりあえず進学・・・となってしまうものです。
学ぶ内容よりも、まず「学歴」となってしまっている、
おかしな社会ですよね。
でも、アンは和菓子屋で働いて多くのことを学んでいきます。
ここで必要な知識は、たぶん大学にかよっても学ぶことはできなかった。
そして、職場の中で自分が必要とされていると実感されれば、
多少のコンプレックスなんか気にならなくなるものなのです。
良い物語でした。


日常の謎をとくのは、このアンかと思ったら、
店長の椿さんの方でした。
でも、アンの方も、なかなか鋭くいい線行きます。
椿さんは仕事のできる素敵な大人っぽい女性ですが、
人には見かけによらない部分も色いろあるようで・・・。
いや、だからこそ余計魅力的です。
ですが全編を通じて、椿店長にも人に言えない思いを胸の奥底に秘めていた
・・・ということが明かされていく仕掛けがありまして、
これも素敵です。
スマートでイケメンの同僚、立花くんは、
アンにとってはとても苦手感があったのですが、彼は実は・・・。
いやいや、良い職場で、良かったですね。
それから、もちろんここに登場する和菓子、どれもこれも食べてみたくて困ってしまいます。
正直いうと私もおまんじゅうや大福は時々食べますが、
上生菓子というのにはあまり縁がありません。
しかし、なんという認識不足。
和菓子には日本文化が凝縮されているといってもいい・・・と思えるほど、
多くのバリエーションとそれぞれの物語があるのでした。
今度デパートに行ったら、
きっと和菓子屋さんで、美しい季節感たっぷりのお菓子を買い求めようと思います。

「和菓子のアン」坂木司 光文社文庫
満足度★★★★☆

カプリコン・1

2013年02月04日 | 映画(か行)
火星からの帰還よりも砂漠からの帰還のほうが難しい?

            * * * * * * * * *

有人火星宇宙船カプリコン1の打ち上げ寸前、
乗組員3名が船外に連れだされます。
彼らはわけも分からず、砂漠の秘密基地に連れて行かれるのです。
そこでは火星着陸船のある大掛かりなセットが組まれており、
ホンモノの火星着陸に偽装しようという、NASAの国家的陰謀が行われようとしているのでした。


今作は火星着陸となっていますが、
やはりどうしてもアポロ計画の月面着陸を思い出してしまいますね。
人類は本当に月まで行ったのか?
そういった意味で随分話題になった作品でした。
私たちはTVに映し出された映像をホンモノだ、ライブ中継だ、と言われれば
それを信じるしかありません。
今となってはどんな映像もCGで作ることができるわけですから、
その気になれば世間を騙すことなど簡単。
また逆に、「アポロ18」の映画ではありませんが、
実際に行われたことが、マスコミに乗らなければ、
それはなかったことと同じになってしまうのです。
警戒すべきは何者かの意図的な情報操作ですね。
今となってはこの世の中、どこまでが現実でどこまでが虚像なのか・・・。
もう殆ど誰にもわからなくなってしまっているのでは?


さて、本作でどうしても納得出来ないことが一つ。
火星からの映像は21分遅れで届く、と作中では言っていました。
でも、火星にいる乗員が地球の家族と交信し、会話を交わすシーンがあって、
そこでは全くタイムラグなしにスムーズに会話をしていたのです。
国際中継でさえも、変な間があいてしまいますよね。
そりゃ実際にはすぐ近くにいるわけで当然なのですが、
科学者でもないこんなド素人でも気づくことをなぜに皆さん気づかない? 
こういう作品だからこそ、変にリアリティが気になってしまうのです。
この作戦は情報漏洩を防ぐことが最大のポイントなのですが、
機密に関わる人が多すぎるような気が・・・。
あれだけのセットや、放送のための技術職員、輸送要員に、捜索要員。
これを成功させたければ何よりも真っ先に乗組員に事情を説明して
協力を得るべきだったのでは・・・?
ここまで多くの人が関わってしまえば、情報は漏れないはずがありません。
などなど・・・
深く考えると納得できないことばかり。
だからこそ、月着陸が偽装とすれば
それもかなり難しいのでは?などと思ったりもします。
まあともあれ、映像が全て真実とは限らないという警鐘としては
非常に意義のある作品であることはまちがいなし。

カプリコン・1(ワン) [DVD]
ピーター・ハイアムズ
東北新社


「カプリコン・1」
1977年/アメリカ・イギリス/129分
監督:ピーター・ハイアムズ
出演:ジェームズ・ブローリン、ブレンダ・バッカロ、ハル・ホルブルック、テリー・サバラス、エリオット・グールド
警鐘性★★★★☆
満足度★★★☆☆

ボローニャの夕暮れ

2013年02月02日 | 映画(は行)
戦火のイタリアで、家族の絆をつなぎとめようとする男の愛



            * * * * * * * * *


第二次世界大戦前後、本作の監督プピ・アバティ氏の故郷、ボローニャが舞台の
ある家族の物語です。

この写真、とても幸せそうに写っていますが、
実は作品中で、3人が寄り添ってこんな笑顔でいるシーンはありません。
17歳高校生ジョバンニは、内気で神経質。
自分に自信がなく、いつもうつむいているような娘です。
けれども父親のミケールはそんな娘を不憫に思い、
いつも気にかけ、愛情を注いでいます。
ちょっと過保護すぎるくらいに。
一方母親デリアは美しく、ミケーレの親友と関係を結んでしまっているのです。
そういう後ろめたさがあるためか、ジョバンニには距離を置いている感じ。
純粋な彼女の視線が痛かったのかも知れません。
しかし、一見は穏やかで平凡な家族ではありました。
ところがある時、ミケーレが教師として勤める学校で、殺人事件が起こります。
被害者はジョバンニと同級の少女。
そしてなんとジョバンニに容疑がかかってしまいます。


描かれている時代のためもありますが、
バックミュージックもあえて古風な雰囲気を出していて、
なんだか懐かしい感じがします。
今作、ミステリ要素があって意外な感じがしたのですが、
でもやはりこれは、家族の絆の物語なのでした。
ジョバンニのために家族がそれぞれ苦境に立たされ、バラバラになってしまうのですが、
つなぎとめるのは父の愛です。
しかもそれが戦火のイタリアという劇的背景のなか。
イタリアの人々が最も大事にする家族の絆。
時代がどんなに混乱しても、それだけは変わらない。
ほろ苦くも温かいメッセージなのでした。

「ボローニャの夕暮れ」
2008年/イタリア/104分
監督・脚本:プピ・アバティ
出演:シルビオ・オルランド、フランチェスカ・ネリ、アルバ・ロルバケル

郷愁度★★★★☆
満足度★★★☆☆

「64」 横山秀夫

2013年02月01日 | 本(ミステリ)
明日のためにではなく、今日のために今日を使い切る

64(ロクヨン)
横山 秀夫
文藝春秋


            * * * * * * * * *

組織内で押しつぶされそうな個人・・・、でもその中で生きる道が開けていく感動作
D県警の広報が記者クラブと加害者の匿名問題で対立する中、
警察庁長官による、時効の迫った重要未解決事件「64(ロクヨン)」視察が1週間後に決定した。
たった7日間しかない昭和64年に起きたD県警史上最悪の「翔子ちゃん誘拐殺人事件」。
長官慰問を拒む遺族。
当時の捜査員など64関係者に敷かれたかん口令。
刑事部と警務部の鉄のカーテン。
謎のメモ。
長官視察の日に一体何が起きるのか? 
組織対個人。
驚愕の長編ミステリー。 


            * * * * * * * * *

本作主人公三上はD県警の広報官。
しかし、以前は刑事として勤務しており、
警察の仕事の本筋は当然事件の捜査にあたる刑事の仕事と思っているのです。
しかし刑事部は広報を含む警務部と微妙な対立関係にあり、
その軋轢が、本作の実に重苦しい背景となっているのです。
そんな中で悪戦苦闘する三上を、
若干救われない気持ちで読み進んでいくのですが、
新たな誘拐事件が発生するあたりから、息をもつげない展開となっていき、
止められなくなっていきます。
そしてその新たな誘拐事件の驚愕の真相!
それは確かに犯罪には違いないのですが、どうしようもなく私たちの心を震わせます。
まさに名作。


警察にかぎらず、組織内部の軋轢といいますか、
それぞれの立場の人々の思惑の食い違いからくる相容れない部分。
そういう物は確かにありますよね。
その中で三上はよくこんな中で頑張っているな・・・
と感心したくなるくらいに奮闘しています。
まさに、男は家から一歩外に出ると7人の敵がいるという、それですね。
また、三上は刑事部と警務部、
自分がどちらの立ち位置にいるのかわからなくなり悩みます。
紆余曲折の後、気づくのは
「自分は無国籍ではない、職責がある」ということ。
感情にもみくちゃにされながらも、頭から広報官の意識が消えたことはなかった、と思います。


こういうことを解決するのは、結局人と人との本音の部分での心の交流、
そしてその組織とおのれの本来のミッションを
確認し共有することに尽きるのだな・・・と思いました。
まずは被害者に寄り添うこと。
・・・それを忘れてはいけないのだけれど、
いつしか自分や組織の保身のほうが大事になってしまっている
・・・というのもありがちなことです。
そして感情に振り回されず、おのれの職務を果たす。
「明日のためにではなく、今日のために今日を使い切る。」
組織の中での自分のあり方というべきでしょうか。
結局はこうしたあり方が、自分を押し上げてくれるのかも知れません。
重厚な中にも、見えてくる救いがあり、
心地良い読後感でした。



さて、本作、始めて電子書籍版で読みました。
Kindle ペーパーホワイトです。
これの良い所は、まず欲しいと思った本はワンクリックで購入できて
すぐ読み始めることができること。
明るさや文字の大きさが変えられるので読みやすい。
近頃小さな文字が辛くなってきているので、これは助かります。
あとでこのように感想をまとめたりするのに、
ここはと思うところにペーパー版の場合、付箋をつけたりするのですが(極力折り目は付けたくない)、
手元に付箋がなくて断念することも多いのです。
でも、これならブックマークしておけば、あとでそのページを呼び出すことができます。
また分からない漢字や単語があれば、
直接そこをタッチすると辞書機能で説明が出てきます。
本書中でも何箇所かさっそく使いましたが、これは便利!
それから、現在読んでいる部分が全体のどの辺になるのか、
表示されるのも、便利です。

この読書の場合、ペーパー版読書と同じく読書灯をつけながら、バックライトを控えめにすると
目の疲れは少ないように思いました。

ということで、なかなか読書としては快適ですが、
実のところ、まだまだ読みたい作家のKindle版は少なくて、
たぶん今後もペーパー版は買っていく事になると思います。
それと、思ったほどお安くはないですね・・・。
印刷・製本や流通の手間を考えたら、もっと安くてもいいような気がしますが・・・。
本来の本が売れなくなってしまうことを懸念して
こういう価格になっているのだとは思いますが・・・。
もう少しお得感が欲しいところです。

「64」横山秀夫 Kindle版 1600円 発売元 文藝春秋
満足度★★★★★